映像・動画制作の流れがわかる!工程表で準備~納品までのポイントをチェック
2024.05.23
動画制作には様々な工程があり、依頼から納品まで数ヶ月の期間がかかることもあります。あらかじめ一連の流れや全体像を把握しておくと、制作会社とのやりとりもスムーズに進めやすくなります。
【この記事でわかること】
- 動画制作の基本的な流れがわかる
- 実写動画制作の工程がわかる
- アニメーション動画制作の工程がわかる
- それぞれの工程で気をつけるべきポイントがわかる
- よくある疑問と回答
依頼から納品までの大まかな流れ
基本的に上記のような工程表(フロー)をもとにスケジュールが組まれます。ただし、細かい流れは目的や作りたい動画の内容によって変わります。
本記事では、動画制作の計画から納品まで一連の流れを紹介し、工程表に沿ってポイントを解説しています。効率良く進めるために必要な準備や、実写とアニメーション動画の工程の違い、よくある疑問についてもまとめました。
映像・動画制作の基本的な流れ
制作会社に依頼する前の計画や準備を含めた基本的な流れです。
【計画】~【発注】までの流れ
ここでは、事前に準備しておいた方が良い資料、制作会社選びのポイント、見積り書の見方などを抑えておきましょう。
①【計画】作りたい動画のイメージを社内で固める
作りたい動画のイメージを固めておくことで制作会社側へ情報共有しやすくなり、後々の工程がスムーズになります。以下は、見積りやヒアリング時に必要な項目と、決まっていると良い項目の参考です。
見積りに必須 | 希望納期 | 制作本数 | 映像尺(長さ) | 納品形式 | 撮影の有無 |
---|---|---|---|---|---|
決まっていると良い | 映像の目的(狙い) | ターゲット層 | イメージ動画 | BGM・効果音の有無 | ナレーションの有無 |
他にも、
- 撮影場所の希望の有無
- 字幕テロップの有無と分量
- 素材の支給の有無
- 想定している視聴デバイス(配信するプラットフォーム)
- 予算
などの情報があると見積りやヒアリングの精度が上がります。可能であればプロジェクトの計画段階ですり合わせをしておきましょう。
動画制作を依頼する上で何を重視しているかはっきりさせておくと、制作会社を選ぶときの指標にもなります。
成功のポイント |
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企画書や画像だけでなく、参考動画を用意するとよりイメージを共有しやすくなる。YouTubeやSNSなどで作りたいイメージに近い動画を探しておくと良い。 |
②【調査】依頼先の調査・下調べ
作りたい動画の概要が決まったら、依頼先の調査を行います。
- 動画制作会社のコーポレートサイト
- 動画制作会社をまとめている紹介サイト
- YouTube
- SNS(Instagram・X・TicTokなど)
- クラウドソーシングサイト(ココナラ・ランサーズなど)
上記のようなツールを使い、制作会社(または個人の動画制作者)の実績や得意ジャンル、費用目安、口コミなどを参考に候補を絞っていきましょう。
③【見積り】候補を絞って見積り依頼をする
動画制作会社の多くは、ウェブサイトのフォームなどから無料で見積り作成を承っています。無料見積り=即契約というわけではないので、やりとりの内容を含めて信頼できる制作会社を選び、正式に依頼(発注)するかどうかを決めましょう。
見積り書のなかに不明な項目があるときは、先に質問しておくと後のトラブルを回避できます。「オプション」「別途」などの注釈がついているものは追加費用が発生する可能性があるので注意してください。「諸経費」など大まかな項目で書かれているものは、質問して詳しい内訳を聞いておくと他社と比較しやすくなります。
ジャンル別の見積り費用の目安や内訳の詳細は当社のお見積り例を参考にしてください。
成功のポイント |
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問い合わせ後のレスポンスの早さや、説明のわかりやすさも重視。質問に対して正直な回答が返ってくるか、今後制作を進める上でコミュニケーションはとりにくくないかなどもチェックする。 |
④【発注】正式に依頼をする
制作会社を選定したら、正式に動画制作の依頼(発注)をします。
契約書の内容を確認して、問題がなければ必要事項を記入し、契約締結となります。社内稟議に時間がかかることもあるので、契約書の提出スケジュールには余裕を持つことをおすすめします。
【ヒアリング(打ち合わせ)】~【納品】までの流れ
依頼(発注)後、納品完了までは制作会社側とコミュニケーションをとりながら進行します。プロデューサー、ディレクター、CGデザイナーなど、複数の担当者と関わる機会が増えるので、トラブル回避のためにも伝える要望や希望には一貫性を持たせましょう。
この工程について詳しくは本記事内の「実写動画を制作する場合の流れ」「アニメーション動画を制作する場合の流れ」の見出しで解説しているので、こちらでは簡単な流れのみ紹介します。
- ⑤ ヒアリング(打ち合わせ)
- ⑥ 企画・台本作成
- ⑦ 撮影・デザイン作成・編集
- ⑧ 映像チェック
- ⑨ 納品
実写動画を制作する場合の流れ
実写動画を制作する場合のヒアリング(打ち合わせ)〜納品までの流れです。
実写動画とは、実際の風景や人物などを撮影・編集して作られる動画のことです。内容や映像尺にもよりますが、撮影場所やキャストの手配を制作会社側で行う場合、比較的納期が長めになります。
1)ヒアリング(打ち合わせ)
ヒアリング(打ち合わせ)では、前述の「作りたい動画のイメージ」を深堀りしながら仕上がりイメージやスケジュール感を共有します。
初回の打ち合わせ(ヒアリング)はプロデューサーがメインで担当することが多いですが、動画の内容によってはディレクターが同席し、より具体的な提案や企画の話をするケースもあります。
成功のポイント |
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Youtubeなどで参考になりそうな動画を探しておくと、ヒアリング時に共有できるので話を進めやすい。 |
2)企画作成
ヒアリング内容をもとに、動画の企画構成案が作られます。
抱いていた動画のイメージに相違がないか、目的やターゲットに沿った企画内容になっているかなどをチェックし、必要があれば修正の希望を伝えます。
持ち込み企画の場合、この工程はありません。
成功のポイント |
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複数の異なる企画を提案されることもある。その場合は企画書だけで判断せず、こちらから積極的に質問をして企画意図などを含めてプレゼンしてもらうと失敗が少ない。 |
3)シナリオ・コンテ作成
シナリオ・コンテは動画の構成台本のことです。
一般的に、シナリオは文字ベースで出演者の台詞や動きを記したものを、コンテ(絵コンテ・動画コンテ)はイラストや動画ベースでさらに細かいカット割りやカメラワークまで記したものを指します。
シナリオ・コンテは動画全体の骨格になるため、何度か修正を繰り返してようやく完成することもあります。入念にチェックを行って、必要があれば質問や修正依頼をしてブラッシュアップさせましょう。
成功のポイント |
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出演者の台詞などは基本的にこの時点で確定させる。ナレーションの細かい言い回しなどは、MAの工程まで修正できることもある。 |
4)撮影準備・撮影
出演者のキャステングや撮影機材の準備、ロケハン、撮影場所の予約、香盤表作成などの撮影準備を終えたら、撮影本番を迎えます。
当日は撮影現場に立会い、出演者の演技や台詞、撮影した映像などを確認する必要があります。このとき気になることがあれば、遠慮せずその場ですぐディレクターに伝えることが大切です。
現場の判断で、必要に応じて撮り直しが行われることもあります。
成功のポイント |
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撮影した映像はその場で入念にチェックする。撮影のチャンスは1度切りしかないため、妥協せず慎重に進める。 |
5)編集
編集の工程では、撮影した映像をシナリオ・コンテに沿ってタイミングよくつなぎ合わせ、色味の調整やBGMの追加などが行われます。
オープニングやテロップ(文字)などの希望がある場合、この工程で入れられます。
成功のポイント |
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編集作業はコンテに沿って行われるため、変更が発生した場合は事前に伝えておく。 |
6)試写(映像チェック)
編集作業が8~9割程度完了した状態で、試写(映像チェック)を行います。ナレーションが入る場合、この時点では仮音源です。
シナリオ・コンテに沿って編集されていることが前提ですが、実際に見てみて、細かいタイミング調整などの要望があればこのときにフィードバックしましょう。
チェックと修正が数回繰り返され、ブラッシュアップに1ヶ月ほどかかることもあります。
成功のポイント |
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修正の希望は、できるだけ具体的に伝える。「どこをどのように修正するか」に加え、「なぜそうしたいか」を伝えることでゴールのイメージが共有しやすくなる。 |
7)MA(マルチオーディオ)
MA(マルチオーディオ)は、音声の収録や、音質・音量を整える作業のことです。
動画にナレーションを入れるときなどは、撮影と同様に立ち合いが必要なケースもあります。
成功のポイント |
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ナレーターは事前に複数の候補を出してもらい、比較検討して決めると良い。その後、決定したナレーターでMAを行うと失敗が少ない。 |
8)納品
完成した動画は、打ち合わせ(ヒアリング)時に希望した形式で納品されます。
アニメーション動画を制作する場合の流れ
アニメーション動画を制作する場合のヒアリング(打ち合わせ)〜納品までの流れです。
アニメーション動画とは、手書きやデジタルで描かれたイラストやグラフィックに動きを加えた動画のことです。内容によっては実写より制作期間が長くなることもありますが、撮影が必要ないアニメーション動画であれば期間や予算を抑えられるケースもあります。
アニメーション動画について詳しくはこちらの記事で解説しているので参考にしてください。
1)ヒアリング・打ち合わせ
「作りたい動画のイメージ」をヒアリング(打ち合わせ)によって深堀りし、完成イメージやスケジュール感を共有します。
通常はプロデューサーがメインで担当しますが、ディレクターが同席することもあります。アニメーション動画の場合、CGデザイナーが同席して直接ヒアリングを行うケースもあります。
成功のポイント |
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口頭だけでデザインのイメージを伝えるのは難しいため、テイストの参考になりそうな画像や動画を集めておくと良い。 |
2)企画
ヒアリングをもとに企画構成案が作られます。
作りたい動画のイメージから逸れていないかチェックし、必要があれば再度要望を伝えて修正してもらいましょう。
持ち込み企画の場合、この工程はありません。
成功のポイント |
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複数の異なる企画案を提案された場合は、企画書だけで判断しない。企画意図などを含めて直接プレゼンしてもらいながら選ぶ方が失敗が少ない。 |
3)シナリオ・コンテ作成
シナリオ・コンテは構成台本のことで、アニメーション動画全体の骨格を作る大事な作業です。
ストーリーやカット割り、台詞や演出などがこの工程で決まるため、入念にチェックを行いましょう。気になることはこの時点で質問し、解決しておくことで後のミスマッチが起きにくくなります。
シナリオ・コンテは、何度か修正を繰り返して完成させることもあります。
成功のポイント |
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ストーリーのなかの訴求点を1つに絞ると、視聴者に伝わりやすいアニメーション動画になる。 |
4)デザイン作成
アニメーション動画の素材になるキャラクター、背景、テロップなどのデザインを作る工程です。
イラスト(静止画)の状態でチェックできる最後の段階なので、納得いくまで打ち合わせを重ね、しっかりデザインを固めましょう。
成功のポイント |
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デザインのブラッシュアップはこの工程で行うこと。アニメーション作成後にキャラクターの修正などを行うと、修正時間や費用がかかってしまう。 |
5)オフライン作成
オフライン作成とは、アニメーションの前段階で、ざっくりとした仮の動画を作ることです。
コンテをもとにデザイン素材を編集し、オフライン作成を行います。
成功のポイント |
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制作会社やスケジュールによって、依頼主のチェックを必要とせず次の工程へ進むことがある。確認したい場合は事前に申し出ること。 |
6)アニメーション作成
アニメーション作成は、実写動画でいう「編集」の工程です。
デザイン素材にモーション(動き)をつけて、コンテに沿ったストーリーを編集していきます。この工程は、モーションの複雑さや映像尺などによって作業に必要な時間が大きく変わります。
通常、BGMや効果音などもこのときに追加されます。
成功のポイント |
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コンテに沿って作成されるため、変更点がある場合はあらかじめ伝えておくこと。 |
7)試写(映像チェック)
8~9割程度完成したら、試写(映像チェック)を行います。ナレーションが入る場合、この時点では仮音源です。
実際にできあがった動画を見て、気になる点をチェックします。一口にアニメーションと言っても、種類は様々です。ゆるやかな動き、激しい動き、小さな動き、大きな動きなど、視聴者に与える印象の違いを考慮しながら目的に合ったアニメーションになるようフィードバックを行いましょう。
チェックと修正を何度か繰り返し、ブラッシュアップさせていきます。
成功のポイント |
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動画を作る「目的」や「ターゲット」の軸をブレさせない。それに対してアニメーションや演出が最適かどうかをチェックの指標にすると失敗が少ない。 |
8)MA(マルチオーディオ)
MA(マルチオーディオ)は、音声の収録や、音質・音量を調整する作業です。
動画にナレーションを入れる場合、撮影と同様に立ち合いが必要になることが多いです。
成功のポイント |
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ナレーターを選ぶときは事前に複数の候補を出してもらい、比較検討すること。その後、決定したナレーターでMAを行うとミスマッチが起こりにくくなる。 |
9)納品
完成した動画は、打ち合わせ(ヒアリング)のときに希望した形式で納品されます。
よくある疑問(Q&A)
動画制作の流れやスケジュールについてよくある疑問をまとめました。
ボーダーレスでは、異なる4パターンの映像・動画制作の流れ(基本フロー)を公開しているのでそちらも参考にしてみてください
Q:実写動画とアニメーション動画では、どちらの方が早く作れますか?
A:撮影が無い分、アニメーションの方が比較的早く作れることが多いです。
ただし、アニメーションの内容によっては実写動画より制作期間が長くなることもあります。
Q:動画制作の工程のなかで、依頼者側がやらなければいけないことはありますか?
A:制作会社にお任せの場合、基本的にはチェックのみで大丈夫です。
企画やデザインなど全て制作会社に任せる場合、基本的には制作物のチェックやフィードバックを行うのみで進行可能です。
ただし、作りたい動画のイメージがある程度決まっている場合、制作会社側へイメージを共有するために参考資料などを用意する必要があります。
スムーズに進行するための下準備については「【計画】~【発注】までの流れ」の見出しを参考にしてください。
Q:動画制作を開始してから納品までのスケジュール(納期)はどれくらいですか?
A:企画・構成を含め、通常2ヶ月~3ヶ月程度のスケジュールで進行することが多いです。
ただし、動画の制作期間はプロジェクトの規模や映像尺、表現方法、撮影の有無などによって大きく変わります。
【具体的な例】
- パワーポイントのスライドショーの動画化(10分)…約2週間
- テレビCM(30秒)…約3か月
- サービス紹介動画(1分)…約2か月
- Web広告(5分前後)用のモーショングラフィックス動画…約2か月
- Eラーニング用動画(30分)…約3か月
Q:スケジュールがタイトな場合はどうしたらいいですか?
A:柔軟に対応できることもあるため、制作会社へ相談ください。
納期までのスケジュールがタイトな場合、柔軟に対応してもらえることもあるため、まずは制作会社の担当者へ相談してみましょう。
また、短縮できる可能性のある工程として、「お客さまが制作物をチェックする時間」があります。例えば、企画構成をお客さま自身で行うことで、その分の時間と予算をカット(または縮小)することができます。
ボーダーレスでは、できる限りお客さまのご希望に沿ったスケジュールで進行できるよう最善を尽くしております。ぜひお気軽にご相談ください。