ダイナミックマイクとコンデンサーマイクの音質を比較してみた【動画撮影の基本】
2022.05.19
今回の『動画の学校 ボーダーレスゼミ』のテーマは、動画撮影に欠かせないマイクについて。ダイナミックマイクとコンデンサーマイクの音を比較して、2つの違いについてわかりやすく解説していきます。
アシスタントはタレントの華綸(けりん)さんです。
動画撮影に使われるマイクは構造上、大きく分けて2種類あります。
動画制作の現場では音声収録でミスが起こることも多いので、マイクの知識は重要です!
1. ダイナミックマイクの構造と特徴
ダイナミックマイクの構造や特徴をチェックしましょう。
① 電源が不要
音の振動を電気信号に変えることができる。
内部で電流を発生させるため電源供給が必要ない。
② 感度が低い
大きい音に強く、小さい音は拾いにくい。
③ 壊れにくい
シンプルな構造で耐久性に優れている。
④ ダイナミックマイクが使われる場面
音が割れにくいため、大きい音の収録に適している。
例)カラオケ・楽器のレコーディング・ナレーション収録など
2. コンデンサーマイクの構造と特徴
コンデンサーマイクの構造や特徴をチェックしましょう。
① 電源が必要
電極に電気を貯め、音の振動で電圧を変化させて電気信号に変える。
接続機器や電池からの給電が必要。
② 感度が高い
大きい音に弱く、小さい音や遠くの音は拾いやすい。
③ 雑音を拾いやすい
感度が高いため、小さな雑音やノイズを拾いやすい。
④ 壊れやすい
繊細な構造で衝撃や湿気に対する耐久性が低い。
⑤ コンデンサーマイクが使われる場面
低音域から高音域まで幅広い周波数の音が拾えるため、様々な現場に適応する。
例)ガンマイクを使ったロケ・室内での実況・ライブ配信など
3. コンデンサーマイクとダイナミックマイクを比較
実際にコンデンサーマイクとダイナミックマイクで収録した音を聴き比べてみましょう。
① コンデンサーマイク(感度が高い)
音源から距離が開いても比較的はっきりと聞こえる。
② ダイナミックマイク(感度が低い)
音源から距離が開くほど音が小さく聞こえる。
コンデンサーマイクとダイナミックマイクを比較してみよう
4. コンデンサーマイクで音声収録をするときのポイント
ビデオグラファーやビデオカメラマンはダイナミックマイクよりコンデンサーマイクを使うことが多くなります。コンデンサーマイクを使うときの注意点やポイントをおさえておきましょう。
① キャノン端子(キャノンケーブル)は電源供給もできる
キャノン端子(キャノンケーブル)を使ってカメラやミキサーと接続する場合、音の信号と併せて電気を流すことができる。
② マイクを使用する前に電源の供給方法を確認しておく
カメラのホットシューから電源供給できるコンデンサーマイクもある。
③ 対応の予備電池をカメラバックに常備しておく
接続機器から供給できない場合や電池切れに備え、予備を常備しておく。
【豆知識】テレワークにおすすめなのはダイナミックマイク?コンデンサーマイク?
テレワークでのWeb会議(リモート会議)に向いているのは、ダイナミックマイクとコンデンサーマイクのどちらなのでしょうか?
一般的な室内でのテレワークなら「ダイナミックマイク」がおすすめ
自宅の書斎やリビングなど一般的な室内でのテレワークなら、おすすめなのはダイナミックマイクです。
テレワーク用のマイクを選ぶ際、重視すべき点は相手に聴き取りやすい音声を提供することです。一見、感度が高いコンデンサーマイクの方が向いているように思いますが、一般的な部屋でテレワークに使用するのはあまりおすすめできません。
なぜなら「感度が高い=ささいな音まで拾うことができる」という特徴がデメリットになりやすいからです。コンデンサーマイクは本人の声だけでなく周囲の環境音まで収音しやすいという特性上、Web会議の相手にもそれらが聞こえてしまう可能性が高くなります。
例えばエアコンや空気清浄機の稼働音、キーボードを打つ音、子供の声、ペットの鳴き声、玄関チャイムの音、屋外を走るトラックの音など…相手に聞こえてほしくない生活音までマイクに入ってしまうのは大きなネックになります。
一方、感度が低いダイナミックマイクは周囲の環境音をあまり拾わないという特徴があります。マイクを口元に設置して大きな声で話せば、本人の声だけをしっかり届けてくれるのがダイナミックマイクの良さです。
ささいな声の変化や息遣いなど繊細な表現には不向きですが、一般的なテレワークのWeb会議であればそういったことはまず求められません。丈夫で扱いやすく、壊れにくい点も初心者にはメリットといえます。
防音環境が整えられるなら「コンデンサーマイク」もあり
例外として、テレワーク中の環境を整えられる方であればコンデンサーマイクの使用も視野に入れることができるでしょう。ネックになる生活音や環境音などのノイズも、音声を収録する環境が整った場所であればクリアできるためです。
音質にこだわりたい場合も、ダイナミックマイクよりコンデンサーマイクの方が向いています。YouTube実況や配信をされている方は室内の防音環境が整っていることも多いため、繊細な表現ができて音質が良いコンデンサーマイクは人気があります。
もちろん、ダイナミックマイク・コンデンサーマイク共に高価なものはその分性能や音質が格段に良くなります。テレワーク用のマイクにそこまで求めないということであれば、機能性やコスパ、使いやすさで選ぶのがおすすめです。
【テレワーク用マイクに人気の機能やタイプ】
- ノイズキャンセリング機能(ノイズリダクション機能)
- エコーキャンセラー機能
- オートゲインコントロール機能
- ヘッドセットタイプ
- スピーカーフォンタイプ
- USB接続タイプ
- ミュートボタン搭載タイプ など