向井宏の「社長の気持ち。」

風立ちぬ/宮崎駿

少し前にテレビマンが書いたベストセラー小説の人気と相まって、
書店で【ゼロ戦】ブームが巻き起こっているが、
そんなものと10000億光年かけ離れたところに、この作品はあると思う。
反戦だとか主義主張だとか、愛や人間賛美からも程遠い場所に、
この作品の主題は存在していると思う。
この作品の主人公が、戦争のない世界に生まれていたら
飛行機を作らなかったのだろうか?
考えるまでもない。
間違いなく作っていただろう。
それに意味や理由なんてない。
彼はただ美しい飛行機を作りたかっただけなのだから。
この作品を宮崎監督の最高傑作だと言う人もいるが、僕はそうだとは思わない。
子供に夢を大人に生きる勇気を与えてくれる「天空の城ラピュタ」や
我々の存在理由について追求した「風の谷のナウシカ」や
作者の気ままなアイデアが矛盾を超えて一つの作品へと結実した
「千と千尋の神隠し」が、彼の代表作だと思う。
この作品は、宮崎監督の言う通り彼の遺言だと思う。
ただただ、映画つくりにとらわれ、
人生の大半を捧げた彼の極個人的な遺言だと思う。
 「風立ちぬ」は、映画として傑作ではないし、観客を選ぶある意味難しい作品だが、
会社経営にかまけて、
創作意欲を失いかけている僕のけつを叩いてくれる作品だということは間違いない。