ISO感度とは?意味や画質の変化をわかりやすく解説【動画撮影初心者】
2023.03.20
今回の『動画の学校 ボーダーレスゼミ』のテーマは、カメラのISO感度について。ISO感度の基本知識や設定のポイントなど、初心者カメラマンにもわかりやすく解説していきます。
ゲストはモデル/俳優の石座アヤナさんです。
【この記事を読んだら分かること】
- ISO感度とはなにか
- ISO感度と画質の関係
- ISO感度による画質の比較(ISO100~ISO12800)
- デュアルネイティブISOとはなにか
- ISO感度を上げると発生するノイズを減らす方法
ISO感度は、国際標準化機構(International Organization for Standardization)によって定められた世界共通の規格です。日本での読み方は「いそかんど」が一般的ですが、「あいえすおーかんど」と読まれたり、単に「感度」と呼ばれることもあります。
1. ISO感度とは?
ISO感度とはどのようなものなのでしょうか?まずはISO感度の基本を理解しましょう。
① ISO感度とは
光に対する感度の高い・低いを表す数値のこと。
例)ISO100、ISO200、ISO400、ISO800など
② 光に対する感度が低い = ISO感度が低い
(数字が小さい)
きれいに写り、ノイズが出ない。
暗い場所では写らない。
③ 光に対する感度が高い = ISO感度が高い
(数字が大きい)
画が汚くなり、ザラザラとしたノイズが出る。
暗い場所でも写る。
2. ISO感度と画質の考え方
ISO感度による写りの違いは、ざっくりいうとカメラの中にあるCCD(電荷結合素子)の画素に関係します。
画素は、光を捉える小さな「粒」をイメージしてみてください。
① 粒(画素)を小さくする=ISO感度を低くする
光を捉える粒が小さいほど捉えられる光の量は少なくなるが、粒が小さいため画質は滑らかできれいになる。
② 粒(画素)を大きくする=ISO感度を高くする
暗い場所で撮影する場合は粒を大きくして、捉えられる光の量を多くする。ただし、粒が大きいため画質は荒くなる。
例)ISO400、ISO800、ISO1600など
③ 画質はカメラの性能による
ISO感度を上げたときにどれくらい画質が荒くなるかはカメラの性能次第。新しいカメラを手に入れたらISO感度を色々試してザラつきなどを把握すると良いでしょう。
3. ISO感度による画質の比較
ISO感度を変えることで、画質はどのように変化するのでしょうか?ミラーレス一眼カメラの「SONY α1」を使って比較してみましょう。
動画で確認したい方はこちらをご覧ください。
① ISO100
② ISO200
③ ISO400
④ ISO800
⑤ ISO1600
⑥ ISO3200
⑦ ISO6400
⑧ ISO100とISO12800(昼間)の比較
⑨ ISO400とISO3200(夜間)の比較
4. デュアルネイティブISOとは?
「デュアルネイティブISOテクノロジー」は、PanasonicやSONY、FUJIFILMなど一部のカメラに搭載されている機能です。
デュアルネイティブISOが搭載されたカメラの場合、従来のISO感度の考え方とは異なる法則で画質が変化するので注意しましょう。
デュアルネイティブISOとは?
一定のISO感度になると急にノイズが走らなくなり、高感度でもきれいな画になる機能。
これにより、ISO8000で撮影した画よりもISO12800で撮影した画の方がノイズが走らないといった現象が起こる。
【豆知識】ISO感度を上げると発生するノイズを減らす方法
ISO感度の数値が高くなると、光を捉える粒(画素)が大きくなるためノイズが出やすくなります。ノイズの度合いはカメラの機種によって違いますが、一般的には大体ISO1600以上になるとノイズが気になり出すことが多いといわれます。
では、できるだけノイズを抑えてきれいな画質を保つにはどうすれば良いのでしょうか?
ISO感度を上げる必要がある場面
ISO感度を上げる主なメリットは、暗い場所でも撮影ができることと被写体のブレが軽減できることです。
通常、動画の明るさはシャッタースピードや絞り(F値)で調整しますが、暗い場所で撮影する際にシャッタースピードを遅くしすぎるとその分手ブレや被写体ブレが生じやすくなります。
絞りを開放する(F値を下げる)ことでも画面は明るくなりますが、被写界深度が浅くなるため全体にピントを合わせることが難しくなります。
そんなときに使われるのが、ISO感度です。
例えば暗い場所での撮影でシャッタースピードを遅くしたいけど手ブレしてしまうといった場面では、ISO感度を上げることで明るさを確保しつつブレを軽減してくれます。
ISO感度は上げすぎず、シャッタースピードを遅くする
ISO感度は暗い場所での撮影に役立つ機能ですが、きれいな画質を保つためにはISO感度は無闇に高くしないというのが鉄則です。
ISO感度を上げたときに発生するノイズを軽減するには、単純にISO感度を上げすぎないことが重要です。
前述のように、ISO感度・シャッタースピード・レンズの絞り(F値)はお互いに干渉し合っています。
シャッタースピードと絞り(F値)だけでは思い通りの撮影ができないような場面では、それを補うためにISO感度が活用されます。
逆に考えると、ISO感度をあまり上げたくない場面では代わりにシャッタースピードを使って調整することができます。
ISO感度を上げたことによるノイズが気になるときはISO感度を下げ、シャッタースピードを遅くすることで適正露出に調整してみてください。
ただし、シャッタースピードを遅くするとブレが生じやすくなるため、三脚やジンバルを使ってできるだけカメラを固定させて撮影しましょう。
「常用ISO感度」と「拡張ISO感度」
カメラのスペックを見ると、「常用ISO感度」と「拡張ISO感度」の2種類の記載があることがあります。
■常用ISO感度:普段使用する感度のこと。数値の範囲内であれば実用に耐える画質の確保ができ、それほどノイズを感じずに撮影できる。
■拡張ISO感度:通常は使用しない感度のこと。緊急性や必要性がある撮影などに使われる。目に見えてノイズが発生し、画質は損なわれる。
通常、拡張ISO感度が使われるのは画質よりも「映す」ことを優先したい場面です。暗い場所で高速に動く被写体を撮影したい場合や、夜道でフラッシュをたかずに撮影したい場合などがこれに当てはまります。
カメラによってノイズが許容できる範囲は異なるので、ISO感度を調整する際は常用ISO感度と拡張ISO感度の数値も意識してみてください。