地方(自治体)の魅力が伝わるPR動画の作り方とは?成功事例や制作の流れも紹介
2025.03.20
地方には、雄大な自然に文化や歴史、特産品や伝統工芸品などの貴重な観光資源があります。
地方(自治体)PR動画は、こうした地方ならではの魅力を動画で発信するプロモーション活動です。
この記事では、「たくさんの人に地元の魅力を知ってもらいたい」「観光客や移住者を増やしたい」とお考えの自治体や観光協会の方に向けて、地方の魅力が伝わるPR動画の作り方を紹介します。成功事例や動画制作の流れも紹介するので、「外注すべきか、自作すべきか」とお悩みの方もぜひご覧ください。
1. 地方PR動画が注目される背景
はじめに、地方PR動画が注目される背景を確認しましょう。
- ① デジタル化の推進
- ② 観光プロモーションの重要性
- ③ 地域ブランディングの効果
- ④ 海外の観光客に対するアプローチ
① デジタル化の推進
近年、インターネット環境やスマートフォン・タブレットの普及により、誰でも遠く離れた地方や観光地の情報収集に取り組めるようになりました。
中でも、SNSやYouTubeは、無料に利用できる情報収集にすぐれたツールとして多くのユーザーが利用しています。
地方PR動画は、SNSやYouTubeから世界中のユーザーにアプローチできる映像コンテンツです。地方の魅力を短時間かつ効果的に届けられるメリットがあり、効果的なプロモーション活動として注目を集めています。
② 観光プロモーションの重要性
地域には雄大な自然や貴重な文化、その地域ならではの特産品といった観光客を惹きつけてやまない観光資源が存在します。
このような観光資源をたくさんの人に楽しんでもらうためには、何らかの方法で発信して認知してもらわなければいけません。
インターネットを通じて、不特定多数のユーザーにリーチできる地方PR動画は、地域の観光資源を広めるための有効なプロモーション活動です。
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③ 地域ブランディングの効果
地域ブランディングとは、地域特有の価値や魅力を発信して、地元の知名度・イメージを高める活動のこと。
地域ブランディングに成功すると、地方自治体は以下のようなメリットを享受できます。
- 観光客の増加による飲食店、宿泊施設、レジャー施設などの需要増加
- 移住者の増加による人口減少の防止
- 企業の誘致が成功しやすくなる
こうしたメリットは、新たな雇用を生み出し地域経済の活性化につながります。
さらに、地域ブランドを高める活動を通して、住民が持つ地域への愛着や誇りが高まるでしょう。まちおこしを通じて、住民が一体となり地域の結束力を高めた地方は少なくありません。
④ 海外の観光客に対するアプローチ
地方PR動画は、海外に暮らす潜在的な観光客にもアプローチできる施策です。
動画の魅力は、映像を通じて、土地、雰囲気、食べ物などの魅力を直感的に伝えられること。
言葉の壁を超えて、海外の観光客に観光地の魅力を伝えることは、強力なインバウンド対策になるでしょう。
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2. 地方PR動画の成功に必要な5つの要素
地元のPRに成功した自治体は、どのような動画を活用したのでしょうか?ここでは、地方PR動画の成功に必要な5つの要素を紹介します。
- ① 地方の魅力を深掘り
- ② 視聴者目線の企画力
- ③ 良質な映像と編集
- ④ 拡散性と共感を狙った仕掛け
- ⑤ 明確なゴール
それぞれの要素を確認して、地方PR動画の成功イメージをつかみましょう。
① 地方の魅力を深掘り
地方に「山、川、海などの豊かな自然がある」「都会の騒音がなく静かな環境で過ごせる」といった特徴があるとします。
しかし、こうした特徴は他の地方PR動画の内容と重複しやすく、ターゲットの印象に残りづらい点が気になります。
その点、成功した地方PR動画は地域独自の魅力を深掘りして発信しており、他の動画との差別化を実現しているのです。
「ふるさと動画大賞」で優秀賞を受賞した埼玉県熊谷市のPR動画は、地方独自の魅力を紹介した効果的なプロモーション動画といえるでしょう。
\ふるさと動画大賞 優秀賞受賞/ 埼玉県熊谷市グルメCMシリーズ コンピレーション版
※他社制作動画
② 視聴者目線の企画力
成功するPR動画の中には、視聴者目線で企画されたものが数多く存在します。視聴者目線とは、地方の魅力をアピールするだけでなく、視聴者が望むような情報を発信した動画のことです。
企画の段階から視聴者の立場や気持ちに配慮することで、観る人の共感・好感を獲得しやすい地方PR動画を制作できます。
③ ハイクオリティな映像
映像のクオリティが高い地方PR動画も、地方の魅力を存分にアピールしてくれます。
特に高品質なカメラで撮影された地方の美しい映像は、視聴者の注目を集めるでしょう。解像度の高い映像は、4Kや8Kなどのスーパーハイビジョンで再生されることで、視聴者に深い感動をもたらしてくれるはずです。
また、動画に挿入する音楽やナレーションなどの演出にこだわると、観る人の心を揺さぶる動画が出来上がります。
④ ユニークな動画と拡散効果
自治体の特徴や魅力をユニークな切り口で紹介する方法も、地方PR動画の成功に効果的な施策です。
視聴していて面白い動画は、それだけで映像コンテンツとしての価値が高いといえます。面白いものに敏感なユーザーからの注目を集め、SNSやYouTubeで高い視聴数を獲得するでしょう。
視聴者は、自分が面白いと思う動画に親しみを感じやすいものです。そのため、ユニークな動画も、地方の広報活動として大きな成果をもたらしてくれます。
ユニークな動画の事例は「① 面白く話題性のある地方PR動画」の章で紹介しています。
⑤ 明確なゴール
成功する地方PR動画には、「観光地を訪問しよう」「地域の特産品を購入してください」といった明確なメッセージが示されています。
自治体からのメッセージを動画に挿入することで、地方PR動画の目的やゴールを視聴者に示すわけです。
こうすることで、自治体が読者に期待する行動、つまり「特産品の購入、ふるさと納税、実際に観光地に訪れる」といった選択肢を視聴者が検討してくれるようになります。
3. 効果的な地方PR動画の作り方
効果的な地方PR動画を制作するためのポイントを3つ紹介します。
- ① 地域の魅力を引き出す企画を立てよう
- ② 感情に訴えかけるストーリーを取り入れよう
- ③ 話題性だけで終わらない「行動を促す」動画を制作しよう
地方の特徴と照らし合わせながら、一つひとつ確認してみましょう。
① 地域の魅力を引き出す企画を立てよう
効果的な地方PR動画を制作するために、まず地域の魅力を引き出す方法から考えていきます。
地方の魅力を引き出す構成の流れは次のとおりです。
- 1. 地域独自の特徴を探す
- 2. 集めた特徴の中から、ターゲット目線で「わたしたちの地方の魅力」を選ぶ
- 3. 構成にストーリー性を取り入れる
- 4. 演出にトレンドを取り入れる
地方独自の特徴を探すコツとして、地元住民や地方関係者と協力関係を築くことが挙げられます。
地元をよく知る人たちとコミュニケーションの機会を持つことで、リアルで信頼感のある情報を収集できるのです。
「古くから伝わる自然のスポットや建造物」「知られざる文化や人の歴史」など、これまで表に出てこなかった独自性の高い情報が見つかるかもしれません。
そして、動画のターゲット(視聴者)と「ターゲットが知りたいと思う情報は何か」を再確認しましょう。視聴者に価値の高い情報を動画に盛り込めるようになります。
さらに、地域の背景や魅力をストーリー仕立てで紹介できれば、視聴者の深い印象を残す地方PR動画を制作できるでしょう。
演出のトレンドは、「地方PR動画の成功事例」で紹介します。
② 感情に訴えかけるストーリーを取り入れよう
地方PR動画に感情に訴えかけるストーリーを取り入れると、視聴者の共感を獲得できます。
共感とは、他人の感情を理解して、自分ごとのように感じたり共有したりする能力のこと。
視聴者の共感を獲得するような動画は、その人の記憶に深く残るでしょう。その結果、「自治体のホームページにアクセスしてもらう」「地方の飲食店や宿泊施設を予約してもらう」といった“次の行動”を取ってもらいやすくなるのです。
具体的な方法は、以下のとおりです。
- 地元の人々のリアルな生活や感動的なエピソードを紹介する
- 過去と現在、未来をつなぐようなストーリーを構築し、地域の歴史や進化を伝える
- 動画の最後に地域の未来像や希望を感じさせるメッセージを加え、ポジティブな印象を与える
また、撮影する映像にこだわれば、自然の豊かさ、料理の雰囲気、観光地の活気などをクリアに表現できます。
さらに、動画に挿入する音楽やナレーションに人手や時間をかけると、「地方PRに力を入れている」ことが視聴者に伝わるでしょう。その結果、共感や好感を獲得しやすくなります。
映像の美しさや音楽、時間軸を活用して効果的なPR動画を制作しましょう。
③ 話題性だけで終わらない「行動を促す」動画を制作しよう
「観光地への訪問」「商品の購入」「問い合わせ数のアップ」などの具体的なゴールを設定すると、動画の方向性が定まります。
方向性を定めたうえで、視聴者が実際に参加したり訪問したりしたくなるようなキャンペーンやインタラクティブな(お互いにやり取りできる)仕掛けを取り入れることで、訴求力にすぐれたプロモーション動画になります。
「この地方に行くと、こんな素敵な体験ができる!」「ここに行ったら、こんな気分になれる」と、視聴者の想像をふくらませるような情報も取り入れましょう。
なお、「制作した動画をどのように活用するのか」という視点も大切です。
SNSやYouTubeなど、さまざまなプラットフォームにも展開できるような動画構成を考えておくと、制作した動画を効率的に活用できます。
4. 地方PR動画の成功事例
成功事例を紹介する前に、地方PR動画の傾向について紹介します。
以下は、一時期トレンドに挙がった地方PR動画の特徴です。
- 動画の全体の時間は5分以内(=視聴しやすい)
- 予想外の企画で視聴者の興味をひく(=SNSで拡散されやすい「バズる」)
- オリジナルソングにのせて、地域の特徴を紹介(=記憶に残りやすい)
動画の尺が短い動画は、仕事や家事が忙しい方も気軽に視聴できます。また、斬新な企画で視聴者の興味をひき、オリジナルソングなどのキャッチーな手法が流行したこともあります。
しかし、最近のトレンドは変化しつつあります。映像自体のクオリティにこだわり、映像美やまちの雰囲気をリアルに感じられる動画が注目されているのです。
まずは面白く話題性のあるPR動画を確認しましょう。
① 面白く話題性のある地方PR動画
■【伊丹市PR動画】もしも伊丹さんと結婚したら
※他社制作動画
- 再生回数:11万回
- 映像の尺:3分53秒
■こうち二段階移住PR動画
※他社制作動画
- 再生回数:15万回
- 映像の尺:4分3秒
■【安城市PR動画】JANG DA-RA RING(じゃんだらりん)
※他社制作動画
- 再生回数:38万回
- 映像の尺:4分2秒
■維新dancin'鹿児島市 スペシャルムービー
② 映像のクオリティやストーリーを重視した地方PR動画
映像のクオリティにこだわった地方PR動画は、面白さや話題性よりも感動的・情緒的な演出を重視している動画です。視聴者が思わず「その地域を訪れてみたい」と思うような感情に訴えかけるストーリーが組み込まれています。
■KOBE203X|Virtual Production × Volumetric Capture
※他社制作動画
- 再生回数:3.7万回
- 映像の尺:4分25秒
■【京都アニメーション ×「紫式部ゆかりのまち宇治」PR動画】「うじには物語がある」
※他社制作動画
- 再生回数:14万回
- 映像の尺:6分30秒
■珠洲市観光PR動画(ダイジェスト版)
※他社制作動画
- 再生回数:10万回
- 映像の尺:1分
■ふらりと青梅。~青梅市移住・定住PR~
※他社制作動画
- 再生回数:2.9万回
- 映像の尺:2分
移住は、その人の人生にとって大きな転機となる重要な決断です。だからこそ、慎重な判断が必要とされます。
移住を検討する視聴者は、ただ感情を動かされるだけでなく、「この地域に移住する価値があるか」「お金や時間を使っても訪れるだけの魅力があるか」をシビアに判断できる情報を求めています。
したがって、「わが地方に移住する人を増やしたい」と考えるとき、地方PR動画は面白さや話題性よりも地域の魅力やメリットを具体的に伝えなくてはいけません。
また、最近はSNSやYouTubeなどの動画配信プラットフォームが普及し、誰もが簡単に映像を視聴できます。
動画に慣れた視聴者を引き寄せてPR動画を成功に導くには、映像のクオリティを高めエモーショナルな演出を行うことが必要です。
5. 動画制作の流れとスケジュール感
動画制作の工程とスケジュールの目安を下表にまとめましたので、動画制作を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
動画制作の流れ | 内容 | スケジュールの目安 |
---|---|---|
① 企画 |
|
1週間~2週間 |
② 撮影 |
|
約1週間 |
③ 編集 |
|
2週間~3週間 |
地方PR動画は、大まかに分けて「企画→撮影→編集」の流れで制作します。
一般的な動画制作の期間は2ヶ月~3ヶ月です。ただし、プロジェクトの規模や再生時間、撮影の有無(アニメーションの場合は撮影が発生しません)によって制作期間は変動します。
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6. 動画配信プラットフォームの種類と選び方
配信プラットフォームとは、簡単にいえば「制作した動画を配信するための場所」のことです。動画配信に必要な機能(配信機能や管理機能)が備わっており、インターネットを通じて利用できます。
おすすめの配信プラットフォーム、YouTubeとInstagramやTikTokなどのSNSです。
配信プラットフォームによって、視聴者層や管理機能などは異なるため、動画のターゲットに合わせて選ぶことが重要です。
以下にYouTubeとSNSの特徴・選び方を紹介します。
① YouTubeとSNS(Instagram、TikTok、LINE、Facebook、X)の特徴
YouTubeは動画配信に特化したプラットフォームです。年齢や性別に関係なく幅広い層にアプローチできるほか、動画の配信時間に決まりはなく、さまざまな目的で利用できます。
一方、SNSは動画共有機能を備えているものの、ユーザー同士のつながりやコミュニケーションの促進が主な目的のツールです。そのため、いずれのSNSでも再生時間の短い動画が推奨されています。
YouTubeとSNS(Instagram、TikTok、LINE、Facebook、X)の特徴を下表にまとめました。
配信元 | 視聴者層 | 特徴 |
---|---|---|
YouTube | 年齢や性別に関係なく幅広い層にアプローチできる | 動画の再生時間を気にする必要がない(デフォルトの設定で15分、最大12時間または256GBの動画をアップロード可能) |
10代~30代のユーザーが多く、他のSNSと比較して女性ユーザーの割合が高い | 1つの動画に、フィード投稿なら最大30個ストーリー投稿なら最大10個のハッシュタグを記載できる | |
TikTok | 10代や20代の若年層が最も多く、近年は幅広い世代に利用されている |
|
LNE VOOM | 10代から60代まで幅広く、女性ユーザーが多いのが特徴 |
|
SNSの中でも中高年層が多く、地域コミュニティとの接点を強化したい場合におすすめ | 「Facebookフィード」では、最大240分の動画を配信できる(ライブ配信も可) | |
X(旧Twitter) | 幅広い年齢層が利用しているが、特に10代から30代の若年層ユーザーからの支持が厚い |
|
上表のほかに、自治体の公式サイトや公式アプリケーションを利用する方法も有効です。観光地の情報と一緒に動画を配信することで、多くのユーザーに地方の魅力を届けられます。
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② ターゲットや動画内容に合わせた配信戦略
動画の長さや動画の形式は、プラットフォームごとに最適化させましょう。たとえば、3分以上の動画は、SNSよりもYouTubeでの配信が向いています。
SNSを習慣的に利用するユーザーは、ショート動画を好む傾向にあります。短いPR動画を継続的に制作・配信する方法が効果的です。 さらに、季節や自治体のイベントに合わせて配信することで、より多くのユーザーに視聴してもらえるでしょう。
まとめ
本記事の内容を振り返り、地方の魅力が伝わるPR動画を制作するためのポイントをわかりやすくまとめました。
① 地方PR動画制作を成功させるための重要なポイント
- 地域の魅力を深く掘り下げ、感情に訴えるストーリーを作成する
- トレンドを抑えつつ、動画のクオリティを高める演出を採用する
- 視聴者が行動を起こしたくなるような構成やメッセージを取り入れる
② 信頼できる制作会社を選ぶ際のチェックポイント
- 制作実績:制作会社が、過去に制作した地方PR動画や観光プロモーション動画の具体的な事例を確認(ボーダーレスではWebに掲載できない動画の実績が多数あります。お問い合わせいただければ、実績をお見せできるのでお気軽にご連絡ください)。
- 企画力:地域の特性をいかした独自性のある企画を提案できるか
- コミュニケーション力:制作プロセスにおいて密なやり取りが可能か
- 予算管理:予算内で最大限の効果を引き出す提案ができるか
PR動画で観光資源を魅力的に発信することは、観光客や移住者の誘致につながります。
ぜひこの機会に地方PR動画を制作して、地方の魅力を多くの人に知ってもらいましょう。
株式会社ボーダーレスは、地域の魅力を引き出す動画制作を請け負っています。「PR動画を制作したいけど、人手や技術が足りない…」「クオリティの高いPR動画を制作して欲しい」など、観光プロモーションに関する動画制作のご相談をお待ちしております。
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