ライティングの基本「三点照明」のポイントをプロが解説【動画撮影初心者】
2023.03.17
今回の『動画の学校 ボーダーレスゼミ』のテーマは、ライティングの基本である三点照明について。三点照明の基本設計から実践のポイントまでわかりやすく解説していきます。
三点照明は映像学校で一番最初に教わる照明の基本です。
動画撮影の場合は写真撮影と違い、被写体が動くこともあるのでその通りに撮影することは多くないかもしれませんが、基本を押さえておくと応用がきくので是非覚えて欲しいです。
1.三点照明の構成
三点照明は、3種類のライトの配置によって構成されています。
①キーライト
一番明るいメインのライト。被写体の斜め45度になるように高い位置に設置する。
屋外例)太陽光
キーライトだけでは反対側に影ができてしまいます。影が出すぎるとあまりきれいに映りません。
②フィルライト
キーライトの影(明暗差)を和らげるライト。光量はキーライトの明るさの1/3~1/4程度で調整する。
屋外例)レフ版
レフ板で太陽光を反射させて暗明差を和らげます。
フィルライトのみの光の当たり方を見てみましょう
③バックライト
被写体の輪郭やエッジを出すライト。光量はキーライトの1/2以上が基本だが、演出によってはキーライトより強くしても良い。
バックライトのみの光の当たり方を見てみましょう
三点照明まとめ
2. 三点照明の基本の考え方
基本の三点照明を理解すると、室内だけでなく屋外での撮影にも応用が効きます。ぜひマスターしておきましょう。
①キーライトを確認
一番明るい光はどれなのか?
②フィルライトの調整
キーライトで生まれた影をどうするか?
③バックライトの調整
被写体の雰囲気や輪郭はどうするか?
3. 照明設計のポイントまとめ
照明は明るくするためではなく影を作るための作業です。そのため、どのような雰囲気の影を作るかが照明設計のポイントになります。
- 照明の基本は三点照明
- 一番明るい光をどこに当てるのか
- 照明は影を設計するもの
【豆知識】背景に演出を加える「バックグラウンドライト」とは?
基本の三点照明以外にも、動画撮影に使われるライティングテクニックはたくさんあります。そのなかの1つが「バックグラウンドライト」です。
バックグラウンドライトの効果とは?
「バックグラウンド」=「背景」に向けて照射するライトを、バックグラウンドライトと呼びます。基本は被写体より後ろに照明器具を配置し、被写体に直接光が当たらない向きで使います。
被写体に向けて光を当てる三点照明の場合、基本的には被写体をどのように見せるかがメインの目的でした。しかし背景に光を当てるバックグラウンドライトの場合、被写体そのものではなく背景や空間全体に演出を加えるのが主な目的になります。
被写体には直接関与しないものの、バックグラウンドライトを上手に使うと画面全体の雰囲気を作ることができます。背景の光と影を調整することで空間に奥行きが出るため、被写体をさらに際立たせる効果もあります。
バックグラウンドライトを使ったライティングテクニックの例
バックグラウンドライトを使うメリットの1つに、限られたスタジオ環境のなかでも異なる印象の画を撮影できることがあります。
例1)グラデーション背景
ペーパーバックや壁面を使った撮影にバックグラウンドライトを加えると、光の強弱によりグラデーション背景を作ることができます。
例えばグレーのペーパーバックの中心にライトを当てた場合。光量が多い中心部分は白くなり、適正な光量が当たっている部分は本来のグレーに、光量が少なくなる外側に行くにつれて黒に近い色になります。
光の位置をずらせばグラデーションの始点も変わるので、画面内の雰囲気を変化させることができます。
例2)白飛び背景
白ホリ(白壁)や白のペーパーバックにバックグラウンドライトを組み合わせることで、まるで白抜き加工をしたような真っ白なシーンを撮ることも可能です。
まず、被写体を壁から少し離した状態で被写体の後ろから壁に向けてバックグラウンドライトを設置します。このとき、バックグラウンドライトの光が被写体に干渉しないようにレフ版やカポックなどを使って調整します。最後に被写体を照らすキーライトを設置すると、背景だけが白飛びした画が完成します。