カメラのセンサーサイズとは?違いやおすすめをプロが解説【動画撮影の基本】
2023.02.17
今回の『動画の学校 ボーダーレスゼミ』のテーマは、カメラのセンサーサイズについて。名称や違いの比較、選び方やおすすめを解説していきます。
【この記事でわかること】
- センサーサイズの種類
- センサーサイズを選ぶ時の基準
- センサーサイズと焦点距離・画角の関係
- 自分がどのセンサーサイズのカメラを選んだらいいのか
カメラのセンサーとは、レンズから入ってきた光を電気信号に変換する装置のことで、アナログカメラで言うとフィルムのような役割だと言われています。
センサーサイズによって名称や特徴が異なります。
1. センサーサイズの種類
まずは4つのセンサーサイズの名称と特徴を押さえておきましょう。
① フルサイズ(36.0mm×24.0mm)
正式名称は「35mmフルサイズ」といって、中判サイズを除いて1番大きいセンサーサイズ。名前の由来は、映画で使われていたフィルムのサイズが35mmだったからである。
各メーカーともハイエンド機にはフルサイズが採用されていることが多い。
② APS-C(23.7mm×15.7mm)
フルサイズよりひと回り小さいセンサーサイズ。小さいため軽く、価格もリーズナブルなので一般ユーザー向け。
同じAPS-Cでもメーカーによって若干サイズが違うことがある。
③ マイクロフォーサーズ(17.3mm×13.0mm)
APS-Cよりさらに小型のセンサーサイズ。フルサイズの1/4程度。
オリンパス・パナソニックが策定した規格で、ブラックマジックデザインも採用している。
④ スーパー35mm(24mm×14.00mm)
「スーパー」と付くが、フルサイズよりサイズは小さい。APS-Cとほぼ同等のセンサーサイズ。
映画撮影によく使われる。節約のためにフィルムの一部分を使う撮り方ができる。
2. センサーサイズを選ぶ基準
カメラのセンサーサイズはどのような基準で選べば良いのでしょうか?それぞれのメリット・デメリットをチェックしましょう。
① 大きいセンサー
メリット:暗い場所での撮影に強い。
デメリット:カメラとレンズが大きくなる。価格が高い。
ポイント:基本的にはセンサーの大きさ≒映像のきれいさといえる。とりあえず購入するならフルサイズがおすすめ。
② 小さいセンサー
メリット:コンパクトで軽い。レンズも小型化できるため、良質で価格を抑えたレンズを搭載することができる。
デメリット:暗い場所での撮影に弱い。
ポイント:マイクロフォーサーズのレンズは「神レンズ」が多いといわれている。
③ スーパー35mm
メリット:慣れると扱いやすい。
デメリット:すべてが大きい。
ポイント:スーパー35mmは映画撮影に特化している。
3. 焦点距離と画角の注意点
レンズに書かれている数字は焦点距離といって、数字が小さいと広角になり、数字が大きいと望遠になります。センサーサイズを選ぶときは、レンズの焦点距離と画角にも注目しましょう。
① レンズの焦点距離はフルサイズを基準にしている
35mmフィルムの時代にレンズの規格が決まったので、レンズに書かれている焦点距離はフルサイズを基準としている。そのため、センサーサイズが変わるとレンズの数字通りの画角にはならない。
② APS-Cの場合の注意点
APS-Cにフルサイズ用レンズをつけると望遠の画角になる。
フルサイズに換算する計算式 = レンズの焦点距離 × 1.5(キャノンの場合は1.6)
③ マイクロフォーサーズの場合の注意点
マイクロフォーサーズにフルサイズ用レンズをつけると焦点距離が倍になり、望遠の画角になる。野鳥や飛行機など遠景を撮影する人にはマイクロフォーサーズユーザーが多い。
フルサイズに換算する計算式 = レンズの焦点距離 × 2
4. タイプ別おすすめセンサーサイズ
センサーサイズは、自分が撮りたいものや目的に合わせて選ぶのがおすすめです。
① 趣味で動画撮影をしたい人
APS-Cがおすすめ。
【おすすめ理由】
- 価格が安い
- 各メーカーが参入している
- 中古市場が豊富
② プロを目指す人
フルサイズがおすすめ。
【おすすめ理由】
- レンズの種類が多い
- 映像がきれい
③ 色々使ってみたい人
マイクロフォーサーズがおすすめ。仕事ではフルサイズ、プライベートではマイクロフォーサーズと使い分けているプロも多い。
【おすすめ理由】
- 神レンズと呼ばれる良質なレンズがたくさんある
- 価格もそこそこでサブ機として重宝する
【豆知識】スマホカメラのセンサーサイズはどれくらい?
ビデオカメラのセンサーサイズに種類があるように、実はスマホカメラも機種によってセンサーサイズが違います。
スマホカメラのセンサーサイズはビデオカメラと比較するとどれくらいなのでしょうか?
現行のスマホカメラのセンサーサイズは1/2.3型や1/1.7型が主流
基本的にセンサーサイズが大きいほどきれいな映像や写真を撮ることができるのは、スマホでも変わりません。
ただしスマホカメラの場合、カメラの性能(画質のきれいさ)を測る数値としては「画素数」にスポットが当てられることの方が一般的です。スペック表に画素数の記載はあっても、センサーサイズの記載がないことなどもよくあります。
その上で、以下に一般的なカメラとスマホカメラのセンサーサイズをまとめたので参考までにご覧ください。
- APS-C/フルサイズ…デジタル一眼/高性能コンデジ
- マイクロフォーサーズ…高性能コンデジ
- 1型…一般的なコンデジ/カメラ性能が高いスマホ
- 1/1.7型…リーズナブルなコンデジ/一般的なスマホ
- 1/2.3型…リーズナブルなコンデジ/一般的なスマホ
- 1/3型…旧機種のスマホ
数年前までスマホカメラのセンサーサイズは1/3型が主流といわれていました。今では1/2.3型や1/1.7型などコンデジと変わらないサイズに進化し、暗い室内や夜景撮影にも強いスマホカメラが広く普及しています。
1型センサー搭載のスマホも登場
スマホカメラの性能は現在もアップデートされ続けていて、1/1.7型よりもさらに大きい1型センサーを搭載したタイプも増えはじめています。
1型センサーカメラ搭載スマホの先駆けともいえるのが、2021年にシャープから発売された「AQUOS R6」です。ドイツの老舗カメラブランドであるライカ共同開発のカメラシステム搭載とあって、カメラ好きの間で話題になりました。
その後も、ライカブランドのスマホ「LEITZ PHONE 1」や、ソニーの「XPERIA PRO-I」、中国ブランドであるシャオミの「Xiaomi 12S Ultra」や「Xiaomi 13 Pro」、R6から進化した「AQUOS R7」など、1型センサー搭載スマホが各社から続々登場しています。
センサーサイズの大きなカメラのデメリットとして本体も大きくなってしまうことが挙げられますが、これはスマホにも当てはまります。1型センサー搭載のスマホは他と比較すると大きめサイズであることが多く、価格も高いのがネックといえます。
とはいえ、スマホできれいな映像を撮りたいと思う人にとっては嬉しいスペックです。ぜひ画素数やF値などと合わせて比較検討してみてください。