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【初心者向け】動画向け絵コンテの作り方・書き方をやさしく解説

【その他】

2025.11.20

動画や映像を社内で効率的に作りたいのなら、絵コンテを活用しましょう。

絵コンテがあると、動画制作に必要な情報をスタッフ間で共有できるため、制作作業がスムーズに進みます。動画のクオリティを高めたいときにも効果的です。

この記事では、動画制作の経験が浅い方に向けて、絵コンテの役割と作り方・書き方のコツをわかりやすく解説します。

その他の記事の内容

  • 絵コンテ以外の制作資料(構成台本・イメージボードなど)との違い
  • 絵コンテの用途と求められるクオリティ
  • AIを活用した絵コンテの作成方法

動画制作を成功させたい方に役立つ情報をお届けします。ぜひ最後までご覧ください。

INDEX

1. 動画制作における絵コンテの基礎知識

絵コンテとは、出演者の配置や動き、カメラワーク、セリフやBGMなどを「コマ割りしたイラストと説明文」で表したものです。

絵コンテによって「何を・どのように・どんなふうに撮影するのか」「どのような動画を完成させたいのか」を視覚で表現できます。

撮影・編集作業の前に制作スタッフの間で完成イメージを共有できるため、動画制作のスムーズな進行やクオリティの向上につながるのです。

また、動画制作を依頼された場合は、クライアントと制作側の情報共有にも絵コンテが役立ちます。

絵コンテで大切なことは「必要な情報が伝わること」

絵コンテで大切なことは「絵の上手さ」ではなく、みた人に必要な情報が伝わることです。

たとえ線と点で書いた「棒人間」と四角や矢印のラフな説明だけの絵コンテでも、相手に動画の完成イメージや撮影・編集のポイントが伝われば問題ありません。

ただし、動画の目的や用途によっては、複雑な情報を整理して伝えるために時間をかけて絵コンテを作成する必要があります。

絵コンテの用途と求められるクオリティは4. 絵コンテの用途と求められるクオリティで解説します。

絵コンテの基本項目

絵コンテの基本項目は以下のとおりです。

  • ① 絵(カットのイメージ):人物・物の位置や動き
  • ② セリフ/ナレーション:その場面で話す内容
  • ③ 音(BGM・効果音):どんな雰囲気を出したいか(例:アップテンポで明るい曲など)
  • ④ カメラワーク:ズーム・パン・固定など
  • ⑤ 時間・尺:1カットの長さの目安(例:1秒・0.5秒など)

上記の基本項目を記載すると、完成イメージをスムーズに共有できるようになります。

2. 絵コンテがあるとなぜ動画制作はスムーズになる?

絵コンテなしで動画制作を進めると「撮影した映像がシナリオに合わない」「編集に必要なカットが撮れていない」といった事態が起きるかもしれません。完成までに時間がかかるほか、期待を下回る仕上がりになるおそれもあります。

絵コンテの作り方の前に、動画制作における絵コンテのメリットを確認しておきましょう。

  • 完成イメージを共有できる
  • 撮影・編集の段取りが明確になる
  • コストとスケジュールの管理がしやすい
  • 関係者との認識のズレを減らせる
  • クオリティが安定する
  • チーム制作の指示書になる

完成イメージを共有できる

絵コンテがあると、出演者の配置や動き、画面の構成といった情報をスタッフ間で共有できます。

完成イメージを共有できると、監督の意図がスタッフに正確に伝わったり各スタッフが自分の仕事に迷わず取り組めたりと、動画制作にプラスの効果をもたらすのです。

また、制作側がクライアントに完成イメージを伝えたいときにも、視覚から情報を伝達できる絵コンテが役に立ちます。

撮影・編集の段取りが明確になる

絵コンテがあると、編集に必要なカット数を把握して撮影の順番を整理できるようになります。

やるべきことが明確にして余計なカットの撮影や撮り忘れを防止できるのです。動画に必要な素材を効率的に集められるため、人手や時間も節約できます。

なお、シーンとは1つの場面を意味します。カットはひとつなぎの映像です。1つのシーンは複数のカットが集まって構成されます。

コストとスケジュールの管理がしやすい

絵コンテがあると、「撮影・編集にどのくらいの工数がかかるか」の目途を立てられるようになります。必要な工数を明らかにすることで、スケジュール管理をやりやすくするのです。

スケジュールを適切に管理できると、余分な修正や追加撮影を削減できるでしょう。

修正作業や追加撮影は制作費の高騰を招きます。絵コンテは、こうした予算オーバーを防ぎ納期遅延を回避することで、クライアントの信用失墜を防ぐのに役立つのです。

関係者との認識のズレを減らせる

絵コンテがあると、制作側と関係者間の認識のズレを減らせます。動画のポイントを「イラストと文章」で表現することで、言葉で伝えにくい完成イメージを共有できるからです。

仮に認識のズレがあっても、絵コンテの段階で修正できれば問題ありません。撮影や編集の前に、紙やデータ上で絵コンテを修正することで、時間の浪費とスタッフの負担を抑えられます。

クオリティが安定する

絵コンテに具体的な指示を記載することで、場当たり的な演出を避けて一貫性のある映像を制作できます。

絵コンテに書かれた具体的な指示は、映像全体の流れやトーンをコントロールしたいときに効果的です。制作スタッフは各ポイントを押さえて作業に取り組めるため、動画・映像のクオリティが安定します。

チーム制作の指示書になる

複数のスタッフが動画制作に関わる場合、絵コンテは関係者間の共通マニュアルとして機能します。

絵コンテによって、「何を・どのようにみせるか、映像の魅力を高めるためにどのようなカメラワークを採用するか」を事前に提示することで、動画の撮影作業を効率化させながら動画のクオリティを高められるのです。

3. 動画向け絵コンテの作り方・書き方

はじめに動画制作初心者がやるべきことを紹介します。次に各ステップのポイントと書き方のコツを押さえて、動画制作に役立つ知識を身につけましょう。

動画制作初心者がまずやるべきこと

まずは動画のシナリオや台本を、紙またはデータ上に書き出しましょう。

書き出す際は、1シーン=1コマで作成して絵と短いメモを残すとよいです。

絵コンテの作成では、頭の中にある「動画全体の流れ」をおおまかにでも形にすることが大切です。

初心者が意識したいポイント

  • 「完璧に作るより伝わること」を優先する
  • 最初に主要シーンを書いて後から細かい補足を入れる
  • 最後に、他の人が見て理解できるかをチェックする

「絵コンテを完成できた」という経験は、次の動画制作の自信につながります。まずは1枚の絵コンテを完成させましょう。

以下の記事では、映像・動画制作を工程表付きで紹介しています。動画制作の流れを知りたい方はぜひご覧ください。

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絵コンテは「5ステップ」で作成できる

絵コンテは以下の5ステップで作成できます。

  • ① シナリオを整理
  • ② フォーマットを用意
  • ③ コマ割りを決める
  • ④ 絵を描いて注釈・文字情報を追加する
  • ⑤ 確認と修正

それぞれの工程を具体的に確認しましょう。

ステップ① シナリオを整理

まずは動画のシーン・動き・セリフを簡単な文章で表しましょう。「イントロ(導入部分)→本編→締め」という3つの流れに分ける方法が効率的です。

このとき、各シーンやカットで何を伝えるかを箇条書きで書いておくと、撮影・編集作業がスムーズに進行します。

ステップ② フォーマットを用意する

絵コンテのフォーマットはシンプルなもので十分です。フォーマット(書式)は以下の方法で入手できます。

  • インターネットからテンプレートをダウンロードする
  • エクセルなどの表計算ソフトでオリジナルのフォーマットを作る
  • PowerPoint・Canvaなどのフリーツールで作る
  • 紙とペンで自作する

絵コンテは紙とペンで自作できます。①無地の紙にペンでコマ割りを書く②スマホで撮影しPDF化する③PDFを印刷して直接書き込む といった方法で作成できます。手書きでフォーマットを作りたい方はお試しください。

ステップ③ コマ割りを決める

続いてイラストを描くためのコマ割りを決めます。一般的なスタイルは、1ページにコマ割りを2~4つ設置して横に注釈を書く方法です。

動画の長さやカット数に合わせて、「1ページあたり3〜6コマ」に設定しても構いません。このとき、シーンの区切りが明確になるように注意しましょう。

一般的なコマ割りは以下のとおりです。

  • 1. 上から順番に並べて時系列でわかるようにコマ割りを配置する
  • 2. 画面左側に絵(カットのイメージ)のコマ割りを書く
  • 3. 右側にテキスト(セリフ・ナレーション・指示)を記載する

ステップ④ 絵を描いて注釈・文字情報を追加する

コマ割りにイラストを描いていきます。「ざっくり描いて、足りない情報は文字で補足しよう」くらいの気持ちでリラックスして取り組んでみましょう。

イラストを描いたら、文字で各シーンやカットを補足します。具体的な項目と書き方の例は以下のとおりです。

絵コンテのイラストを補足する要素 書き方の例
カメラアングル 引き・寄り・パン・ズームなど
カメラアングル
被写体の動き 歩く、振り向く、手を上げるなど
セリフ ナレーション:その場で話す内容や字幕
音楽/効果音 雰囲気や音を入れるタイミング
時間/尺(任意) カットの長さや秒数の目安を入れる
補足注釈 重要な演出や視覚効果の説明(矢印や枠などで簡単に)

ステップ⑤ 確認と修正

絵コンテが完成したら、内容を理解できるか自分以外の人にチェックしてもらいましょう。チェックしてもらったあとは、足りない情報を補足して余計な部分は削除します。

修正が終わったら再度チェックしてもらいましょう。チェックと修正を繰り返すことで、絵コンテは改善されていきます。

プラスαのコツ

絵コンテに色や記号を追加すると視覚的に見やすくなります。矢印・フレームや吹き出しを活用して、動画の動きや視線を示すとさらにわかりやすくなります。

AIや無料素材を活用して、ラフイメージを作る方法もおすすめです。「ラフ→修正→完成」のステップを踏むことで、絵コンテの質は高まっていきます。作り方・書き方のコツは6. AIで効率化!最新の絵コンテ作成方法で確認しましょう。

4. 絵コンテの用途と求められるクオリティ

絵コンテの用途によって求められるクオリティは異なります。

たとえば、小規模な動画ならシンプルな絵コンテで十分です。反対に、外注案件なら時間をかけてわかりやすい絵コンテを作成すべきでしょう。

ここでは、絵コンテの用途と用途別の書き方、そして絵コンテに求められるクオリティの目安を紹介します。

社内確認用(社内プレゼン・小規模動画制作)

絵コンテをみる人が社内スタッフなら、棒人間などの簡単なイラストでも構いません。イラストの横に書く指示や説明も簡単な図で問題ありません。

ラフスケッチ感覚でスピーディーに仕上げる方が、動画制作はスムーズに進行します。

外注用(制作会社やフリーランスへの依頼)

映像制作会社やフリーランスのクリエイターに依頼するときは、絵コンテを丁寧に作成しましょう。

各カットの意図が伝わるように絵コンテには絵とテキストの両方を記載します。カメラワーク・動き・ナレーションといった補足情報を記載して、外注先と同じイメージを共有しましょう。

広告動画や商品PR動画

広告動画や商品PR動画では、緻密な絵コンテを作成しましょう。

映像の色やトーン、演出イメージを共有できるくらい丁寧に作成すると、クライアントの好感獲得につながります。お互いの認識のズレを埋めて関係部署との合意形成にも役立ちます。

イベント・展示会用の大型映像やアニメーション制作

イベントや展示会用の大型映像、アニメーション動画は画面効果が複雑です。そのため、細かい情報を共有できる絵コンテが必要となります。

絵コンテには、キャラクターの配置や動線、セリフやナレーションの内容、BGMの指示などの細かい情報を記載しましょう。

さらに、カットの長さを示す「秒数」を書き込むと、完成イメージをスタッフ間で正確に共有できるようになります。

5. 絵コンテと混同されやすい資料

絵コンテと混同されやすい資料とは、構成台本(シナリオ台本)イメージボード、そしてストーリーボードです。

まずはそれぞれの意味を表で確認しましょう。

絵コンテ 映像の流れを「イラスト+説明」で表したもの
構成台本(シナリオ台本) シーンの流れやセリフを文字で整理したもの
イメージボード 映像の雰囲気を共有するための静止画資料

※ストーリーボードは絵コンテとほぼ同じ意味の資料です。詳しくは後述します

動画制作資料の意味を整理すると、関係者との認識のズレを減らし修正や手戻りを防げるため、全体の作業効率が上がります。また、構成台本→イメージボード→絵コンテの順で作ると作業がスムーズになりますよ。

絵コンテと構成台本・イメージボード・ストーリーボードの違いを詳しく確認していきましょう。

構成台本(シナリオ台本)との違い

構成台本は、動画の内容や全体の流れ、セリフ・ナレーションを文字で整理する資料です。

絵コンテのようにイラストを活用しない点が大きな特徴で、その中身は文章が中心です。

構成台本は、企画段階でストーリーを固めたいときやナレーションやセリフの確認などに役立ちます。

文字が中心となるため、映像に関する指示は少なめです。

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イメージボードとの違い

イメージボードは、映像の雰囲気・色味・トーンを制作スタッフや出演者間で共有するための資料です。

主に演出・デザインのイメージを確認するために使用されます。また、制作側とクライアントの間でイメージを共有する際にも使用されます。

イメージボードは、写真やイラストなどの静止画が中心で、絵コンテのように出演者の動きを示すことはほとんどありません。

ストーリーボードとの違い

ストーリーボードとは、動画の流れをコマ割りで表現した資料です。「絵+簡単な指示」で動画の動きやセリフを示します。

ストーリーボードは絵コンテとほぼ同じ目的で使用されており、制作現場での情報共有や外注先への指示資料として活用されています。

チーム内の慣習で呼び方が変わるものの、ストーリーボードと絵コンテに大きな違いはありません。

ここまで、絵コンテと制作資料の違いをみてきました。資料の違いがわかりにくい方は、「構成台本=文章」「イメージボード=雰囲気」「絵コンテ=動画の設計図」と整理してみましょう。

6. AIで効率化!最新の絵コンテ作成方法

AIを活用すると、絵コンテの作成作業を効率化できます。

「ラフイメージの作成→手直し→完成」のステップを踏むことで、絵心がない方や忙しいスタッフも効率的に絵コンテを作成できるのです。

AIのメリットと具体的な活用例をみていきましょう。

AI活用のメリット

AIを活用すると、ラフイメージ(イラストやデザインを下書きしたもの)の作成スピードが格段にアップします。AIがイラストを生成してくれるので、絵が苦手な人もわかりやすい絵コンテを作成できるのです。

たとえば、手描きで1時間かかるラフもAIなら数分で生成できます。イラスト作成に使っていた時間を、アイデア出しや制作案の比較・検討、カットの構図の改善などにあてられるようになります。

活用例①:ラフ絵の自動生成

AIにラフイメージの内容を入力すると自動で絵を生成してくれます。

以下の絵は、「オフィスで女性がパソコンを操作するカット」をイラストで作るようChatGPTに指示した画像です。

※作成時間は1分弱でした

指示内容を変更すると、棒人間や簡易キャラクターの作成も可能です。手直しもすぐに行えます。背景や細かい動作の指示を追加すれば、ラフ絵の完成度をさらに高められるでしょう。

繰り返しになりますが、絵コンテで大切なことは必要な情報が伝わること。完璧な絵は不要です。ラフイメージ=共有用の設計図と割り切って、気楽な気持ちでAIを活用してみましょう。

活用例②:コマ割りや構図の参考

AIはコマ割りや構図を決める際にも役立ちます。

「イントロ→商品説明→締め」とおおまかな流れをAIに伝えることで、動画に合ったコマ割りを自動で作成してもらえるでしょう。

カット割りや構図のアイデアを得たいときにもAIの活用は効果的です。編集の前に撮影の流れを視覚化できると、修正作業を効率的に行えます。

活用例③:AI+テンプレートの組み合わせ

AIとテンプレートを組み合わせると効率的に絵コンテを作成できます。

たとえば、AIが生成した画像をCanvaやPowerPointのテンプレートに貼り付けて、吹き出し・注釈・ナレーション欄を追加すれば、デジタル版絵コンテの完成です。

完成した絵コンテは、PDFにしたりクラウドに保存したりと制作チームが使いやすい方法で活用できます。

AIとテンプレートを組み合わせると、絵コンテの作成作業が効率化されるため、複数の絵コンテ案を短時間のうちに作成できます。

AIを絵コンテに活用するときの注意点

AIを活用する際は著作権と素材サイトの利用規約に注意しましょう。素材の無断使用や二次利用は著作権侵害のトラブルを招くおそれがあります。

また、AIは便利ですが、絵コンテの作成作業をすべて自動化できるわけではありません。制作者の意図や期待するクオリティを絵コンテに完全に反映することは、AIにはまだ困難だからです。

重要な案件ほど人の手で手直ししましょう。AIは動画制作の設計図を早く作るための「補助ツール」です。上手にAIを活用して絵コンテの作成作業を効率化させましょう。

7. 目的に合わせた絵コンテで動画制作を加速させよう

今回は動画制作における絵コンテの作り方・書き方を紹介しました。

絵コンテは、動画・映像制作に必要な情報を、関係者の間でスムーズに共有するための制作資料です。

絵コンテを作る際は、本記事で紹介した作り方・書き方を参考に、自分たちに合った方法を試してみてください。

なお、動画制作に不慣れな方は「まずはざっくり1枚作る」→「必要に応じて精度を上げる」のステップで取り組んでみましょう。作成経験に比例して、絵コンテの品質は高まっていきます。ぜひ気楽な気持ちで取り組んでみてください。

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