ゲスト対談

藤井 彩人 ayato@web運営者
まだAfter Effectsによるモーショングラフィックス制作が浸透していない頃に、ayato@webを立ち上げ 独自のセンスを活かしたTipsを数多く公開。日本のモーショングラフィックス業界の先駆けとなる。 このWEBサイトを参考にして、技術を習得したクリエイターは数知れず。

ayato@web
http://www.ayatoweb.com/

篠原 智子 取締役 アートディレクター
設立時よりボーダーレスに参加。
トップグラフィッカーとしてボーダーレスを牽引するスーパークリエイター。
2012年、取締役に就任。

ayato@webを立ち上げたきっかけ

本日は「ayato@web」の運営者である藤井彩人さんにお越しいただきました。さっそくですが、「ayato@web」を立ち上げたきっかけというのは?

藤井:当時、ホームページを作るというのが流行っていて、僕も作ってみたはいいものの、載せられるネタがなくって(笑)

そこで普段メモしていたAfter Effectsのことを、テクニックというほどではないですが、WEBで出してみようかなと、最初は5つだけ公開したんですよ。

それでページの形を保っていたのですが、そこのページだけやたらアクセスが集まり、質問のメールも徐々に増え始めて、もっと見せようとなったんです。

篠原:当時、TIPS専門で立ち上げているサイトは少なかったのですか?

藤井:なかったですね。今みたいにWEB上ではなくて、本屋さんに行って、解説本を買うような時代だったんです。しかも、After Effectsの本ってあまりなくて…。

篠原:そうですね。本もあるといえばあるんですけど、テレビで見たことがあるようなモーションが作れるというのがなくて、それで「ayato@web」を見たんです。

藤井:意地悪な作りになっていませんでした?

篠原:周りは「できないできない」って言っていましたけど、私はすごく分かりやすいと感じました。

藤井:分かりやすくすることもできたんですけど、分かりやすくし過ぎるとよくないのかなと思い、分からなくて試行錯誤する、ちょうどいいラインにしとこうかなと。

実は批判的なメールも来ていて、「種明かしするな」と、編集所で何時間もパーティクルを出すだけで、仕事をとっている人もいる時代でしたので。今はないんでしょうけど。

篠原:学生時代に、「ayato@web」のTIPSを作れたよという自慢が結構ありましたね。

藤井:なぞ解きみたいですね。

篠原:みんなが「作れない作れない」といっている中で、「作れたよ」と喜んでいました。

藤井:手順どおりにやればできる!?

篠原:そうなんですよね。今もデザインは変わっていないんですか?

藤井:ずっと変わっていないですね。実は変えたくてしょうがないんです。今となっては画像が小さいですし。

篠原:見やすいですよ。デザイン的にも無駄がないというか。

藤井:ソースコードもぐちゃぐちゃなので、何とかしなきゃと思いつつも、あれはあれでレガシーなものとして、そのまま残しておこうかなという感じですかね。

今もアクセスは多いんですか?

藤井:意外とあるんですよ。ピーク時と比べたら、少なくなっているかもしれないですけど、継続的にありますね。

私が今40歳なんですけど、篠原さんが29歳。一回りくらい若いじゃないですか。それでも、「ayato@web」を共有しているというのはすごいことですよね。

藤井:最初、プロジェクトファイルはダウンロードできないようにしていたんですが、2012年くらいに、全部ダウンロードできるようにしたから、アクセスをキープできているのかもしれないですね。

今もまだ「やってみろよ」みたいなスタンスだと、だれも見ない気がします。

今でこそ、情報をシェアするという文化が一般的になっていますが、当時、シェアの時代がやってくると考えていたんですか?

藤井:全くないですね。本当に自分のためにメモしていて、仕事をするときに、ファイルがあったらいいなと。

篠原:ページを印刷してして、ファイリングしていました。

藤井:ウィンドウを全部開くからうっとうしいですよね(笑)

篠原:今も「そういえばああいうTIPSあったな」と思って、波紋を作ったりしていますね。

藤井:今は、当時の10倍のクオリティで作れる自信がありますね(笑)

会員制にしたり、「ayato@web」を商売にするという考えはなかったんですか?

藤井:僕はサラリーマンで、仕事が楽しくてしょうがなかったので、TIPSを有料にするとか、あまり考えたことなかったですね。

藤井さんの主催するAfter Effects塾とか、すごく人が集まりそうですね。

篠原:実際に講演会もされたりしているんですよね?

藤井:たまにやってます。

篠原:After Effectsというミキシングを、機械を使ったらこういうことができるというのが、うれしかったんですよね。これができるんだって。

なので、「ayato@web」を見て、After Effectsを本格的に始めたという人も多いと思うんです。

これできるのかなと思ったら、やってみたくなりますね。

藤井:街頭ビジョンの映像とかで、これそうだよなってありますね。

篠原:最初の発想はどこから出てきたんですか? TVCMとかを見て、こういうTIPSがあったらいいなみたいな感じですか?

藤井:そういうのは多いですね。TVCMや映画のタイトルを見ていて、After Effectsでやったらできるんじゃないかなと試行錯誤して、形になったものを公開するパターンもあれば、プラグインを勉強しているときに、これをやったらこういうふうにできるかなと思ってやっていたものが、形になったらそれを出したりとか。

すべて同じアプローチ方法とは限らないですね。