教育研修動画の最新トレンド!「マイクロラーニング動画」の作り方と成功のポイント
2024.07.25
マイクロラーニング動画を活用した学習コンテンツや、社内研修動画は近年人気の手法です。
短時間、且つシンプルな内容のため、動画の作り方さえわかれば自社で内製しようと考える企業も多いかもしれません。
しかし実のところ、短時間で要点を伝えなければならない分、原稿の精査や演出の工夫が重要になります。せっかく内製しても、基本的な考え方やポイントをおさえずに手を広げてしまうと、効率の良くない学習を提供することにもなりかねません。
本記事では、マイクロラーニング動画とe-ラーニング動画の違いや、必要性、メリットなどの基本をベースに、どのような学習(テーマ)ならマイクロラーニング動画に適しているかについて具体例をあげて解説しています。
マイクロラーニング動画・e-ラーニング動画の制作実績を持つ動画制作会社ボーダーレスによる作り方のポイントも紹介しているので参考にしてください。
【この記事でわかること】
- マイクロラーニング動画とは?e-ラーニング動画との違い
- マイクロラーニング動画が注目を集める3つの理由
- マイクロラーニング動画のメリット・デメリット
- マイクロラーニング動画に適している学習・適さない学習
- マイクロラーニング動画の作り方と7つのポイント
マイクロラーニング動画とは?e-ラーニング動画との違い
マイクロラーニングとは、1~5分程度の短い時間を目安に学べる学習・研修コンテンツのことです。e-ラーニングの一種であり、PC・タブレット・スマホなどを使用したオンライン学習全般を指します。
30分~60分程度で構成されていた従来のe-ラーニングと違い、すきま時間で効率的に知識やスキルを得られる点が人気です。
ちなみに、マイクロラーニングにはテキストや静止画によるWebコンテンツなども含まれますが、本記事では主に短尺(短い時間)の動画で構成された学習コンテンツである「マイクロラーニング動画」について取り上げています。
【マイクロラーニング動画とe-ラーニング動画の違い】
マイクロラーニング動画 | e-ラーニング動画 | |
---|---|---|
学習時間 | 1~5分程度 | 30分~1時間程度 |
内容・用途 |
|
|
制作期間 | 1~2週間程度 | 3ヶ月以上 |
内製化 | 比較的しやすいが、成果を出すには技術が必要 | 専門知識や技術が必要なため、おすすめできない |
マイクロラーニング動画が注目を集める3つの理由
マイクロラーニング動画が注目を集めている主な理由は3つあります。
- タイパに優れている
- デジタルネイティブ世代・Z世代との親和性が高い
- 1本あたりの制作コストが抑えられ、情報更新がしやすい
① タイパに優れている
タイパ=タイムパフォーマンスは、Z世代から生まれたとされる新たな価値観です。
「タイパが良いかどうか」を軸に生活する人は特に若者や共働き世帯に多い傾向で、「まとまった時間が取りにくい」「やりたいことややらなければならないことが多くて多忙」などが理由だといいます。
無駄な情報を省き、短時間で必要な知識やスキルだけを簡潔に習得できるマイクロラーニング動画は、タイパ重視のビジネスパーソンにこそ支持される手法です。
料理や掃除などの家事から、娯楽や睡眠まで、タイパを考えて選択する現代人にとって、通勤通学中などのすきま時間でも学習しやすいマイクロラーニング動画はベストマッチといえるでしょう。
② デジタルネイティブ世代・Z世代との親和性が高い
オンラインで手軽に学習ができるe-ラーニング動画はもともと、デジタルネイティブ世代と相性の良い手法です。幼いころからタブレット学習やスマートフォンに親しみのあるZ世代では、さらに親和性が高くなります。
加えて、普段から映画や講義などの動画を倍速で視聴したり、TikTokなどの短いコンテンツに慣れ親しんでいる人の場合、そもそも長時間机に向かってじっくり学ぶ手法は選択から外してしまうケースも少なくありません。
そのような人は特に、情報量は少なくても短期間で結果が出る手法や、短い動画を繰り返し見るマイクロラーニング動画のような学習方法を好む傾向にあります。
③ 1本あたりの制作コストが抑えられ、情報更新がしやすい
1本あたりの制作コストの削減や、情報更新のしやすさもマイクロラーニング動画が選ばれている理由の1つです。
人手不足の解消や効率化から、社内教育や研修に動画を活用する企業は多いですが、尺が長くなるほど制作コストも高くなりがちです。
内容に必要性があれば問題ありませんが、場つなぎ的な演出や過剰なオープニングムービーなど、「なくても学習には問題ないシーン」が生まれてしまうケースも少なくありません。
また、1度長尺動画を制作してしまうと、情報の更新・修正をするたびに大幅な費用がかかってしまう可能性があるのもネックです。
無駄を削ぎ落して情報を小分けに伝えることができるマイクロラーニング動画は、情報の変化が早い現代向きの手法といえます。
マイクロラーニング動画のメリット・デメリット
マイクロラーニング動画の主なメリット・デメリットをまとめました。
メリット
- 学習の手軽さ
- 学習効率の良さ
- すきま時間の活用
- 導入ハードルの低さ など
マイクロラーニング動画を利用する大きなメリットは、気軽にスタートしやすいことです。すきま時間で効率的な学習ができるため、モチベーション維持もしやすくなります。
社員研修に限っては、従業員が自身のタイミングで学べるのも利点です。わざわざ上司に確認を取ったり、ついていてもらう必要がないため、上司も部下もお互いに気を遣わずに研修を進めることができます。
また、導入面でのメリットは、導入ハードルが低いことが挙げられます。1本あたりの制作費用や制作時間が少なく済むことに加え、修正・更新もしやすいため、運営のしやすさにつながります。
デメリット
- 難解な知識や複雑なスキル習得には向かない
- 実践や対人コミュニケーションが必要なスキル習得には向かない
- 専用システムを構築する場合は費用がかかる
1~2のデメリットについては、後述のマイクロラーニング動画に適さない例の見出しで詳しく解説しています。
マイクロラーニング動画の導入や運用に専用システムは必須ではありませんが、例えば目標の設定や、進捗の管理、コンテンツの有料化(ログイン設定)などを行う場合、必要になることがあります。
こちらに関しては、後述の運用にはYouTubeチャンネルの活用がおすすめの見出しで解説しています。
マイクロラーニング動画に適している学習・適さない学習
効果的なマイクロラーニング動画を提供するためには、作り方を知るよりも前に、適切な内容(学習テーマ)を選択することが重要です。
マイクロラーニング動画に適している例
マイクロラーニング動画は、短期間で完結する具体的でシンプルな学習に適しています。
具体的なスキルの習得
- プログラミング技術のうち、特定のコマンドや関数の使い方だけを学ぶ
- エクセル関数など、ソフトウェア・ツールの特定の機能の使い方だけを学ぶ
- 特定の英単語や文法について学ぶ
企業ポリシーや単純な手順の理解
- 新入社員が会社の規則を理解する
- 出退勤の手続き方法や安全手順を理解する
- コンプライアンスについて、テーマごとにトレーニングをする
復習やポイントの確認
- 講義や研修で学んだ内容の復習をする
- 試験対策のため、重要ポイントの確認をする
ソフトスキル(非技術的能力)の学習
- 基礎的な電話応対やビジネスメールの書き方を習得する
- 日常における基本的なコミュニケーションスキルを学ぶ
- タイムマネジメントや業務効率アップのためのヒントを学ぶ
ソフトスキルとは、仕事や日常生活の基礎になる非技術的能力のことです。協調性・思考力・決断力・コミュニケーション能力など、個人の習慣や特性が該当します。
マイクロラーニング動画に適さない例
マイクロラーニング動画は、深い理解や長時間の連続学習が必要な内容には不向きです。
複雑な概念や深い理解が必要な学習
- 高度な数学や物理学の概念を学ぶ
- 哲学や文学の深層を理解する
実践を伴うスキルの習得
- 実験やフィールドワークが必要な科学的スキルを学ぶ
- 複雑なプロジェクトマネジメントスキルを習得する
短時間では完結しない内容の理解
- 小説や長編映画のような継続的なストーリーを理解する
- 長時間にわたるシミュレーションを行う
- 難解なケーススタディを習得する
協力やディスカッションが重要な学習
- チームビルディングやグループワークを行う
- ディベートや対話が必要なトピックを解決に導く
マイクロラーニング動画の作り方と7つのポイント
マイクロラーニングの特性を踏まえた動画の作り方や、制作するときのポイント、成功事例をまとめました。
7つのポイント
- 動画の原稿文字数は900~1500字程度にする
- クイズを入れる
- アニメーション動画を活用する
- 例えを入れてわかりやすくする
- オープニングは短くする
- 文字は大きく表示させる
- マイクロラーニング動画の成功事例を参考にする
ポイント① 動画の原稿文字数は900~1500字程度にする
聞き手が理解しやすいナレーションのペースは、1分間でおよそ300文字前後といわれます。3〜5分のマイクロラーニング動画を作るのであれば原稿の文字数は900〜1500字程度、10分だと3000字前後が目安です。
まずは尺を気にせずに、伝えたいことをすべて書き出してみましょう。その後、声に出して読みながら時間を計ってみます。何度か繰り返しながら情報の取捨選択を行い、3~5分の原稿になるように添削していく方法がおすすめです。
また、「AI音声サービス」という専用のソフトウエアを導入することで、プロのナレーターに依頼することなく安定したクオリティのナレーションを入れ込むことも可能です。
ポイント② クイズを入れる
動画の最後にクイズを入れることで、マイクロラーニング動画で学習したことを理解できているか自分自身で確認できるようになります。
また、動画の間にクイズをいれることで、受動的な学習から能動的な学習へ切り替えさせることもできます。
例【コンプライアンスにおける「データ保護」について】
問:データの安全管理措置に関する適切な対策はどれか?
A)すべてのデータをクラウドに保存する
B)アクセス権限を制限し、強固なパスワードを設定する
C)データを1つの場所にまとめて保管する
D)データのバックアップを取らない
答:B)アクセス権限を制限し、強固なパスワードを設定する
ポイント③ アニメーション動画を活用する
マイクロラーニング動画では、文字だけで解説するよりもアニメーションを取り入れるのがおすすめです。後述のポイント④「例えを入れてわかりやすくする」でも、アニメーションを活用してみましょう。
アニメーションを取り入れることによる主なメリットは以下です。
- 視聴者を飽きさせにくくする
- 複雑な内容をシンプルに表現できる
- 感覚的にわかりやすく説明することができる
凝ったアニメーション動画を制作する必要はなく、フリー素材を組み合わせた簡単なものでもOKです。アニメーション動画の種類について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
ポイント④ 例えを入れてわかりやすくする
マイクロラーニング動画の作り方の1つに、パワーポイントで制作する方法があります。パワーポイントを使用した場合、どうしても文字のみで進行しがちになり、文字で書かれた内容をそのままナレーションで説明する、といった内容になってしまうことが少なくありません。
文字で書かれていること=伝えたいことなので誤りではありませんが、それではせっかく動画にしている意味がなくなってしまいます。学習者(視聴者)が興味をなくして見なくなってしまう恐れもあります。
A)文字だけで表した場合
B)例えにアニメーションを活用した場合
A)は一見して漢字だらけで、見ていると疲れてしまう印象に。その点、B)では具体例を用いて利益相反のシチュエーションを表現しており、スマートフォンなどモバイルデバイスでも見やすく工夫しています。アニメーションを活用することで、頭に入ってきやすくなるのもポイントです。
ポイント⑤ オープニングは短くする
マイクロラーニング動画は短尺の動画をいくつも見ることになるため、オープニングに10秒や30秒もの尺を持たせる必要はありません。視聴者にとっては長尺の同じオープニングを何度も繰り返し見ることは苦痛なので、動画を見ること自体やめてしまう恐れもあります。
極端にいえば、オープニングは無くてもOK。せっかくなので凝ったオープニングを作りたくなってしまうかもしれませんが、これから何を学べるのかわかるよう、タイトルだけのオープニングでも充分です。
オープニングの作り方としては、3~5秒ほどで完結させるのがコツです。
ポイント⑥ 文字は大きく表示させる
マイクロラーニング動画の特徴の1つに、スマホなどのモバイルデバイスでの視聴があります。パワーポイントで制作する場合も、画面の小さなスマホで見ることを前提に文字をできる限り大きくしましょう。
また、ナレーションで説明することはあえて文字にする必要はありません。重要な部分だけテロップ(文字)にすることで、より視聴者の印象に残るようになります。
ポイント⑦ マイクロラーニング動画の成功事例を参考にする
動画の作り方に悩んだら、マイクロラーニング動画の成功事例を参考にしてみましょう。
【初心者が注意すべきビジネスでのNG】5分でわかる印刷物入稿のNG
※他社制作動画
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マンダラチャートとは?メリットや欠点・デメリット、作成時のポイントを分かりやすく解説!
※他社制作動画
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事例や作り方のポイントについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
運用にはYouTubeチャンネルの活用がおすすめ
作成したマイクロラーニング動画をできるだけ手軽に提供したいのであれば、YouTubeの活用がおすすめです。
YouTubeなら少ない労力でもシーンに合わせた運用ができるので、社内研修や無料の学習コンテンツのマイクロラーニング動画には向いています。
- 限定公開にすることで、URLを知っている人だけが見られるようになる
- ランニングコスト(運用費用)をかけずに運用できる
- 動画を修正したい場合は削除して新しい動画をアップするだけでOK
- 再生リストを活用すればテーマごとに整理できる
- 視聴速度を変えることができるので、学習者のスタイルに合わせられる
- 視聴回数がわかるので、見られていない動画を改善できる
- コメント機能を利用して質問を受け付けられる
ただし、有料コンテンツなど利益を生むマイクロラーニング動画の場合、YouTubeでの運用はあまり適していません。自社専用のシステムを用意するか、マイクロラーニング動画に適したプラットフォームをレンタルして運用するのがおすすめです。