インナーブランディングとは?社内モチベーションと企業力を上げるための施策例
2024.07.04
企業のブランド価値を向上させ、ビジョンやミッションを従業員へ浸透させることは、多くの企業が抱える課題です。
特に働き方が多様化した現代の日本では、インナーブランディングの重要性が増しています。
一方で、具体的な施策や進め方がわからず、頭を悩ませている担当者も少なくありません。
インナーブランディングに成功した企業では、社員モチベーションの向上や離職率の低下、質の良い人材の採用など、多様な効果を発揮しています。
また、ブランディングと相性の良い動画制作を施策に取り入れることで、さらに大きな成果も期待できます。
本記事では、そんなインナーブランディングの意味や目的、現代社会での必要性をわかりやすくまとめました。
動画を活用した施策の具体例や、実際の成功事例、動画制作のポイントについても解説しています。
インナーブランディングの基本的な考え方とその必要性だけでなく、動画を使った具体的な施策について知ることができ、現場で活用しやすい内容になっています。
【この記事でわかること】
- インナーブランディングの意味と目的
- 今、インナーブランディングが必要な理由
- インナーブランディングで得られる効果
- インナーブランディングの目的と動画施策の具体例
- 目的別・インナーブランディング動画の成功事例
インナーブランディングの意味と目的
インナーブランディングとは、社内で働く従業員に向けたブランディング活動のことです。
インナーブランディングの主な目的は、企業の経営指針であるミッション(理念)やビジョン(目指すべき姿)について社員がより深く理解し、自社で働くことに価値を感じてもらうことです。
インナーブランディングによって社員の仕事に対するモチベーションが上がることで、パフォーマンスやエンゲージメント、企業力の向上などにつなげることができます。
動画を使った広報活動や社内研修などのほか、例えば人事評価基準の見直しのような制度の革新もインナーブランディング施策に含まれます。
また、顧客など社外の人間に企業やブランドの魅力を伝える取り組みは、「エクスターナルブランディング(アウターブランディング)」と呼ばれます。
ちなみに、インナーブランディングと同じ意味の用語に「インターナルブランディング」がありますが、日本ではインナーブランディングという用語の方が広く浸透しています。
ただし、「内部の」「本質的な」などの意味を持つ「internal」の方が用語として正しいとされることもあり、特に英語圏ではインターナルブランディングが使われることも多いので注意しましょう。
今、インナーブランディングが必要な理由
現代の日本でインナーブランディングが重要視される理由は、大きく3つあります。
- 労働市場の変化
-
働き方の多様化
- グローバル競争の激化
① 労働市場の変化
少子高齢化に伴い、日本の労働人口は年々縮小しています。厚生労働省の資料によると、2022年の労働力人口は6,902万人で、前年に比べて5万人減※ということ。
働き手不足の日本で優れた人材を確保し続けるためには、選ぶ価値のある企業だと実感してもらう必要があります。
離職率を下げ、質の良い従業員の定着率を上げるために、インナーブランディングの施策は効果的です。
② 働き方の多様化
インナーブランディングは、もともと中途採用率が高く、雇用の流動性が高い海外で発達した施策でした。
海外ではステップアップのために転職を繰り返すことは一般的ですが、近年の日本でも同様の傾向があります。
短期的に人材が入れ替わることで企業文化の形成や浸透が難しくなるため、短い雇用期間でもブランド理解を深めることができるインナーブランディングの施策が求められるようになりました。
なかにはリモートワークやオンライン会議の普及によって直接的なコミュニケーションが減っている企業もあり、通常業務のみでは価値観や行動指針のすり合わせがしにくくなっているのも理由の1つです。
③ グローバル競争の激化
近年の日本では、国内市場からグローバル市場へ展開する企業も多くなっています。
海外展開する場合、難しいのがブランドイメージの維持・統一です。
文化が違う海外で、自社の軸をぶらすことなく一貫したブランドイメージを貫くには、経営陣や管理職だけでなく従業員の深い理解が必要です。
インナーブランディングは、全国に散らばる支社や海外店を含む社内全体の意識を統一する手法としても役立ちます。
インナーブランディングを仕掛けるタイミングは?
インナーブランディングはいつ・どのような業種でも実行できる施策ですが、特におすすめなのがここ最近社内で大きな変化が起きたという企業です。
例えばM&Aを実施した直後などは、有効なタイミングといえます。
異なる文化やビジョンを持つ企業が1つになるM&Aでは、新たに統一された企業文化と価値観を浸透させ一体感を築く必要があります。
この一体感を築くことができず、社員の間で混乱や不信感が生じてしまうと、生産性や士気の低下につながる可能性もあります。
ほかにも取締役の新任など、会社が重大な局面を迎えるタイミングでインナーブランディングを仕掛けることで、大きな成果を実感することができるでしょう。
インナーブランディングで得られる効果
インナーブランディングで得られる効果は、大きく4つあります。
- 従業員のモチベーション向上
- 人材採用のマッチング率向上
- 企業文化の形成とエンゲージメントの強化
- サービスの質や顧客満足度の向上
① 従業員のモチベーション向上
インナーブランディングによって深い共感や理解を得ることができれば、仕事に対するモチベーション(意欲)が高まったり、企業で働く自分への誇りが生まれるといった効果があります。
従業員のモチベーションを上げることは、個々のパフォーマンスや生産性の向上、離職率の低下などにつながります。
② 人材採用のマッチング率向上
インナーブランディングは、企業が求める質の高い採用にも効果を発揮します。
人事採用担当者や面接官担当者が自社のビジョンを深く理解していれば、より一貫性をもった選考ができるためです。
さらに、エクスターナルブランディング(アウターブランディング)によってミッションやビジョンを外部へ発信することで、自社に共感する人材を効率的に集めることができます。
③ 企業文化の形成とエンゲージメントの強化
インナーブランディングによってブランド価値に基づいた企業文化を形成することは、企業全体の一体感や連帯感の強化につながります。
社員同士のコミュニケーションが促進されれば、働きやすい環境や強固なチームワークをつくることもできます。
社員同士だけでなく、企業と従業員とのエンゲージメント向上も期待できるでしょう。
④ サービスの質や顧客満足度の向上
インナーブランディングによって従業員がブランド理念を理解することは、顧客満足度の向上とも関連します。
ブランドの価値を深く理解し、仕事に誇りを持つ従業員であれば、顧客対応においてもその価値を反映させることができるためです。
結果としてサービス全体の質が上がり、企業価値を向上することにもつながります。
インナーブランディングの目的と動画施策の具体例
インナーブランディングの目的としてよくある3つのパターンと、目的に合わせた動画施策の具体例をまとめました。
- 「ビジョン・ミッションを浸透させ、共有したい」
- 「社員同士の交流を深めて組織のつながりを強化したい」
- 「従業員の働き方を改善したい」
目的①「ビジョン・ミッションを浸透させ、共有したい」
施策例 |
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経営陣が自社のビジョンやミッションを明確に落としこみ、社員に語る機会を設ける |
ビジョンやミッションを可視化した動画を制作することで、よりイメージしやすくなります。さらにこの動画を社外に公開することにより、ブランドイメージの向上や採用活動にも役立てることができます。
動画を制作する過程で、経営陣やリーダーたちが自社のビジョンやミッションについて深く考える機会が生まれるのもメリットです。
改めて自分たちのなかに自社のビジョンやミッションを浸透させることで、従業員との会話の説得力も増すことでしょう。
目的②「社員同士の交流を深めて組織のつながりを強化したい」
施策例 |
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社内イベントを企画・開催する |
創立記念パーティーや研修旅行など、役員と従業員が一堂に会する機会を設けることで、社内のつながりが強化されます。
創立記念のイベントでは、会社の歴史動画などを制作して放映するのがおすすめです。
会社設立時の想いなどを社員全員で再確認することができるでしょう。
課題(テーマ)を決め、それを解決するためのディスカッションや強化合宿などを行い、その過程を記録映像に残すのも有効です。
見返すことで当時の気持ちが思い起こされ、モチベーション維持にもつながります。
ほかに、社内イベントで撮影した写真を動画にして、採用動画として社外に発信する方法もあります。
目的③「従業員の働き方を改善したい」
施策例 |
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自社の理想的な働き方を提示し、研修セミナーを行う |
なぜ働き方を改善したいのか理解してもらうためには、自社のミッションやビジョン、あるべきスタッフの姿を明確に提示することが重要です。
ポイントは、会社都合で働き方改善を行うのではなく、従業員自らが自主的に改善したいと思えることです。
そのためには、まだ先入観のない新入社員のうちから教育を行うのが有効です。
研修動画やセミナー動画を活用することで効率よく内容を伝えることができ、情報の正誤性や統一感を維持することができます。
目的別・インナーブランディング動画の成功事例
前述の3つの目的に合わせたインナーブランディング動画の成功事例と、制作のポイントをご紹介します。
①「ビジョン・ミッションの浸透と共有」が目的のインナーブランディング動画
※ボーダーレス制作動画
【制作のポイント】
- ミッション・ビジョン・バリュー・行動理念など、さまざまな指針がある会社は何を一番押し出したいのか明確にしておく
- 情報が盛り込まれすぎて印象が薄くなるため、あれもこれも全部詰め込んでしまうのはNG
- 自社で働く社員を主人公にしたストーリー仕立てのミッション動画にすることで自分事化しやすくする
- そのために、どのようなターゲットにどのような気持ちになってもらいたいかを明確にしておくことが大事
- 音楽の雰囲気や映像のテイストを自社のブランドに合ったものにする(社外用として使用する可能性もあるため)
②「従業員同士の交流と組織のつながり強化」が目的のインナーブランディング動画
※他社制作動画
【制作のポイント】
- 原点に立ち返る歴史動画だからこそ、創設者が何を思い、どういったビジョンをかかげて設立したのかを説明する(経営者が何代も世代交代している企業や、社歴の長い企業では特に重要)
- 歴史動画の場合、淡々と歴史を紹介するだけでは退屈になってしまいがちなので注意
- 見る人が退屈にならないような演出やメリハリを意識する
③「従業員の働き方改善」が目的のインナーブランディング動画
※他社制作動画
【制作のポイント】
- 1本の動画の尺(長さ)を短くして、1動画1メッセージにすることで記憶に残りやすくしている
- 知りたい情報をピンポイントに見返す場合にも便利
- 若い人向けの研修動画であれば、少し砕けた雰囲気のアニメーションも有効
- 「面白いからつい見てしまう」を目指す
ブランディング動画の効果や活用シーン、制作事例についてはブランディング動画サービスのページでも紹介しています。