初心者にもわかる!シャッタースピードの設定とフレームレートとの関係【動画撮影の基本】
2023.03.17
今回の『動画の学校 ボーダーレスゼミ』のテーマは、カメラのシャッタースピードについて。動画撮影時のシャッタースピードの設定やフレームレートとの関係性など、初心者カメラマンにもわかりやすく解説していきます。
シャッタースピードとは、カメラのシャッターが開閉する速度のことです。シャッタースピードを変えることで光が入る量をコントロールすることができます。
1.シャッタースピードとは?
まずはシャッタースピードの基本を理解しましょう。
①シャッタースピードとは?
1秒間に何回シャッターが開閉されるかの設定のこと。
例)シャッタースピード1/4秒 = 1秒間に4回シャッターが開閉される
②シャッタースピードが遅い
シャッターが開いている時間が長い。入る光の量は多いが、長すぎると明るくなりすぎて真っ白になってしまう。
③シャッタースピードが速い
シャッターが開いている時間が短い。入る光の量が少ない。
④シャッタースピードの基本の役割
カメラの中に入る光の量を調節すること。
2. フレームレート(fps)とは?
フレームレート(fps)はシャッタースピードを設定するために必要な知識です。併せて覚えておきましょう。
①動画の原理
パラパラ漫画のように、静止画を連続して映すことで動いているように見せている。
②モーションブラー
残像効果。1枚目の画と2枚目の画の間を脳が補完して動いているように見える現象のこと。
③フレームレート(fps)とは?
動画の中で1秒間に何枚(何コマ)の静止画を見せるかの設定のこと。
例)24fps、30fps、60fps、120fps、240fpsなど…
④フレームレートは用途によって決める
テレビの地上デジタル放送なら約30fps(29.97fps)、映画なら24fps。後から編集でスローモーションをかけたいなら120fpsで撮影し、後から引き延ばすときれいな映像になる。
3. シャッタースピードの設定方法
動画撮影では、フレームレートの数値を加味してシャッタースピードを調整する必要があります。
①動画撮影のシャッタースピードの目安
一般的に、動画のシャッタースピードは「1/(フレームレートの2倍の数値)秒」に設定すると良いとされている。
例)フレームレートが30fpsの場合 → シャッタースピードは1/60秒
②シャッタースピードを速くし過ぎると?
残像効果が薄くなり過ぎて不自然になる。
4. シャッタースピードの比較
シャッタースピードを変更することで動画の見え方はどのように変わるのでしょうか?
①フレームレート30fps/シャッタースピード1/4秒
残像(ブレ)が際立っている。
②フレームレート30fps/シャッタースピード1/8秒
残像(ブレ)が少し緩和される。
③フレームレート30fps/シャッタースピード1/15秒
残像(ブレ)は少なくなるが、無くなってはいない。
④フレームレート30fps/シャッタースピード1/30秒
残像(ブレ)はかなり少なくなるが、まだ少し残っている。
⑤フレームレート30fps/シャッタースピード1/60秒
フレームレート30fps時の適正シャッタースピード。一番自然に見える。
⑥フレームレート30fps/シャッタースピード1/125秒以上
適正よりシャッタースピードが速いためモーションブラーが少なく、パラパラ感が出てしまう。
5. シャッタースピードの調整
動画撮影をするときに、シャッタースピードを変更した方が良いケースが3つあります。
①演出としてブレさせたい場合
演出として被写体をブレさせたい場合は撮影時にシャッタースピードを遅くする。
例)「恋する惑星(1994)」「天使の涙(1995)」監督/ウォン・カーウァイ
②静止画に切り出すかもしれない場合
後で動画から切り出して静止画として使用する場合はシャッタースピードを速くする。
例)F1レースの撮影
③蛍光灯によるフリッカーを抑えたい場合
フリッカーとは、蛍光灯などの光源がちらつく現象のこと。蛍光灯の下で撮影するときはシャッタースピードを変更することでフリッカーが出にくくなる。
関東の場合:1/50秒や1/100秒(50の倍数)
関西の場合:1/60秒や1/120秒(60の倍数)
【豆知識】スマホ撮影時のシャッタースピードの目安は?
スマホカメラを使って撮影をする場合も、シャッタースピードを調整する必要はあるのでしょうか?
シャッタースピードが手動で変更できるスマホは少ない
スマホ撮影時のシャッタースピードの目安は、一眼レフやデジタル一眼で撮影する場合と基本的には変わりません。しかしそもそも、標準搭載の機能でシャッタースピードが変更できるようになっているスマホは多くありません。
スマホの場合、撮影時の明るさや環境に合わせて自動でシャッタースピードが設定されるケースが一般的です。シャッタースピードによる演出ができない反面、自分でシャッタースピードを調整する必要がないので誰でも簡単に最適な目安で動画撮影ができるのはメリットでしょう。
例えば近年のiPhoneシリーズの標準カメラアプリでは、ビデオ撮影のフレームレートは「24fps」「30fps」「60fps」から、スローモーション撮影のフレームレートは「120fps」「240fps」から選んで設定することができます。ただし、シャッタースピードに関しては手動で選ぶことはできません。
動画撮影モードでは、選択したフレームレートに合わせてシャッタースピードが自動で設定される仕組みになっています。ナイトモードやlive photos機能を使えば長時間露光撮影(スローシャッター撮影)をすることは可能ですが、シャッタースピードの数値を手動で細かく調整できるわけではありません。
シャッタースピードが手動で変更できる機種やアプリもある
ただしなかには、シャッタースピードが手動で変更できるスマホの機種も存在します。
SONYのXperiaシリーズはカメラ性能にこだわりがあることで知られていて、スマホには珍しく撮影時に「マニュアルモード」が選択できるようになっています。静止画・動画共に利用可能で、ホワイトバランス・露出・ISO感度・シャッタースピード・フォーカスなどを手動で変更できるため撮影にこだわりたい人には人気があります。
特にXperiaのハイエンド機種である「Xperia1Ⅲ」「Xperia1Ⅳ」「Xperia5Ⅲ」に搭載されている「Cinematography Pro」機能は、SONYのカメラ技術を詰め込んだ映画クオリティの動画撮影ができることで話題になりました。カメラ並みにシネマティックな動画を撮ることができるので、本格的なスマホ撮影がしたい人はチェックしてみてください。
もし手持ちのスマホの標準カメラにシャッタースピードを変更する機能が無い場合、アプリを入れることで設定可能になる場合があります。「FiLMiC Pro」「Pro Camera by Moment」「ProCam 8」などは、シャッタースピードをはじめとするマニュアル設定が可能なカメラアプリとして人気があります。