社内用研修動画の作り方をステップごとに解説!成果を上げる5つのコツとは?
2024.08.22
社員教育や人材育成を目的とした研修動画は、効率の良い学習教材として多くの企業が活用しています。
視聴者(受講者)の学習効率が上がるだけでなく、一旦制作してしまえば繰り返し利用できるため、研修にかかる人手やコスト対策にも有効です。
本記事では、研修動画制作の実績を持つボーダーレスが、研修動画の効果的な作り方を5つのステップに分けて解説しています。成功事例や制作のコツについても紹介しているので参考にしてください。
【この記事でわかること】
- 社内用研修動画の内容(テーマ)とは?
- 研修動画の作り方~5つのステップと成功のポイント
- 研修動画に有効な3つの表現方法と実例
- 研修動画制作の心構えと5つのコツ
- 研修動画のメリットと効果
社内用研修動画の内容(テーマ)とは?
「社内用研修動画」と一口に言っても、種類は様々です。
研修動画の作り方へ進む前に、まずは自社にどのような内容(テーマ)の研修動画が必要なのか明確にしておきましょう。以下は、社内用研修動画の目的と内容の一例です。
新入社員向けの「新人研修動画」
企業文化や方針、ルールなど、基礎的なビジネスマナーの教育に活用したい
新入社員向けの「業務研修動画」
営業スキルやカスタマーサポートの対応手順など、特定のスキルや業務内容の説明に活用したい
管理職向けの「リーダーシップ研修動画」
リーダーシップやマネジメントスキルの教育に活用したい
全社員向けの「コンプライアンス研修動画」
ハラスメントや情報セキュリティなど、法令遵守や企業倫理の教育に活用したい
全社員向けの「安全研修動画」
火災時の避難手順や労働安全など、社内の安全対策や緊急対応の説明に活用したい
研修動画の作り方 - 5つのステップと成功のポイント -
ここからは、研修動画の作り方について大きく5つのステップに分けて解説します。
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①目的・課題・ターゲットを明確にする
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②企画を立てる
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③構成・シナリオを作る
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④撮影する(撮影が必要な場合)
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⑤編集する
作り方① 目的・課題・ターゲットを明確にする
まず、何のために研修動画を作るのか目的と課題を明確にします。
ターゲットは、研修動画の活用によって効果をあげたい相手のことです。ターゲットとなる社員を決めて、立場やスキルレベルをはっきりさせておきましょう。
【目的の例】
会社の方針を理解してもらうことが目的。それぞれの年代で考え方が違うことを理解した上で、スムーズなコミュニケーションができるようにしたい。
【課題の例】
営業スタッフの年代が20代~50代と差がある。年代により考え方にばらつきが生じチームワークが上手くいっていない。
【ターゲットの例】
1)新卒で入社した社員。社会人経験がない。
2)中途採用で入ってきた営業スタッフ。ベテランほどではないが、営業経験が3年ほどある。
ポイント |
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● 目的と課題は、細部まで落とし込めば込むほど効果的な研修動画を作ることができる ● 目的・課題・ターゲットを明確化しておくことで、何のために研修動画を作っているのか途中で立ち返ることができる |
作り方② 企画を立てる
目的・課題・ターゲットを決めたら、その目的を果たすためにどのような内容や表現方法で動画を作ればいいのかを考えます。
表現方法については、後述の「研修動画に有効な3つの表現方法と実例」の見出しで詳しく解説しているので参考にしてください。
企画は大事なステップなので、省略してしまうのはNG。企画を立てずに構成案を作ろうとするのは、目的地が決まっていないのに旅行プランを立てはじめるようなものです。
ここで立てた企画を軸に考えることで、この後のステップである③構成・シナリオを作るの作業もしやすくなります。
成功のポイント |
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企画を立てるときは、以下の5つの事柄についてまとめる。 ● 目的・ターゲット[why・who]:①で決めたものをまとめる ● 現状・課題:①で考えたものをまとめる ● 解決策:目的を果たすにはターゲットにどのような解決策を講じたらいいのか? ● 企画概要[what]:何をするのか?企画内容を端的にわかりやすくまとめる ● 企画内容[how]:どのように解決するのか?表現方法を決める |
作り方③ 構成・シナリオを作る
②で考えた企画の詳細を詰めていきます。はじめは形式にとらわれず、何も考えずに伝えたいことをザッと書き出してみましょう。
例えば新入社員に向けてビジネスマナーの研修動画を作成する場合、一般的なビジネスマナーと自社のビジネスマナーを書き出していきます。
箇条書きでもいいので一通り書き出した後、「そこから何を伝えたいか」を丁寧にまとめていくことが重要です。必要に応じて絵コンテも作成しておきましょう。
【構成・シナリオとは?】
動画全体の骨組みのようなもの。カット割りや出演者の動き、台詞、カメラワークなどの要点が細かくシーンごとに記されている。イラストや動画を使って作成された構成・シナリオは「絵コンテ」や「動画コンテ」とも呼ばれる。
ポイント |
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書き出しをするとき、ベテラン社員にも協力を仰ぐのがポイント。なかには企業独自の文化から派生して定着したビジネスマナーなどもあるため、長く勤めている社員に話を聞くことで現状との齟齬が生まれにくくなる。 |
作り方④ 撮影する(撮影が必要な場合)
目的に応じて撮影を行います。
プロモーション動画ではないので、かっこよく見せるための撮影をしたり、シネマティックでエモい映像を目指す必要はありません。
ポイント |
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撮影はあくまで「わかりやすく・伝わりやすい」を念頭に置く。出演者の台詞がある場合は、はっきりとした聞き取りやすい話し方を心掛けること。 |
作り方⑤ 編集する
ここでも重要なのは、わかりやすいかどうかです。撮影と同様に、わかりやすさを念頭に置いて無駄を省いた編集をしましょう。
成功のポイント |
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● テロップは重要なポイントだけに絞ると印象に残りやすい ● 視聴者が飽きたり眠くなったりしないように抑揚をつける ● ポイントになる部分にSEを入れてメリハリをつけると効果的 ● ドラマ形式の研修動画の場合、BGMを効果的に使用して心情を表現する |
研修動画に有効な3つの表現方法と実例
作り方②企画を立てるで登場した表現方法について解説します。
どのような表現方法で動画を作ればいいのか悩んだら、以下の3つの形式を参考にしてください。
- ① セミナー形式
- ② ドラマ形式
- ③ アニメーション形式
① セミナー形式
対面形式で行われたセミナーを撮影し、映像としてまとめた研修動画です。
■これだけはやっておきたい、報連相のコツ2つ
※他社制作動画
【メリット】
- 最小人数でコンパクトに制作できる
- 1つのカメラでフィックス(固定)撮影をすることで撮影コストが抑えられる
- 難しい編集スキルがいらない
- 短期間で制作できる
- 修正や補足が簡単にできる
- 社長やリーダーが講師として話すことで説得力が増す
【デメリット】
- 講師(話し手)の話し方やトークスキルによって伝わりやすさが変わる
- 画が変わらないので視聴者が退屈しがち
制作のポイント |
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話し方に抑揚をつけたり、少し笑えるエピソードをはさんだり、テロップやSEを入れたりと、飽きさせない工夫をする。 |
② ドラマ形式
内容に起承転結を作り、ストーリー仕立てにした研修動画です。
■社員研修ビデオ「社会人の常識・非常識」
※他社制作動画
■新入社員のための こんなときどうする? 仕事のマナー[職場の基本マナー編]
※他社制作動画
【メリット】
- シチュエーションがリアルに想像できるのでわかりやすい
- 心の声を映像にすることで納得感が出る
- 良い例とダメな例などを比較しやすい
【デメリット】
- 撮影に時間がかかる
- 制作コストが高くなることが多い
- 制作にはある程度の編集スキルが必要※
※カットとカットを同一ポジションでつなげるなど、違和感のない映像を編集する技術が必要になる。
制作のポイント |
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ドラマ(ストーリー)だけで完結するのではなく、MCとなる案内役を立たせるのがポイント。動画内で何を言いたいのかがはっきりと伝わるようにする。 |
③ アニメーション形式
撮影は行わず、アニメーションを活用した研修動画です。
■報連相はなぜ必要?【アニメで学ぶ報連相】
※他社制作動画
■社会人になるための心構えシリーズ1
※他社制作動画
【メリット】
- 撮影する手間がないためコストを抑えやすい
- 専用ソフト※を活用すれば未経験者でも比較的簡単に制作できる
- 画に動きや変化があるので視聴者が飽きにくい
- 実写では表現しにくいシチュエーションも表現できる
- 音声読み上げソフトを活用すればナレーションのコストも抑えられる
※例「ビジネス動画制作ツール VYOND(ビヨンド)」。ビジネス用アニメーション動画制作に特化したクラウドサービスで、専門的な知識がなくても素材やテンプレートの組み合わせでアニメーション動画制作が可能。VYONDを使った動画制作依頼を専門に受けているクリエイターも存在する。
【デメリット】
- 編集ソフトよりもグラフィック制作ソフト※を扱う方が難しい
- 制作にはある程度のデザインセンスが必要
※例「Adobe Photoshop」「Adobe Illustrator」「Adobe After Effects」など。
制作のポイント |
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オノマトペなど、アニメーションならではの表現を駆使すると効果的。 |
アニメーション動画についてさらに詳しく知りたい方は、「アニメーション動画の訴求効果を制作会社が解説!特徴や費用目安、事例を紹介」の記事を参考にしてください。
研修動画制作の心構えと5つのコツ
研修動画を制作しはじめると、作業を効率化させたり、面倒な説明を省きたいといった “作る側のメリット” を考えてしまいがちです。
しかし、動画を見るのはあくまでターゲットとなる視聴者(受講者)です。 “見る側のメリット” を意識した動画にしないと意味がありません。
例えば新人研修用の動画なら、新卒社会人にとってプラスになるような内容を入れましょう。先輩スタッフにもヒアリングを行い、 新人スタッフによく聞かれること などを取り入れるのも有効です。
後輩にとっては聞きたくても聞けなかったことを解決できるだけでなく、先輩スタッフも時間を割かずにポイントを伝えることができるので、 双方のメリットにつながります。
研修動画制作の5つのコツ
- ① 短いセグメントに分ける
- ② 図や表を積極的に使う
- ③ 簡潔な言葉を使う
- ④ 繰り返しとまとめを入れる
- ⑤ 視聴者を参加させる
① 短いセグメントに分ける
動画が長尺になるほど、視聴者の集中力を保つのが難しくなります。伝えたいことがたくさんある場合は1動画1メッセージに区切り、コンテンツを複数作成しましょう。
1~5分程度の短尺で学ぶことができる研修・学習動画は「マイクロラーニング動画」と呼ばれ、近年人気の手法でもあります。マイクロラーニング動画について詳しく知りたい方は、「教育研修動画の最新トレンド!「マイクロラーニング動画」の作り方と成功のポイント」の記事を参考にしてください。
② 図や表を積極的に使う
図・表・グラフなどを使い、ビジュアルに落とし込むことを意識しましょう。言葉だけで説明するよりわかりやすく情報を伝えることができます。
③ 簡潔な言葉を使う
研修動画では、専門的な用語や難解な表現は避けましょう。簡潔で明瞭な言葉を使って説明するのが正解です。
④ 繰り返しとまとめを入れる
重要なポイントは繰り返し強調し、動画の終わりには復習としてまとめを挿入しましょう。そうすることで、見る人の記憶に定着しやすくなります。
⑤ 視聴者を参加させる
研修動画を見せて終わりではなく、視聴後には感想や意見を聞きましょう。内容を思い起こさせることで記憶に残りやすくなりますし、作る側にとっては動画をブラッシュアップさせる材料にもなります。
研修動画のメリットと効果
研修動画を制作する大きなメリットは3つです。
- 動画ならではの高い学習効果が期待できる
- 研修にかかる人手やコスト不足の解消につながる
- 研修内容を統一化できる
動画はテキストや静止画に比べて情報量が多く、動きと音声を組み合わせた多彩な表現方法があるのが特徴です。テキストや静止画だけではわかりにくい内容も、動画であればわかりやすく伝えることができます。
デジタルネイティブ世代にとっては親しみのある学習方法なので、飽きずに取り組みやすいのもメリット。目と耳から同時に入る情報は、記憶に残りやすいといった特性もあります。
制作には費用が必要ですが、一度映像データを制作してしまえばデバイス・場所を問わずあらゆるシーンで活用できます。講師や会場の手配が不要になるため、研修予算や人件費などの長期的なコストカットが望めます。
また、いつ・誰が見ても同じ情報が提供できるのも研修動画の良い点です。動画なら講師(指導者)のスキルに研修のクオリティが左右されることがなく、研修レベルを統一化することができます。
研修動画は、社員教育に効率と効果を求める企業にとって非常に適した手法といえるでしょう。