インタビュー動画の作り方・構図を動画制作のプロが10ステップで紹介
2025.01.23
インタビュー動画を自社の広報活動に活用するとき、このような困りごとを抱えていませんか?
「失敗しないインタビュー動画の作り方がわからない…」
「視聴者の心に響くインタビュー動画の作り方を教えてほしい」
会社の魅力や商品・サービスの価値を発信したいとき、インタビュー動画は効果的な広報活動となります。
この記事では、インタビュー動画の種類と事例を紹介したあとに、具体的な作り方を10ステップに分けて紹介します。
【事例付】インタビュー動画の種類
まずはインタビュー動画の種類と事例を確認して、動画制作のイメージをふくらませていきましょう。
ここでは3つのインタビュー動画を紹介します。
- 1.お客様の声動画(商品・サービス紹介動画)
- 2.採用動画
- 3.会社紹介動画
1.お客様の声動画(商品・サービス紹介動画)
お客様の声動画は、商品・サービスに対する信頼性の向上や購買意欲の促進を主な目的として制作するインタビュー動画です。
自社の商品・サービスの顧客や将来の購入を期待できる「見込み顧客」に向けて、「お客様の声」を紹介することで、視聴者の共感を呼んだり安心感を与えたりします。
お客様の声動画では、商品・サービスの価格や機能よりも、実際に購入した人の体験談や感想にスポットをあてることが大切です。
お客様の声動画のメリットは、購入者のリアルな声を発信できるため、企業主体のプロモーション活動に比べて、顧客の共感や安心感を獲得しやすい点です。
お客様の声動画を広報活動に導入すれば、商品の購入やサービスの利用を検討する顧客の背中を押すことができます。
お客様の声動画の事例
『ランタサルミ』ブランディング動画
※ボーダーレス制作動画
2.採用動画
採用動画は、求職者の共感獲得や企業イメージの向上を主な目的として制作するインタビュー動画です。
就職先の情報を集めている求職者や自社への応募を検討している方に向けて、社長や社員の声、商品・サービスの魅力などを紹介することで、「求職者からの応募数増加」「自社とマッチする人材の確保」を目指します。
自分にあった仕事や会社を探している求職者は、インタビュー動画の社員の姿を自分のキャリアプランの参考にできるでしょう。
商品・サービスの魅力にスポットをあてると、「働きがいのある企業」という印象を視聴者にあたえられます。
採用動画の事例
【TMJスタイル】what is your style?~ショートAtype
※ボーダーレス制作動画
3.会社紹介動画
会社紹介動画は、会社に対する信頼感の醸成やブランドイメージの向上を主な目的として制作するインタビュー動画です。
業界関係者に向けて、企業理念や価値観、長期的なビジョンといった会社の個性を発信することで、会社の本質的な魅力や社会における存在意義などをわかりやすく伝えます。
会社紹介動画では、会社で働く「人」を中心にストーリー性のある動画を制作することが成功の秘訣です。
社長や社員にインタビューを実施して「商品・サービスを開発するまでの苦労話」「事業が軌道に乗るまでの軌跡」などを話してもらうと、自社の価値を効果的に発信できるでしょう。
会社紹介動画の事例
Kyoto Robotics事業本部 案内動画
※ボーダーレス制作動画
インタビュー動画の作り方(企画)
インタビュー動画は「企画→撮影→編集」というステップで制作します。
インタビュー動画の制作は、一見すると人物を撮影して質疑応答をするだけの簡単な作業と思われがちですが、それでは十分な効果を見込めません。
大切なことは、インタビュー動画の目的や用途を明確にすることです。
動画の目的によって、撮影対象者、撮影方法、編集スタイル、さらには質問内容まで大きく変わってきます。
- ステップ1.動画の目的とターゲットを明確にする
- ステップ2.動画の目的にあわせてインタビュー対象者を選ぶ
- ステップ3.適切な質問を用意する
- ステップ4.撮影機材を用意する
- ステップ5.構図とカメラアングルを確認する
- ステップ6.クリアな音声を録音する
- ステップ7.出演者が話しやすい雰囲気を作る
- ステップ8.撮影の冒頭と結末に余裕を持たせる
まずは、動画制作の土台となる企画の作り方から確認していきましょう。
ステップ1.動画の目的とターゲットを明確にする
インタビュー動画の企画では、まず動画の目的とターゲットを明確にします。
動画の目的やターゲットを明確にすることで、適切な撮影・編集方法を絞り込めるようになり、インタビュー対象者に投げかける質問も具体的になります。
まずは、訴求したい商品やサービス、広報活動のゴールを確認して、インタビュー動画の目的・ターゲットを考えてみましょう。
インタビュー動画の目的とターゲットの例
インタビュー動画の種類 | 目的 | ターゲットの基本情報 | ターゲットの特徴 |
---|---|---|---|
採用動画 |
|
|
キャリアアップ、ワークライフバランス、企業文化に関心が高い |
商品・サービスの紹介動画 |
|
|
|
ステップ2.動画の目的にあわせてインタビュー対象者を選ぶ
続いて、動画の目的にあわせてインタビュー対象者(以下、インタビュイー)を選びます。
インタビュー動画の主人公は、インタビュイーです。
動画の目的にあったインタビュイーを選定できると、インタビュー動画の効果が飛躍的に高まります。
たとえば、商品やサービスに関する専門知識や経験を持つ人をインタビュイーに選ぶと、視聴者に納得感をあたえるインタビュー動画を制作できるでしょう。
表情豊かで感情を人に伝えられる人をインタビュイーに選ぶと、視聴者の共感を呼べるインタビュー動画に仕上げられるはずです。
年齢や性別、職業などが異なる複数のインタビュイーを用意した場合、多様性のあるインタビュー動画が完成するでしょう。
インタビュー動画の種類とおすすめのインタビュイー
おすすめのインタビュイー | 選定のポイント | |
---|---|---|
お客様の声動画 | 自社の商品・サービスを利用したことのある顧客 |
|
採用動画 | 社長、役員、一般社員 |
|
会社紹介動画 | 顧客、専門家、自社のスタッフ |
|
ステップ3.適切な質問を用意する
インタビュイーを選んだあとは、適切な質問を用意しましょう。
質問内容を決める際も、インタビュー動画の目的と合致させることが大切です。
たとえば、商品・サービスの信頼性向上を目的とした動画なら、「商品・サービスの購入(利用)を決めたポイント」「購入(利用)してそれまでと何が変わったか」といった質問がおすすめです。
インタビュー動画の目的に沿って、複数の質問を用意しましょう。
なお、シンプルかつわかりやすい質問を用意すると、視聴者の共感を獲得しやすくなります。
インタビュー動画の目的と質問の例
項目 | 質問例 | |
---|---|---|
お客様の声動画 |
|
「どうしてこの商品・サービスを購入しようと思ったのですか?」 「このサービスを利用して、どのように生活が変わりましたか?」 |
採用動画 |
|
「この会社のどんなところに将来性を感じて入社しましたか?」 「この仕事のどんなところにやりがいを感じますか?」 |
会社紹介動画 |
|
「起業から現在までの間で、一番大変なことは何でしたか?」 「現在の事業にかける思いを教えてください」 |
自社のターゲットに響くような質問をチームの皆さんで検討してみてください。
インタビュー動画の作り方(撮影)
ここからは、インタビュー動画の撮影方法について基本的な項目を紹介します。
ステップ4.撮影機材を用意する
インタビュー動画で必要な撮影機材
- カメラ
- 三脚
- 照明器具
- マイク(ピンマイク、ガンマイクなど)
準備しておくと撮影がスムーズに進む撮影機材
- ジンバル(手ブレを補正する機械)
- ケーブル
- 延長コード
- テープなど
動画撮影が可能なカメラには、デジタルカメラ、ビデオカメラ、一眼レフカメラ、アクションカメラ、スマートフォンなど様々な種類のカメラがあります。
撮影時間、撮影環境、予算などを確認して、自分たちにあったカメラを選びましょう。
なお、マイク機能が内蔵されているカメラには、録音した音声が小さくなったりこもったりするというデメリットがあります。
マイク機能が内蔵されているカメラを撮影に用いる場合は、「ピンマイク」または「ガンマイク」を用意してクリアな音声を録音しましょう。
また、カメラを2台以上用意すると、1つの場面を複数のアングルから撮影できるようになり映像表現に幅が出ます。
ステップ5.構図とカメラアングルを確認する
撮影の照明は、被写体が明るく自然に見えるように配慮しましょう。
照明の基本は、「キーライト」「フィルライト」「バックライト」という3つの照明を活用した「三点照明」です。
▼三点照明に関してはこちらの記事をご覧ください
ライティングの基本「三点照明」のポイントをプロが解説【動画撮影初心者】
そして、カメラの高さは、人が立ったままカメラを構える高さ(アイレベル)に調節してみてください。
視聴者は違和感なく動画を視聴できるようになります。
また、撮影のときは被写体とその周囲にインタビュー動画と関連のない物を置かないようにして、シンプルな背景を意識しましょう。
関連のない物が動画に写り込むと、「どうしてこんな物が写っているの?」「何か意味があるのかな」と視聴者が疑問を感じて、インタビューの内容に集中できなくなります。
最後に、動画の構図のポイントを紹介します。
- 「3分割法」を意識する
- 頭の上にこぶし1個分のスペースを設ける
- インタビュイーの目線は、空間が空いている方に向けてもらう
- 撮影のNG構図を避ける
3分割法とは |
---|
視聴者が違和感を覚えず視聴できるように考案された撮影技法の1つ。画面の縦を3分割して線を引き、画面の横にも3分割した線を引く。そして、縦と横の線が交差してできる4つの点のどれか1つに被写体をあわせることで、安定感のある映像になる |
撮影のNG構図とは、串刺し、首切り、目刺しを指します。
撮影のNG構図:串刺し
- 意味:出演者の頭に何かが刺さっているようにみえる構図
- 注意点:背景に電柱や細長い建物などがないか
撮影のNG構図:首切り
- 意味:出演者の首が分断されているようにみえる構図
- 注意点:背景に出演者の首を横切るような構造物がないか
撮影のNG構図:目刺し
- 意味:出演者の目に何かが刺さっているようにみえる構図
- 注意点:出演者の目の位置に何か尖った物が写り込んでいないかか
ステップ6.クリアな音声を録音する
撮影時は、周囲で発生している「音」にも気をつけましょう。
インタビューの音声に、周囲のノイズが含まれた場合、視聴しにくい動画になるおそれがあります。
特に撮影機材に録音機能が備わっているカメラの場合、インタビュー対象者の声だけでなく、周囲の騒音まで拾ってしまう可能性があるので注意が必要です。
理想は可能な限り静かな撮影環境を設定して、不要なノイズを録音しないことです。
しかし、撮影日時や場所の都合で、どうしても周囲のノイズを避けきれないケースもあります。
そのときは、ピンマイクや外付けマイクを活用しましょう。
ピンマイクや外付けマイクは、周囲の雑音を最小限に抑えて、必要なインタビューの声だけをピンポイントで録音するのに役立ちます。
▼マイクの種類や機能について、こちらの記事をご覧ください
マイクの指向性とは?5種類の特徴と使い分けのポイント【動画撮影の基本】
ステップ7.出演者が話しやすい雰囲気を作る
インタビュイーが緊張していると、視聴者にも緊張が伝わってしまうかもしれません。
撮影の前にインタビュイーとコミュニケーションをとって、緊張をやわらげてあげましょう。
また、撮影中に周りのスタッフが、笑顔を心がけたりインタビュイーの発言に頷いてあげたりすると、安心して発言できるようになります。
視聴者の共感を呼ぶインタビュー動画を制作するためにも、インタビュイーがリラックスして撮影にのぞめる環境を心がけましょう。
ステップ8.撮影の冒頭と結末に余裕を持たせる
撮影の際は、動画の冒頭部分と結末終わりの部分を少し長めに撮影して、動画の尺に余裕を持たせましょう。
撮影時に動画の尺に余裕を持たせることで、編集時に余裕をもってカットをつなぐことができ、自然な仕上がりになります。
撮影する前に、カメラのバッテリーやメモリー容量を必ず確認し、撮影中にトラブルが起きないようにしましょう。
インタビュー動画の作り方(編集)
インタビュー動画の企画・撮影まで完了したら、いよいよ最後の編集作業です。
編集作業の重要なポイントを紹介します。
- ステップ9.字幕やタイトルを追加する
- ステップ10.不要な部分をカットして動画をまとめる
ステップ9.字幕やタイトルを追加する
インタビュー動画の編集では、インタビュイーの言葉に字幕を挿入しましょう。
字幕を挿入することで、視聴者はインタビュイーの声と文字の両方から、内容や感情を読み取れるようになります。
また、動画の中でテキストや説明文だけでわかりにくい情報が出てきた場合、写真や画像を挿入してあげると視聴者のイメージ形成をサポートできます。
BGM、ナレーション、効果音の追加は動画の質を高めるための大切な編集作業です。
これらの編集を行うと、より視聴者の視覚と聴覚に訴えるインタビュー動画を制作できるでしょう。
ただし、こうした方法は、使いすぎるとかえって悪印象となるため、ここぞという場面で使用しましょう。
ステップ10.不要な部分をカットして動画をまとめる
インタビュー動画の中で意味を持たないシーンがあれば、積極的にカットしてみてください。
冗長部分のないインタビュー動画は、動画のテーマや伝えたいことが明確なため、視聴者の印象に残りやすくなります。
なお、インタビュー動画を視聴者が集中して視聴できる時間は3分~5分程と考えられています。
インタビュー動画で用いる質問と回答の組み合わせを確認して、最も適切な長さに編集しましょう。
魅力的なインタビュー動画を作るポイントは3つ
インタビュー動画の質を高めるためのポイントを3つ紹介します。
- 1.インサート動画を活用する
- 2.撮影場所や演出方法を工夫する
- 3.インタビュー対象者の「飾らない姿」を発信する
- 4.オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分ける
1.インサート動画を活用する
視聴者を飽きさせないおすすめの手法が、インサート動画の活用です。
インサート動画とは |
---|
インタビュー動画の間に、本編とは別に撮影された映像を差し込む編集方法。インタビュー番組のほか、ニュース番組やドキュメンタリー動画などでも活用されている |
インサート動画を差し込むことで、動画全体の訴求効果を向上できるため、より視聴者に伝わる動画になります。
インサート動画の内容は、インタビュー対象者の話の内容とリンクさせるのがおすすめです。
たとえば、お客様の声動画や商品を紹介する動画の場合、実際に商品を利用しているシーンやサービスを受けているシーンを本編のインタビュー動画の合間に挿入します。
そうすると、視聴者は商品・サービスへのイメージをつかみやすくなるのです。
採用動画なら、インタビューを受けている社員の話とリンクさせるように、社内で働く社員の姿やお客様と会話している社員の様子を挿入するとよいでしょう。
視聴者である求職者は、実際に会社で働く社員の姿と自分の将来像を重ねることで、どのようなキャリアを築けるのかをイメージしやすくなります。
2.撮影場所や演出方法を工夫する
インタビュー動画の目的にあわせて、撮影場所や演出方法にも工夫を加えてみてはいかがでしょうか。
採用動画を撮影する場合なら、会議室のような狭い空間よりも、自然光が差し込む開放的な空間が適切です。
インタビュイーには、笑顔でリラックスして話してもらうと、楽しい雰囲気や仕事のやりがいが視聴者に伝わりやすくなります。
また、商品の紹介動画で信頼性やリッチ感を重視する場合、以下のような演出方法が効果的です。
- インタビュー動画の背景をブランドカラーで統一する
- 2台のカメラで異なる角度から撮影する
- 照明の明るさ、色にこだわる
動画の魅力を引き出すような演出を心がけてください。
3.インタビュー対象者の「飾らない姿」を発信する
インタビュー対象者の自然な回答を引き出せると、視聴者の共感を得やすくなります。
インタビュー対象者が自然に語る様子は、演出されたセリフや台本とは異なり、当事者のリアルな体験や思いを視聴者に届けられるものです。
インタビューでは、質問から回答まで台本通りに進行させることも可能ですが、それでは「言い間違えないようにしなきゃ」とインタビュー対象者が硬くなり、不自然な対応になるおそれもあります。
反対に、インタビュー対象者がリラックスしていれば、自分の本音や思いを語るありのままの様子を撮影できるでしょう。
インタビュー対象者から自然な回答を引き出したい場合は、質問内容を事前に伝えるにとどめ、リハーサルや本番ではリラックスできる撮影環境を作りあげましょう。
4.オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分ける
インタビュー動画の質問方法には、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンがあります。
オープンクエスチョンとは、「この商品を使用して、どう思いましたか?」といった回答者が自由に回答を話せる質問のことです。
クローズドクエスチョンは、「この商品をいつから使用していますか?」といった答えが限定されている質問を指します。
また、「この商品を使用してよかったですか?」と、「はい・いいえ」でしか返答できないような質問もクローズドクエスチョンです。
購入者の具体的なエピソードを引き出したいときや、視聴者の共感が欲しいときは、オープンクエスチョンが効果的です。
こちらの質問に対して明確な答えが欲しいときはクローズドクエスチョンを使用しましょう。
インタビュイーに質問するときに、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分けてみましょう。