アスペクト比とは?画面の規格サイズと特徴を知ろう【動画撮影の基礎知識】
2023.03.17
今回の『動画の学校 ボーダーレスゼミ』のテーマは、動画のアスペクト比について。動画制作の現場でよく使われる規格サイズや特徴についてわかりやすく解説していきます。
アスペクト比とは画面の幅と高さの比率のことで、「幅:高さ」で表されます。
1.規格サイズとして使われる主なアスペクト比
規格サイズとして使われる主なアスペクト比は5種類あります。
①16:9
テレビやネット動画でおなじみのアスペクト比。カメラやスマホの動画設定は16:9が基本サイズ。
②4:3
正方形に近いアスペクト比。アナログ放送時代のテレビサイズ。
昔の4:3のCMや番組を16:9のテレビで放送するときは両サイドの余白をぼかすこともある。
DVD規格は「スクイーズ」と呼ばれる技術で16:9の映像を4:3に圧縮して収録している。
③シネマスコープ(2.35:1)
通称シネスコ。主に映画で使用されるアスペクト比。映画的な演出としてMVやドラマで使われることもある。
④スクエア(1:1)
正方形のアスペクト比。主にインスタグラムで使われる。おしゃれな印象がある。
グザヴィエ・ドラン監督の『Mommy(マミー)』という映画で採用された画角でもある。
⑤9:16
縦長のアスペクト比。主にTikTokやYouTubeショートで使われる。
2. アスペクト比による印象の違い
動画のアスペクト比が変わると見る側の印象はどう変わるのでしょうか?
アスペクト比はスマホやパソコンで簡単に調整可能なので、印象の違いを利用して作品作りをすると表現の幅が広がります。
①横長のアスペクト比
客観的な印象になる。背景の情報が多いため、引いた目線で見やすい。
②正方形に近いアスペクト比
主観的な印象になる。制作者側が見せたい部分をクローズアップしやすい。
③縦長のアスペクト比
個人的な印象になる。全身像などの自撮りで効果を発揮する。
【豆知識】スマホのアスペクト比の主流とは?
一般的なスマホのアスペクト比はどれくらいなのでしょうか?
近年のスマホのアスペクト比は縦長傾向
2013年~2017年頃までのスマホのアスペクト比は、9:16が主流でした。9:16といえば、ちょうどテレビやYouTube動画のアスペクト比を縦にしたサイズです。
5.5インチの大画面液晶が話題になった「iPhone 6Plus」や、エッジスクリーンが特徴的な「Galaxy S7 edge」、根強いファンが多い「iPhone7」なども、全て9:16のアスペクト比でした。
しかし2023年現在では、スマホのアスペクト比は9:20や9:19.5などがメインです。近年のスマホの液晶画面は縦長化している傾向で、画面サイズが大きいことで知られるXperiaシリーズなどでは9:21とかなり縦長なアスペクト比の機種も存在します。
主なスマホのアスペクト比
現在発売されているスマホの人気機種のアスペクト比を一覧にしたので、参考にしてみてください。
機種名 | アスペクト比 |
iPhone14 | 9:19.5 |
iPhone14 Plus | 9:19.5 |
iPhone14 Pro | 9:19.5 |
Xperia 5 IV | 9:21 |
Xperia 1 IV | 9:21 |
Galaxy S22 Ultra | 9:19.3 |
Galaxy A53 5G | 9:20 |
AQUOS sense7 | 9:20.3 |
スマホ縦長化の原因はベゼルレスデザインにある?
スマホのアスペクト比が縦長化する発端となったのは、2017年の秋頃に発売された「iPhoneX」だといわれています。
iPhone初の顔認証システムが搭載され、発売当時かなり話題になった機種なので記憶に新しい人も多いかもしれません。iPhoneXにはホームボタンがなく、ベゼル(画面の枠部分)レスデザインスマホの走りともいえます。
ベゼルを無くすメリットは、本体のサイズを変えずに液晶画面を大きくできることです。iPhoneXは、「画面は大きい方が良いけど本体があまり大きいと持ち歩きも入力もしづらい」という当時のスマホの課題を克服した画期的な機種になりました。
それ以来ベゼルレスデザインのスマホが主流になり、各メーカーからは液晶画面が縦に長い機種が頻繁にリリースされるようになりました。
ちなみに最近リリースされて注目を集めた折りたたみスマホの「Galaxy Z Fold4」などは、開いたときのアスペクト比が18:21.6とかなり変則的な数字になっています。
これからの流行り次第では、また違ったアスペクト比のスマホが主流になる可能性も十分有り得るでしょう。