プロモーション動画の作り方とは?実例をもとに制作会社がポイントを解説
2024.08.08
商品の販売促進や認知向上のために、プロモーション動画の制作を検討している企業は少なくありません。一方で、具体的な作り方や手順がわからず、二の足を踏んでしまうケースもあります。
プロモーション動画は企業や商品のアピールに大変有効な手段ですが、無計画に制作してしまうと反対にブランドイメージを損なう結果にもなりかねません。目的やターゲットをしっかり定め、ポイントを抑えた作り方をすることで、視聴者の心を掴む映像ができあがります。
本記事では、プロモーション動画制作の実績を持つボーダーレスが、プロモーション動画の実践的な作り方を紹介しています。架空の商品を設定し、ステップごとに具体的な考え方やポイントをまとめているので参考にしてください。
【この記事でわかること】
- プロモーション動画とは?PR動画との違い
- プロモーション動画の作り方とポイント
プロモーション動画とは?PR動画との違い
プロモーション動画とは、主に商品やサービスの販売促進を目的に制作された動画のことです。「プロモーションビデオ」のように、ブランドの売り込みや企業の認知拡大のために制作された動画も含まれます。
「PR動画」と同じ意味で使われがちですが、厳密には性質が異なります。PR動画の主な目的は視聴者との関係づくりであるため、相互コミュニケーションの発生を想定したものになっています。
プロモーションとPRの違いについてさらに詳しく知りたい方は、プロモーション動画サービスのページを参考にしてみてください。
プロモーション動画の作り方を実践から学ぶ
ここからは、架空の商品を設定し、実際にその商品のプロモーション動画を作ることを仮定して作り方を解説していきます。
①~⑥までのステップに分け、手順や考え方のポイントを紹介しているので、ぜひ実際にチャレンジしながら進めてみてください。
架空の商品の基本設定
商品名:『EcoWave(エコウェーブ)』
ジャンル:スマートウォッチ
概要:ユーザーの健康管理やライフスタイルの改善をサポートするスマートウォッチ。エコフレンドリーな素材が使われている。
プロモーション動画の作り方① 目的を明確にする
まずはプロモーション動画を制作する目的を明確にします。
【目的を明確にする必要性・メリット】
- 一貫性のあるメッセージを伝えることができる
- クリエイティブの方向性(動画のスタイルやビジュアルなど)を定めることができる
- 効果測定がしやすくなる
- 明確な行動喚起(CTA)を定めることができる
『EcoWave』のプロモーション動画の目的を設定してみよう!
新商品であるため、認知向上が目的。エコフレンドリーな素材という特徴から、サステナブルやエシカル※ に関心がある消費者へアピールしたい。
※「倫理的な」「道徳上」という意味の英単語で、地球環境や社会、生物、人などに配慮した行動や消費を指す言葉。
プロモーション動画の作り方② 商品・サービスを理解する
次に、プロモーション動画を制作する商品・サービスについて理解を深めます。
【商品・サービスを理解する必要性・メリット】
- 正確に情報を伝達する
- 信頼性の高い情報を提供する
- 競合と差別化する
- ターゲットのニーズに合わせたメッセージを伝える
どのような観点から商品・サービスの理解を深めればいいかについては、以下の4項目を参考にしてみてください。
1)基本情報
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商品名・カテゴリー・主要機能・スペック・発売日・価格など。
2)特徴と利点の把握
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特徴:競合製品との違いを明確にする。
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利点:ユーザーに対してどのような利点があるのか明確にする。
3)使用シーンの分析
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使用シーン:どのような場面で使用されるかを具体的にする。
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ユーザーストーリーの作成:使用シーンを踏まえ、ユーザーが商品を使用するシーンをストーリーに落とし込む。ユーザーが商品を使うことでどのように生活が変化するのかを考える。
4)競合の分析
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競合製品のリサーチ:競合の特徴や市場での位置づけを整理。価格帯やターゲット層を比較し、まとめる。
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差別化ポイントを特定:自社製品の優位性を明確にし、差別化できるポイントを把握する。
『EcoWave』の商品理解をしてみよう!
1)基本情報
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商品名:スマートウォッチ『EcoWave』
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カテゴリー:スマートウォッチ、ウェアラブルデバイス
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主要機能/スペック:ソーラーチャージ機能、心拍数モニター、睡眠トラッキング、フィットネストラッキング、通知機能、音楽コントロール、GPS
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発売日/価格:2024年12月/税込1万2,000円
2)特徴と利点の把握
特徴 |
利点 |
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エコフレンドリー素材を使用 |
環境にやさしい |
ソーラーチャージ可能 |
電力消費を抑え、充電頻度を減らせる |
健康管理機能 |
日常の健康管理が自動でできる |
ライフスタイル支援機能 |
スマホ連携で通知を受け取れる、音楽コントロールができる、GPS機能でアクティビティを把握管理できる |
シンプルなデザイン、カスタマイズ性のあるバンド |
仕事でもプライベートでも使え、バンドで個性を出せる |
3)使用シーンの分析
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使用シーン:通勤中の通知確認、ウォーキングやランニング中の音楽操作、心拍数モニタ、就寝中のデータ収集
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ユーザーストーリー(商品が与える影響):エコな生活への貢献、健康の維持・改善、便利なライフスタイルの実現
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ユーザーストーリー(使用後にもたらされる変化):健康データの可視化、持続可能な生活習慣の実現、生活の利便性向上
4)競合の分析
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競合製品のリサーチ:Apple Watch、Fitbit、Garminなどについて、価格・機能・デザインなどをリサーチ
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差別化ポイントを特定:エコフレンドリーな素材であること、ソーラーチャージができること、競合商品と同等の機能がありながら価格が安いこと(リサイクル素材なので価格を抑えられるが耐久性に問題はない)
プロモーション動画の作り方③ ターゲットを明確にする
続いて、プロモーション動画のターゲットを明確にします。
【ターゲットを明確にする必要性・メリット】
- メッセージに一貫性を持たせ、明確なコミュニケーションができる
- 強調すべき訴求ポイントがはっきりする
- マーケティング予算を効率的に配分できる
- ブランドの認知度を高め、ポジショニングを強化できる
『EcoWave』のターゲットを掘り下げてみよう!
名前 | 山田 宗太 |
---|---|
年齢 | 34歳 |
職業 | IT企業のプロジェクトチームリーダー |
志向やライフスタイル | 環境意識が高く、健康管理に熱心なビジネスマン。週に3回以上、早朝や帰宅後の時間を使ってランニングを行うのが日課。 |
朝 | EcoWaveのアラームで6時に起床。睡眠データをチェックし、十分な睡眠が取れたことを確認。 |
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通勤時 | 電車の中でEcoWaveに届くメッセージやメールをチェック。スマートフォンを取り出す必要がなく、満員電車でも使いやすいEcoWaveで通勤時間を有効利用。 |
仕事中 | EcoWaveのリマインダーにより、オフィスでもストレッチをする習慣を維持。 |
昼休み | ランチ後のウォーキングでフィットネストラッキングを活用。 |
終業後 | 日課のランニングではEcoWaveのGPSと心拍数モニタで運動を管理。音楽コントロール機能を使って快適なランを実現。 |
夜 | EcoWaveで1日の健康データをチェック。ソーラーチャージ機能により充電は不要。睡眠トラッキングをオンにして就寝準備。 |
プロモーション動画の作り方④ 5W1Hに落とし込む
企画立案に向け、5W1Hに落とし込みます。この時点で配信媒体や何をメインに訴求するかを固めておくと次の企画を考えやすくなります。
成功のポイントとしては、作り方①~③で設定したことを常に頭の隅に置いておき、いつでも思い出せるようにしておくことです。企画や構成を考えはじめると最初に考えたことを忘れがちなので、「そもそも」に立ち戻ることが重要です。
『EcoWave』のプロモーション動画を5W1Hに落とし込んでみよう!
When[いつ配信するか] | 商品リリースの3週間前から2か月間 |
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Where[どこで配信するか] | YouTube広告(予算によって検討する) |
Who[誰に対して配信するか] | 環境意識が高く、健康管理に関心がある30代から40代のビジネスパーソン |
What[何を配信するか] | 新商品のリリースを知らせる告知動画、短い尺でインパクトのある動画 ※補足:環境や自身の健康に対して問題意識を抱く人に商品を知ってもらうきっかけを作りたいので、すべての特徴を説明するのではなく、エコフレンドリーということを前面に押し出す動画にする(ブランドイメージを壊したくないので奇をてらったものはNG) |
Why[なぜ配信するか] | EcoWaveの魅力を伝える、ブランド認知度を向上させる、環境保護と健康管理に関する意識を高める |
How[どのように配信するか] | YouTubeのインストリーム広告を利用 |
プロモーション動画の作り方⑤ 企画を立案し、構成案を作る
目的やターゲットを定めたら、それに向けてどのようなプロモーション動画を制作したらいいのか企画や構成を考えます。
制作会社へ外注する場合は、複数の企画案を出してもらうと良いでしょう。制作会社へ依頼するときの注意点については「【計画】~【発注】までの流れ」の記事を参考にしてください。
実写がいいかアニメーションがいいか迷ったときは、両方の企画を考えてみるのも有効です。
企画を練るときに、決して安直に「面白そうだから」という理由で選んではいけません。ここで重要なのは、「作り方の①~④で設定した目的やターゲットに対して動画を作るならどのような手法が有効なのか?」を掘り下げて考えることです。
どのような企画(手法)がいいのか迷ったら、以下の7つの項目を参考にしてみてください。
【動画手法①】イメージ動画
視覚的な印象を重視し、言葉やテキストよりも映像や音楽に訴えかける手法。感情や感覚を直接的に伝え、視聴者の心に残る印象を与えることが目的。
商品やサービスの特徴を美しく魅力的に表現することで、視聴者に強いインパクトを与える効果がある。
【動画手法②】ストーリー(ドラマ)調動画
物語を中心に据えたストーリーテリングを通じて、視聴者の感情や共感を引き出す手法。登場人物やプロットを通じて商品やサービスの価値や利点を説明し、視聴者に疑似的な体験を提供する。
視聴者が物語に共感し、製品への関心を高める効果がある。
【動画手法③】説明動画
明確な情報伝達を目的とし、視聴者に対して商品やサービスの詳細な説明を行う手法。製品の機能や利点、使用方法などを具体的に説明し、視聴者が理解できる形で情報を提供する。
インフォグラフィックやチャート、デモンストレーションなどを活用することで、情報を可視化してわかりやすく伝える効果がある。
【動画手法④】ドキュメンタリー動画
リアルな出来事やテーマに焦点を当て、客観的な視点から情報を提供する手法。事実に基づいた調査や証言を通じて、製品やサービスの背景、開発過程、社会的な影響を深く掘り下げる。
視聴者の洞察を促し、共感や理解を高める効果がある。
【動画手法⑤】番組風
特定のテーマやコンセプトをもとに、エンターテイメント性を持った動画コンテンツを制作する手法。シリーズやテーマごとのエピソードを通じて、視聴者を楽しませながら情報を提供する。
主にブランドや製品の認知度を高める効果がある。
【動画手法⑥】インタビュー動画
実際の人物や専門家のインタビューを通じて情報を伝える手法。専門家の見解や経験を通じて製品やサービスの利点や使い方を具体的に説明する。
視聴者に信頼感を抱かせ、専門的な知識を伝える効果がある。
【動画手法⑦】通販番組風
特定の製品やサービスに焦点を当てた、直接的な販促の手法。商品の特長や価値を短時間で伝え、視聴者に購買行動を促すことが目的。
印象に残るキャッチーなCTAや、「期間限定〇%OFF」「動画視聴者限定サービス」などの限定オファーが組み込まれることが多い。
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企画が確定したら、実際に映像化するための構成案を作成します。
構成案とは動画全体の骨組みのようなもので、シーンごとのカット割りや出演者の動き、台詞、カメラワークなどの要点が細かく記されています。「シナリオ」や「構成台本」とも呼ばれ、イラストや動画を用いて作成された構成案は「絵コンテ」や「動画コンテ」とも呼ばれます。
この後の撮影や制作は全てこの構成案をベースに行われるため、非常に重要な工程といえます。構成案を用意することにより、制作に関わるスタッフ全員が事前に完成動画のイメージを共有できるメリットがあります。
制作会社に外注する場合にも必ず構成案を確認し、必要があれば質問や修正の依頼をしましょう。本格的な撮影に入る前に、具体的なビジュアルイメージのすり合わせができる機会でもあります。
プロモーション動画の作り方⑥ 構成案をもとに制作する(撮影~編集、納品)
構成案が決まったら、それをもとにプロモーション動画を制作します。
制作会社に依頼した場合の制作フローについては「実写動画を制作する場合の流れ/アニメーション動画を制作する場合の流れ」の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
実写のプロモーション動画の場合、出演者のオファーや撮影場所の確保、機材の用意などが必要です。企画やシナリオによって撮影に必要な機材や人員、時間は異なりますが、機材やスタッフをスポットでレンタル手配できるようなサービスもあります。
ただし、プロモーション動画として使用できるクオリティの映像を撮影するには技術や経験を要するため、はじめからノウハウのあるプロに任せる方が失敗がありません。
アニメーションのプロモーション動画の場合、キャラクターや背景、ロゴなどのイラストデザインを作成し、モーション(動き)をつける作業を行います。Adobe PhotoshopやAdobe After Effectsなどのソフトを使用して作成されることが多いですが、なかにはアニメーション制作用のフリーソフトもあります。
YouTubeやテレビCMで流れるアニメーション映像には一見シンプルなものもありますが、実際は高度な技術や細かいこだわりが反映された作品なので、質の高さや成果を求めるのであればこちらもプロに依頼する方が確実でしょう。
プロモーション動画の制作事例については、プロモーション動画サービスのページでも紹介しています。
ボーダーレスでは動画制作を全て内製化しているため、ご依頼から納品まで社内のクリエイターがお客さまとコミュニケーションを取りながら進行いたします。ワンストップでスムーズなやりとりをご提供することができるのは、当社ならではです。
制作会社とのやりとりに不安がある方も、ぜひ1度ボーダーレスにご相談ください。