もう迷わない!F値の設定とMF/AFの使い分けのポイント【動画撮影】
2023.03.20
今回の『動画の学校 ボーダーレスゼミ』のテーマは、F値の設定について。撮りたいシーンに合わせたF値の設定方法や、MF(マニュアルフォーカス)とAF(オートフォーカス)の使い分けのポイントをわかりやすく解説していきます。
F値(絞り)には、レンズに入る光の量や被写界深度をコントロールする役割があります。
撮影シーンに合わせたF値の設定ができるようになると動画のクオリティアップにも繋がります。
1. 広い場所で撮影するときのF値
広い場所で撮影するときのF値の設定について、ポイントを押さえておきましょう。
① 背景をしっかり見せたいとき
広い場所で背景をしっかり見せたいときは、F値の数値を高く設定する(絞って撮る)と良い。
② レンズによって得意なF値があるので注意する
必ずしもF値を高くする(絞る)と解像度が高い映像になるわけではない。
一般的なレンズであれば大体F5.6~F8付近が最も解像度が高くきれいに映ることが多いといわれる。自分のレンズの「得意なF値」を把握しておくのがおすすめ。
③ カメラと被写体の距離があるとき
広い場所でカメラと被写体の距離が離れてしまうときは、ある程度F値の数値を高く設定した方が不自然なボケが生まれない。
上の動画の例だと、F16の方が人物にも背景にもピントが合って両方の情報をきちんと見せることができている。
2. 動いている被写体を撮影するときのF値
被写体が動いているときのF値の設定について、ポイントを押さえておきましょう。
① 撮影する前に被写体が動く幅(範囲)とピントを決めておく
被写体が動く幅(範囲)を決めておき、どれくらいピントを合わせたいのか前もって計算しておくことが大切。
② 被写体が前後に動くとき
マニュアルフォーカスで撮るのがおすすめ。
動く被写体に対してオートフォーカスを使うと、フォーカスブリージングが起こりやすくなってしまうので注意する。
フォーカスブリージングとは、フォーカスを動かす際に画角が変わってしまう現象のこと。
③ 定点で撮影をするとき
定点で解説動画などを撮影するときは、F値の数値を低く(開放)してオートフォーカスにするのがおすすめ。
④ ポートレート動画や映像作品を撮るとき
場所や撮りたい画に合わせてF値を設定する。被写体をメインで撮りたいときはF値の数値を低くし、被写体と背景両方の情報を見せたいときはF値の数値を高く設定すると良い。
カメラのF値について詳しくはこちらの記事で解説しているので参考にしてみてください。
【豆知識】フォーカスブリージングのデメリットと対策
オートフォーカスは被写体に対して自動でピントを合わせてくれる便利な機能ですが、動く被写体を撮影するときはフォーカスブリージングが発生しやすいので注意が必要です。
フォーカスブリージングのデメリット
フォーカス(ピント位置)の移動に伴って、勝手に画角が変化してしまう現象をフォーカスブリージングといいます。
静止画の場合、フォーカスブリージングによって勝手に画角が変化してしまってもあまり大きな問題はありません。再度構図を調整してから撮影すれば、画角が変化した「経過」は見る人にはわからないためです。
しかし動画の場合、フォーカスの移動や画角の変動を含めた「経過」が映像として残ります。そのため被写体が動くたびに背景の画角が変わると問題になってしまうのです。
フォーカスブリージングが起こると思い通りの画を撮ることができないだけでなく、見る人に違和感や気持ち悪さを感じさせてしまう一因になります。
フォーカスブリージングの予防対策は?
フォーカスブリージングの対策として有効なのは、ブリージング補正対応のレンズやカメラを使用することです。
近頃は静止画だけでなく動画撮影の性能向上に力を入れているメーカーが多く、フォーカスブリージングを軽減する補正機能が搭載されたレンズや対応カメラの種類も増えています。
動画撮影時のフォーカスブリージングに悩まされている人は、対策として補正対応機器の導入を検討してみましょう。
【フォーカスブリージング補正対応カメラ(SONY)】
- SONY α7R V ILCE-7RM5
- SONY α7 IV ILCE-7M4
- SONY ILME-FX6VK
- SONY ILME-FX30
- SONY ILME-FR7
※2023年2月時点。各カメラに対応しているレンズや使用にあたっての注意点など詳細は公式サイトでご確認ください。
参照:ブリージング補正 - 機能互換情報|SONY
【フォーカスブリージング補正対応レンズ(Cannon)】
- RF24mm F1.8 MACRO IS STM
- RF135mm F1.8 L IS USM
- RF14-35mm F4 L IS USM
- RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM
- RF15-35mm F2.8 L IS USM
- RF24-70mm F2.8 L IS USM
- RF70-200mm F2.8 L IS USM
- RF70-200mm F4 L IS USM
- RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM
※2023年2月時点。使用にあたっての注意点など詳細は公式サイトでご確認ください。
参照:【ミラーレスカメラ】動画撮影時のフォーカスブリージング補正対応レンズは?|Cannon