マイクの指向性とは?5種類の特徴と使い分けのポイント【動画撮影の基本】
2023.02.14
今回の『動画の学校 ボーダーレスゼミ』のテーマは、音声収録のクオリティを左右するマイクの指向性について。指向性の意味や種類ごとの特徴、使い分けのポイントをわかりやすく解説していきます。
マイクの指向性とは、どの方向から収音できるかという特性のことです。
1.5種類の指向性マイク
マイクには大きく分けて5種類の指向性があり、複数持っているとクオリティの高い収録が可能になります。
①無指向性
マイクの周囲をフラットに収音する。コンデジ(コンパクトデジタルカメラ)などに多い。
例)「この辺りの環境音を全部拾いたい」という場面・大人数での会議・インタビューなど
②双指向性
マイクの前後から収音する。
例)「向かい合っている2人の声だけを撮りたい」という場面・ラジオ番組・対談収録など
③単一指向性
前方からの収音に優れている。遠くや後方の音はほとんど拾えない。
例)「なんとなく前方の音を撮りたい」という場面・ビデオカメラに付いているマイクなど
④狭(きょう)指向性
向けた方向に対する収音性能が高い。遠くから狙った音をクリアに拾える。
例)「単一指向性よりも遠くの音まで撮りたい」という場面・ビデオカメラに付いているマイクなど
⑤超指向性
目標をピンポイントで収音できる。範囲が狭いので扱いには注意が必要。
例)「狙った音だけ撮りたい」という場面・ガンマイク・ショットガンマイクなど
2. 狭指向性マイクと超指向性マイクを比較
2種類の指向性マイクを使って、狙っている場所を外したときにどれくらい収音できるのか聴き比べてみましょう。
①狭(きょう)指向性マイクの場合
狙っている場所から離れると、音が聴き取りにくくなる。
②超指向性マイクの場合
狙っている場所から離れると、音がほとんど聴こえなくなる。
最後に狭指向性マイクと超指向性マイクを再度聴き比べてみましょう!
【豆知識】テレワークに向いている指向性マイクとは?
テレワークでのWeb会議(リモート会議)には、どのような指向性マイクが向いているのでしょうか?
個人間の打ち合わせなら「単一指向性」マイクがおすすめ
テレワーク中の通話や個人間でのオンライン打ち合わせなら、単一指向性マイクがおすすめです。個人間の打ち合わせをスムーズに行うには、できる限り自分の声だけをクリアに届けることが重要になるためです。
例えば無指向性マイクのように広い範囲に対して感度が高いマイクを自宅で使用した場合、室内の空調の音や屋外の雑音、同居家族が出す生活音などを拾ってしまう可能性が高くなります。
その点、正面の方向に対してのみ感度が高い単一指向性のマイクであれば、正面以外の音は拾いにくいのでノイズも入りにくくなるでしょう。
自宅の書斎やリビングなど、周囲の音が気になる環境でテレワークをするなら単一指向性のマイクを試してみてください。気になっていたノイズが軽減され、オンライン打ち合わせの相手に対して自分の声をスムーズに届けられるようになるでしょう。
複数人参加のWeb会議なら「無指向性」マイクが向いていることもある
複数の人が参加するWeb会議の場合、無指向性のマイクが向いていることがあります。
近頃は、複数の場所にいる複数の人間が同時にオンラインで会議をすることも少なくなくなりました。
例えば会議室に集まっている社員数名と、在宅ワークをしている担当者、他社の方など、多数がオンライン上で顔を合わせて行うWeb会議のような場合。会議室に集まっている数名の音声を拾うには、無指向性のマイクの方が向いています。
なぜなら、単一指向性のマイクだと正面からの音声しか収音することができなくなってしまうためです。無指向性のマイクであれば発言する人に合わせてマイクの向きを変える必要はなく、多人数の音声を拾うことができるので便利です。
ただし、周辺の音まで一緒に拾ってしまいやすい点には注意が必要です。キーボードを打つ音や雑談などがノイズとして入ってしまう可能性は頭に入れておくと良いでしょう。