カメラのF値(絞り・アイリス)とは?実例付きで解説!【動画撮影の基本】
2023.02.21
今回の『動画の学校 ボーダーレスゼミ』のテーマは動画撮影の基本、F値について。F値の基礎知識からF値が持つ役割、具体的な設定方法やテクニックまでわかりやすく解説していきます。
ゲストはモデル/俳優の石座アヤナさんです。
F値を理解すると動画撮影がさらに楽しくなり、格段に上達します。
1. F値の基本
F値とはどのようなものなのか?まずはF値の基本を理解しましょう。
① F値とはレンズに入る光のコントロール値のこと
F値とはレンズに入る光の量を数値化したもの。
「絞り」「アイリス」ともいわれる。
② 数字で表わされる
F値を表すときは数字を使う。
例)F1、F1.4、F2、F2.8、F4、F5.6、F8、F11、F16…
③ F値が小さい=レンズを開放している状態
F値の数字が小さくなるほどレンズに入る光の量が多くなる。
④ F値が大きい=レンズを絞っている状態
F値の数字が大きくなるほどレンズに入る光の量が少なくなる。
⑤ F値によって撮影環境に合わせた明るさの調節ができる
撮影時の環境が暗いときはF値を小さく、明るいときはF値を大きくして調整する。
2. F値の役割『被写界深度』
F値には、明るさの調節以外にも重要な役割があります。
① F値によって「被写界深度」をコントロールすることができる
被写界深度とは、レンズのピントが合う幅のこと。
② F値を小さくする(レンズを開放する)= 被写界深度が浅くなる
F値を小さくするとピントが合う幅が狭くなる。被写体だけにピントを合わせて周りはぼかしたいときに使う。
例)ポートレート撮影
③ F値を大きくする(レンズを絞る)= 被写界深度が深くなる
F値を大きくするとピントが合う幅が広くなる。全体にピントを合わせて周りまで鮮明に映したいときに使う。
例)風景撮影
3. F値を使った表現方法
撮りたい映像に合わせたF値の設定と表現方法をおさえておきましょう。
① 撮影したいものがはっきりしているとき
F値を小さくしてレンズを開放させる。
そうすることで、背景がぼやけ撮影したいものがはっきりと映り、強調することができます。
② 情景全てを情報として伝えたいとき
F値を大きくしてレンズを絞る。
そうすることで、ピントの合う幅が広がり、情景すべてをはっきりと映すことができます。
③ 会話シーンを撮影するとき
人は会話をするとき、身振り手振りをしながら話をします。体がカメラに対して前後する動きになるため、ピントが合う幅を狭くすると体が前後に動いたときに人物がぼやけてしまう可能性があります。
人物の動きに幅ができることを想定して、ピントが合う幅をある程度広くして(レンズを絞って)おくことが良いでしょう。
4. F値の設定と実際の見え方
F値の設定によって実際の見え方はどのように変わるのか?人物にピントを合わせたポートレート撮影を例に挙げて解説します。
F1.4~16までを動画にまとめましたのでご覧ください。
① F1.4でポートレートを撮影した場合
背景に何が映っているのかわからないくらいボケている。
② F2でポートレートを撮影した場合
背景はボケているが、なんとなく何が映っているのかがわかる。
③ F2.8でポートレートを撮影した場合
背景のボケが少なくなり、画面内の情報量が増える。
④ F5.6でポートレートを撮影した場合
背景を見てどこにいるのかがわかる。
⑤ F16でポートレートを撮影した場合
背景の文字まではっきり読める。
5. F値をコントロールするポイント
F値をコントロールし、動画に活かすためのポイントをおさらいしましょう。
① 視聴者に何を伝えたいのか考える
視聴者に伝えたいことを、ピントが合う幅で表現する。
② F値と併せて照明を上手く使う
照明をたくさん当ててレンズを絞ることで、広い範囲までピントを合わせることができる。
例)大人数が一斉に動き回るアクションシーンの撮影
【豆知識】スマホカメラにもF値がある?
スマホカメラを使って撮影をする場合も、F値は関係するのでしょうか?
スマホカメラのF値は機種によって異なる
スマホカメラで撮影をする場合にも、同じようにF値が関わってきます。ただしスマホの場合、基本的には機種ごとにデフォルトでF値が決められています。
「メイン」「広角」など複数のレンズが搭載されている機種であれば、それぞれのレンズに異なるF値が設定されています。メーカーや機種によってはデジタル処理によるF値の調整が可能なカメラもあります。
現状ではごく一部ですが、物理的にレンズを絞ってF値を変える機能が搭載されている機種も存在します。「可変絞りレンズ(可変絞りカメラ)」などと呼ばれ、この機能が搭載されたスマホならF値を物理的に切り替えることも可能です。
高性能といわれるスマホカメラはF値が小さい
高性能なスマホカメラを選ぶポイントとしてよくいわれるのが、画素数の多さやレンズの数、ズームの性能など。それと併せて、F値が小さいことが挙げられます。
F値が小さいスマホカメラは、これまでスマホが苦手としていた明るさの足りない室内や夜景撮影にも強いのが特徴です。これは、F値が小さいと多くの光を取り込むことができるためです。
さらに、F値が小さいレンズはシャッタースピードを速くできるというメリットもあります。これにより手ブレしにくくなるため、きれいな写真や動画が撮影しやすくなります。よく動き回る動物や子供などの被写体を撮影するのにも向いています。
F値が小さいレンズを搭載しているスマホの人気機種
一般的には、F値がF2.0以下のスペックだと性能の良いスマホカメラだといわれています。
現在発売されているスマホのうちF値が2.0よりも小さく、ハイスペックなカメラ機能が話題になっている人気機種をまとめたのでぜひ参考にしてみてください。
【iPhone】
- iPhone13 Pro / iPhone 13 Pro Max
- iPhone 14 Pro/Pro Max など
【Android】
- Galaxy S22 / Galaxy S22 Ultra
- Xperia 1 IV
- Xperia PRO-I
- Google Pixel 6 Pro
- AQUOS R7 など
【その他】
- OPPO Find X3 Pro など