三脚の正しい立て方と調整のコツをプロが伝授【動画撮影の基本】
2023.02.17
今回の『動画の学校 ボーダーレスゼミ』のテーマは動画撮影の基本、三脚の立て方について。
正しい立て方や注意点、調整のポイントなどを実践しながら解説していきます。
アシスタントはタレントの華綸(けりん)さんです。
三脚を使用するときは安全第一です!正しい立て方や設定方法を学んで現場に活かしましょう。
1. 三脚の正しい立て方
まずは三脚の正しい立て方をマスターしましょう。
① 下段の細い脚を伸ばす
脚を伸ばすときは周囲の邪魔にならないように閉じたままで、下段の細い脚から出す。
最初の1本を軸足にすることで残りの2本を簡単に出すことができる。
② 上段の太い脚を伸ばす
最初に細い脚から出しておくと、太い脚の高さ調整がしやすい。
今は機材の性能が良くなっているため細い脚→太い脚の順番が一般的。
昔の現場では太い脚→細い脚の順番がスタンダードだったため、現場によってはルールが異なることもある。
③ 三脚を広げ、ネジがきちんと止まっているか確認する
ネジはある程度固定されていればOK。
力任せに締めると破損の原因になってしまう。
④ 脚をセッティングする
正面の脚1本を前方に、残りの2本を後方の左右にセッティングする。
正面の脚にはロゴなどがついているので、目印にするとわかりやすい。
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2. 雲台(ヘッド)周辺の設定方法
三脚を立てることができたら、雲台(ヘッド)周辺のセッティングを行います。
① パン棒を調整する
パン棒を自分が扱いやすい位置に調整する。
② チルトブレーキとパンブレーキをかける
チルト(縦の動き)とパン(横の動き)が動かないようにレバーでしっかり固定する。
③ 三脚からカメラプレートを外す
カメラプレートは「フネ」と呼ばれることもある。
④ カメラプレートとカメラを固定する
ズレると危険なのでしっかりと固定する。
ドライバーが無いときはコインでネジを締めることもできる。
⑤ 水平器を使って角度調整をする
水平器の気泡が中心に来るように雲台の下のレバーで角度を調整する。
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3. トルクとカウンターバランスの調整方法
最後に、トルクとカウンターバランスの調整を行います。
① トルクを調整する
トルクはヘッドの硬さを調整する装置のこと。
数字が小さい方へ回すと軽くなり、数字が大きい方へ回すと重くなる。
早いカメラワークのときはトルクを軽く、遅いカメラワークのときはトルクを重くすると扱いやすくなる。
② カウンターバランスを調整する
カウンターバランスは、パン棒から手を放したときにチルト方向のバランスをとる機能のこと。
カメラの重量に合わせて強弱を調整する。
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4. 三脚を安全に使用するポイント
撮影現場で三脚を安全に使用するためのポイントを押さえておきましょう。
① チルトブレーキとパンブレーキをかけたか確認する
ブレーキが外れている状態でカウンターバランスを0にしてしまうと危険なので、必ず固定されていることを確認してから調整する。
② バランス調整は撮影前に済ませておく
撮影がはじまってからの調整は困難なので、必ず撮影前に全ての調整を済ませておく。
③ 床を傷つけたくない場合はテニスボールを使う
脚部の先端(地面に接する部分)に穴の開いたテニスボールを履かせると床が傷つきにくい。
昔から裏技としてプロの現場でもよく使われている。
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【豆知識】三脚を水平に設置するコツはある?
三脚の重心が傾いていると、風やちょっとした衝撃で倒れてしまうことがあるため危険です。
三脚をしっかり水平に設置するには、どのようなポイントに注意すれば良いのでしょうか?
まずは正しい向きでしっかり脚を広げる
三脚には決められた向きがあります。ロゴのある1本が正面に、残りの2本が後方の左右に立つのが正しい形です。
誤って2本の脚が正面側にある状態で立ててしまうと安定しにくいだけでなく、後方の1本が邪魔をしてカメラマンが脚をひっかけてしまう恐れもあるので注意しましょう。
脚を広げるときは、開脚ストッパーが止まるまでしっかり広げきるのもポイントです。中途半端に脚を広げた状態のまま水平に調整しようとしても安定しないため、映像がブレたり三脚が倒れて事故になる危険があります。
水平器を確認しながら脚の長さを調整する
正しい向きで脚をしっかり広げたら、脚の長さ(高さ)を変えて水平になるように調整しましょう。ロケーション撮影の場合、三脚を設置する場所は平らな地面とは限りません。
坂や障害物があるような場所でもカメラを水平の位置で固定するために、まず三脚を水平に整えましょう。
水平かどうか判断するには、三脚についている水平器(水準器)を利用します。液体が入った小さな機器で、気泡が円の中心にきたら水平がとれている証拠です。3本の脚の長さを変えながら、気泡が中心にくるように調整しましょう。
このとき、三脚の脚の長さを変えずに雲台だけで水平を保とうとするのは危険なので避けましょう。重心が安定せず思わぬ事故に繋がる恐れもあります。
ちなみに、三脚に水平器がついていない場合は水平器だけ購入して後付けすることも可能です。
正しい方法で水平に三脚を立てることは、安全な進行をするためにも大切な技術です。