新卒採用動画を制作するメリットとは?中途採用動画との違いや活用例を紹介
2024.05.23
新卒採用動画は、新卒者に向けて企業の魅力や社風を視覚的に伝えられるツールです。
動画慣れしたデジタルネイティブ世代にリーチしやすく、Webサイトやオンライン会社説明会など幅広いシーンで活用できることから、採用活動に取り入れる企業が増えています。
なかには中途(キャリア・経験者)向けの採用動画を流用するケースもありますが、効率的なアプローチをするなら別々に制作する方がメリットが大きいです。
そもそも新卒と中途ではニーズに違いがあるので、ターゲットを絞って制作した方がミスマッチが少なく、成果をあげやすくなります。その結果、応募者数や費用対効果のアップにも繋がりやすくなるでしょう。
本記事では、新卒と中途採用動画との違いや、新卒の求職者に響く内容の考え方、動画の効果的な活用事例についてわかりやすく解説します。
【この記事でわかること】
- 新卒採用動画と中途採用動画の違い
- 新卒採用動画を制作する3つのメリット
- 成果をあげる新卒採用動画の内容と活用例
- 新卒採用動画制作のポイントと注意点
新卒採用動画と中途採用動画の違い
一般的な新卒採用希望者と中途採用希望者とでは、現在の立場や持ち前のスキルに違いがあります。企業に求める要素もそれぞれ違うため、新卒者の志向に合わせたアプローチをすることが大切です。
① ニーズや志向が違う
【中途採用希望者の場合】
すでに仕事の経験やスキルがあるため、キャリアアップやスキルアップが目的で転職を希望することが多い。企業にはそのための環境や制度を求める傾向。
【新卒採用希望者の場合】
実務未経験のため、社会に出ることや職場環境に不安と期待を抱いていることが多い。社風や自身の成長の機会があるかどうかを気にする傾向。
② 伝えるべきメッセージが違う
【中途採用希望者の場合】
入社後のキャリアパスや資格取得に関する福利厚生など、キャリアビジョンの実現に役立つ情報を伝える。職務内容などにも具体性を持たせる。
【新卒採用希望者の場合】
主に職場環境や人間関係に焦点を当てて伝える。企業文化や社風、社員間のコミュニケーションのとり方など、働く姿がイメージできる構成を意識する。
③ 使用する言葉や全体のトーンが違う
【中途採用希望者の場合】
社会人経験があるため、一般的なビジネス用語を理解できることが前提。キャリア採用をする場合は業界の専門用語も使用できる。
【新卒採用希望者の場合】
社会人経験がないため、一般的なビジネス用語に馴染みが薄い可能性がある。意味が伝わりにくい言葉や専門用語の使用は極力控え、わかりやすい言葉や親しみやすいトーンを意識する。
新卒採用動画を制作する3つのメリット
両者の違いを踏まえ、改めて新卒向けの採用動画を制作するメリットは大きく3つあります。
① 写真や文章だけでは伝わりにくいリアルなイメージを共有できる
もともと動画は、写真や文章だけではわかりにくい情報をわかりやすく伝えることが得意なツールです。「イメージ」を伝えることに長けているので、可視化が難しい職場内の雰囲気や人間関係などを知りたい新卒者向けの採用動画とは特に相性が良いです。
実際に働く環境や、働いている社員の話し方、社長の雰囲気など写真では伝わりにくい情報も、動画ならリアリティをもって共有することができます。
② デジタル/スマホネイティブ世代は動画コンテンツへの関心が高い
ターゲットである新卒者は、インターネットや動画コンテンツになじみが深いデジタル/スマホネイティブ世代です。
日常生活で必要な情報は文章ではなく動画から得るという人も多いため、動画コンテンツを用意することで企業に興味を持ってもらいやすくなります。
③ 他社と差別化できる・競争力のアップ
新卒採用動画を活用することで、自社の魅力を様々な角度から伝えることができます。他社と差別化し、自社の個性を際立たせる手法として非常に有用です。
例えば社員のインタビュー動画や、ドキュメンタリー仕立ての動画、職場内を疑似体験できる動画、ネタ系のおもしろ動画、VRなど…企画や構成次第で新卒者の記憶に残るコンテンツを制作することができます。
成果をあげる新卒採用動画の内容と活用例
成果をあげる新卒採用動画とはどのような内容なのか、大きく2つのパターンに分けて制作事例を紹介します。
①「会社」を知ってもらう
社内の雰囲気や社風、企業文化、職場環境、設備など、どのような会社なのかを知ってもらうことが目的です。社長からのメッセージや企業ビジョン、社員が働く様子、福利厚生の内容などを自社の魅力としてアピールし、動画にしています。
【コンセプト動画】
- 伝えたいメッセージをキャッチコピーにする
- イメージやインタビューを交え、新卒者の印象に残る映像を意識する
- 尺が短めなので(2~5分程度)凝った内容にしやすい
- シネマティックな演出やドラマ仕立ての構成なども有効
- アニメーションやナレーションを取り入れることもある
【コンセプト動画】事例
三菱地所|採用コンセプトムービー"NANIMONO"
※他社制作動画
清水建設|土木系新卒採用ムービー「シミズノヒト」
※他社制作動画
みずほ|新卒採用ムービー ともに歩もう。自分らしい道を。
※他社制作動画
【企業紹介動画】
- キャリアパス、福利厚生、教育制度など新卒採用希望者にとってメリットになる情報を入れる
- 全て詰め込むと尺が長くなりすぎることがあるので注意
- 端的でキャッチーにまとめることを意識する
- オフィスの設備や関連施設の紹介を入れるのも有効
【企業紹介動画】事例
パナソニック オートモーティブシステムズ|会社紹介ムービー
※他社制作動画
【ヒストリー動画】
- 会社沿革を初めて見る人にもわかりやすいようにまとめる
- 創業者の思いや設立の経緯、現在に至るまでの紆余曲折などを入れ込む
- 企業分析(企業研究)に利用できる内容にする
- 視聴者(新卒者)にファンになってもらうことを意識する
- 老舗の企業ほど長いドラマがあり、興味を抱いてもらいやすい
- 固すぎる「歴史」は敬遠されることがあるので注意
- アニメーション要素を取り入れて「面白さ」を意識するのも有効
【ヒストリー動画】事例
星野リゾート|歴史のご紹介
※他社制作動画
サトー|サトーの歴史
※他社制作動画
②「働く人」を知ってもらう
働いている先輩社員の生の声やリアルな職場の雰囲気を映像化して、どのような人がどのような思いで働いているのか知ってもらうことが目的です。
実際に入社した後の自分の姿をイメージしやすいため、ミスマッチの回避やエンゲージメント向上にも効果的です。
【インタビュー動画】
- 動画制作のポイントと注意点で決めたターゲットに合わせた人選をする
- ターゲットに向けて自社の魅力が伝わるようなテーマを選ぶ
- できるだけ台詞っぽくならないよう、自然に話してもらう
- 嘘の情報や誇大広告はNG
- インタビューに答えている画と、働いている画(インサート)を入れると良い
【インタビュー動画】事例
リクルート|新卒採用コンセプトムービー
※他社制作動画
ソニー|若手社員インタビュー
※他社制作動画
【座談会動画】
- 社員同士のフラットな会話が見られるので、よりリアルさが出る
- 社内の人間関係や日常的な雰囲気を感じてもらえる
- 上手くまとまらない場合は、TV番組のようにMC役を入れると有効
【座談会動画】事例
バンダイ|社員の同期座談会
※他社制作動画
株式会社Works Human Intelligence|社員の本音座談会を公開
※他社制作動画
【YouTubeショート動画】
- 1分という短い尺だからこそ、伝えたいことをシンプルに伝えられる
- 奇抜な企画にもチャレンジしやすい
- 動画にバリエーションを持たせられる
- 1つの企画から複数の動画が制作できる
【YouTubeショート動画】企画例
『社食が人気の企業が、福利厚生をアピールする動画』
社食のメニューでレシピ動画風のショート動画を制作 ⇒「実は社食でした」というオチをパターン化 ⇒ 他のメニューでも制作 ⇒ 複数の動画を展開
【YouTubeショート動画】事例
USEN-NEXT GROUP|IT企業新卒採用担当の1日
※他社制作動画
株式会社日本M&Aセンター|新卒社員の入社した理由は?
※他社制作動画
「イケメンなのに○○なお兄さん」 街中採用ドキュメンタリー!
※他社制作動画
【密着ドキュメンタリー動画】
- ドキュメンタリータッチにすることでリアル感が出る
- 実際に働いているシーンや入社後の生活を具体的にイメージできる
- 新卒者の不安点や疑問点を払拭する手助けになる
- 休憩の様子やランチのシーンなど、一見仕事とは関係のないシーンを取り入れるのも有効
【密着ドキュメンタリー動画】事例
商船三井|若手社員の1日に密着
※他社制作動画
新卒採用動画制作のポイントと注意点
新卒採用動画の制作は、内製で行うケースと動画制作会社や個人の制作者に依頼するケースがあります。どちらのケースでも必要になるチェックポイントをまとめたので、制作の参考にしてください。
① 目的を明確にする
最初に、何のために新卒採用動画を制作するのか「目的」を明確にします。自社が抱える採用課題を可視化して、動画によって改善したい目的として設定しましょう。
【目的の設定例】
- 課題「そもそも応募者数が少ない」
目的「応募者数・コンバージョン数を増やす」 - 課題「内定辞退者が多い・人材のミスマッチが多い」
目的「自社にマッチする人材を獲得する」 - 課題「企業の認知度が低い」
目的「企業のブランディング力・認知度を上げる」 など
② ターゲットを設定する
目的が定まったら、目的に沿ったターゲットを設定します。ターゲットは「動画によってメッセージを伝えたい相手」であり、「自社が求める具体的な人物像」です。
どのような人に応募して欲しいかを詳細に書き出して、「ペルソナ」として理想の人物像を作成しましょう。
【ペルソナの設定例】
- 学歴: 不問
- 経験:学生時代に接客業のアルバイト経験あり、同業界のインターンシップ経験あり
- 志向性:成長意欲が高い、新しいことへのチャレンジを楽しむことができる
- 価値観:自己やチームの成長に価値を感じる、資格取得やスキルアップに積極的に取り組みたい
- キャリアの目標:リーダーシップを発揮できるポジション、マネジメントスキルの獲得
- 興味・関心:最新のテクノロジー、AIや再生可能エネルギーなどトレンドの技術、イノベーション
- 就職先に求める条件:自己成長の機会が多いこと、キャリアパスが明確であること
- 望まない就職先:上層部からの一方的な指令や意思決定が文化になっている企業
- 特に重視する項目:将来的に昇進できる制度、キャリアパス
設定したペルソナは、動画の配信先の設定や動画の企画内容を考えるときに役立ちます。
例えば上記のようなペルソナを設定した場合、動画内で自社のキャリアパスの詳細を取り上げることは必須になります。キャリアアップ制度や自己成長に繋がる福利厚生を重点的に打ち出していきましょう。新卒者が自身を投影しながら見られるような内容も有効です。先輩社員が自身の経歴やキャリアパスについて語るインタビュー動画なども興味を惹くことができるでしょう。
③ 自社の魅力(訴求点)を洗い出す
続いて、新卒者の視点に立って自社の魅力を洗い出します。
実際に新卒者が就職したらどのようなメリットがあるのかを書き出し、自社の訴求点としてまとめましょう。
【自社の魅力(訴求点)の例】
- 社員やチームの挑戦を推奨する社風、自己成長を支援する制度や環境が整っている
→「挑戦と成長ができる企業」 - チームワークを何より重視、上層部を含め社員同士が協力、共感し合う文化が根付いている
→「協力と共感の文化がある企業」 - ワークライフバランスを重視、フレックスタイム制度・リモートワーク対応・産休育休・リフレッシュ休暇などそのための制度が充実している
→「多面的な働き方ができる企業」 - 企業として社会的責任を重視、継続的な環境保全活動や地域社会貢献活動などの実績がある
→「社会貢献活動に積極的に取り組む企業」
④ 適切なフォーマットを選択する
新卒採用動画を制作をするにあたって、適切なフォーマットを選ぶことも大切です。動画のフォーマットは、想定している活用シーン(場所やデバイスなど)によって変わります。
フォーマットについてはやや専門的な内容になるため、動画制作会社との打ち合わせの際に提案してもらうと失敗がありません。
例えばSNSやYouTubeなどモバイルデバイスを中心に視聴されることを想定するのか、会社説明会会場のスクリーンなどで放映することを想定するのか、またはその両方なのかなど活用シーンを決めておき、それに合ったフォーマットで制作しましょう。