プロが教える!シネマティックでエモい動画を撮るのに大切な3つのこと【動画撮影】
2023.03.20
今回の『動画の学校 ボーダーレスゼミ』のテーマは、シネマティックでエモーショナルな印象を与える動画の撮り方について。エモい動画に見せるコツやフレームレートの設定のポイントなどをプロが解説していきます。
ここでいう「シネマティック」とは、エモーショナルで映画的な映像を指しています。
▲ 作例動画をご覧ください。
1.エモい動画を撮影する3つのコツ
3つのことに注意するだけで、初心者でも簡単にエモい動画が撮影できるようになります。
- フレームレートを24pにする
- 動いているものを撮影する
- 被写界深度を浅くする
2.動画の画質(質感)には2つの方向性がある
そもそも「エモい」とは、どんな動画のことをいうのでしょうか?
動画には大きく分けて2つの画質(質感)があり、大多数の人は「フィルムルック」な映像に対してエモさを感じるといわれます。
①ビデオルック
テレビのようなパキッとした画質(質感)。
②フィルムルック
映画のような虚構的な画質(質感)。
3.エモい動画を撮影するコツ①
「フレームレートを24pにする」について
3つのコツのうち、「①フレームレートを24pにする」について深堀りして解説していきます。
① フレームレートとは?
動画はパラパラ漫画の原理でできています。1秒間に何枚の連続した静止画を見せるのか?という単位のことを「フレームレート」といいます。
例)24p=1秒間に24枚の静止画を見せている動画
② 残像効果(モーションブラー)とは?
静止画がない部分を脳で補完することを「残像効果(モーションブラー)」といいます。フレームレート24pと60pを比較すると24pの方が残像効果が多いです。
③ なぜフレームレートが24pだとエモくなるのか?
残像効果が多ければ多いほど、フィルムっぽさ(エモさ)を感じるようになるためです。
4.エモい動画を撮影するコツ②
「動いているものを撮影する」について
3つのコツのうち、「②動いているものを撮影する」について深堀りして解説していきます。
① なぜ動いているものを撮影するとエモくなるのか?
動いているものを撮影した方がよりはっきり残像効果を感じることができるためです。
② 残像効果をアップさせるためには?
被写体に動いてもらう、風でなびくものを撮影するなどがあります。
5.エモい動画を撮影するコツ③「被写界深度を浅くする」について
3つのコツのうち、「③被写界深度を浅くする」について深堀りして解説していきます。
カメラのF値について詳しく知りたい人はこちらの記事も参考にしてみてください。
① なぜ被写界深度を浅くするとエモくなるのか?
被写界深度を浅くするとピントが合う部分が限られるため撮影者の意図が視聴者へ伝わりやすくなります。よりメッセージ性が強まり、エモさを感じさせることができます。
6.フレームレートの設定の目安
フレームレートの設定に迷ったときの参考にしてみてください。
24pで撮影 | 雰囲気を重視するとき |
---|---|
30pで撮影 | 普通に撮影するとき |
60pで撮影 | 後処理で加工を行う可能性があるとき |
120pで撮影 | 絶対にスローにしたいとき |
エモさを追求したいときは?
データが重くなるのが気にならないのであれば、60pで撮影するのがおすすめです。理由としては、編集によって後から24pに加工できるためです。
【豆知識】iPhone13・14シリーズに搭載されているシネマティックモードとは?
AppleのiPhone13シリーズ以降には、「シネマティックモード」という動画撮影のための機能が搭載されています。
シネマティックモードとは?
シネマティックモードとは、自動でボケ感やピントを調整し、誰でも手軽に映画のような動画を撮影することができる機能です。
【シネマティックモードの主な特徴】
- 自動で動く被写体にピントを合わせ続ける
- 自動で被写体の周囲(背景)をボケさせる
- 新しい被写体が現れたり、画面から被写体が消えると自動でフォーカスが移動する
- 動画撮影中に手動でF値(被写界深度)の調整ができる
- 動画撮影後に被写界深度やフォーカスポイントの編集ができる
例えば1人で街中を歩いている女性をシネマティックモードで撮影すると、何もしなくても自動で女性にピントが合い続けます。しゃべったり手を動かすような動作を入れても女性はくっきりと映り、背景になっている街並みはほどよくボケた状態がキープされます。
その後、背後から男性に声をかけられた女性が振り向いてカメラに背中を向けたとします。するとカメラは女性から男性へ自動でフォーカスを送り、女性の背中はボケて男性の顔にピントが合うという映画的な表現をしてくれるのです。
シネマティックモードが使えるiPhoneの機種は?
シネマティックモードを使用するためには、機能が搭載されているiPhoneに最新バージョンのiOSをインストールする必要があります。
【シネマティックモードが使える機種】
- iPhone 14 Pro Max
- iPhone 14 Pro
- iPhone 14
- iPhone 14 Plus
- iPhone 13 Pro Max
- iPhone 13 Pro
- iPhone 13
- iPhone 13 mini
※2023年2月時点
シネマティックモードの注意点
シネマティックモードを使うときの注意点は、暗い場所で撮影すると背景のボケ感に違和感が出やすいことです。
被写体にピントを合わせて背景をボケさせる表現はAIが自動で認識して行うため、被写体と背景の境界(コントラスト)がはっきりしている方が上手くいきます。あくまで電子的な処理によってボケ感を出しているため、うす暗い街中で人が大勢いるシーンなどでは人工的な違和感が生まれてしまうことがあるといわれます。
また、シネマティックモードのフレームレートは「30fps」に固定される点や、4K未対応な点にも注意しましょう。