テレビCMの制作費用は高くない?相場や内訳、コストダウンのコツを解説
2024.09.19
一般的に「テレビCMの費用は高い」というイメージがあります。
テレビCMは幅広い視聴者に対して強い影響力を与えることができるツールですが、制作・放映に至るには様々なコストがかかります。
本記事では、できるだけ費用対効果の高いテレビCMを制作したい方に向け、制作費用の相場や内訳を詳しく紹介しています。予算を抑えつつ効果的な動画を制作するポイントについても解説しているので参考にしてください。
【この記事でわかること】
- テレビCMの制作費用の相場
- テレビCMの制作費用の内訳
- テレビCMの制作費用を抑えるポイント
- テレビCMの制作会社の選び方
- テレビCMの放映費用の相場
テレビCMの制作費用の相場
テレビCMにかかる費用は、大きく2種類に分けられます。
- 制作費用:テレビCMの制作にかかる費用
- 放映費用:テレビCMの放映にかかる費用
ここでは、上記のうち制作費用をメインに解説していきます。放映費用については後述の「テレビCMの放映費用の相場」の見出しを参考にしてください。
【制作費用の相場】
- アニメーションCM制作:50万円~
- 実写CM制作:80万円~
相場はかなり幅広く、なかには1本数百万~数千万円の制作費用がかかるケースもあります。ハイクオリティな映像になるほど費用も高くなり、著名人や有名なCMディレクターの起用や、特殊な映像効果を使用した場合、大規模な撮影を行った場合などは、コストがかさむ傾向です。
テレビCMの制作費用が大幅に変動する6つの要因
テレビCMの制作費用は、様々な要因によって上下します。作りたいCMや狙いに合わせて最適な予算設定をしましょう。
要因1:尺(映像の長さ)
テレビCMの尺は、15秒・30秒・60秒が一般的。
長くなるほど撮影や編集に時間がかかるため、コストも高くなる。
要因2:出演者
出演者はCMの顔になるため、とりわけ実写では考慮すべき要因。
無名タレントや有名タレントでギャランティはピンキリで、数十万~数億円と幅広い。制作費の大部分を占めるといっても過言ではない。
要因3:ディレクター
有名タレントを起用する場合、裏方の顔になるCM制作ディレクターも実績がある人物を起用する場合が多い。
ギャランティは受賞歴や制作実績などにより大きく変動する。
要因4:撮影場所
屋外撮影をする場合、制作スタッフの交通費、宿泊費、ロケハン(撮影場所の下見のこと)費用などが必要になるためスタジオ撮影に比べてコストがかさむ。現地ガイドや翻訳スタッフが必要になる海外撮影はさらにコストが高くなる。
要因5:特殊効果・映像技術
3DCGやVFXといった映像の特殊効果を使う場合、専門のクリエイターをオファーする必要があるため人件費が高くなる傾向。
撮影にも影響するため、撮影時の人件費も高くなることが多い。
ハイスペックな機材(PC)も必要になるため、特殊効果は制作費高騰の大きな要因になる。
要因6:制作スタッフの人数
制作に関わるスタッフの人数が増えるほどコストがかかる。人数は撮影規模や映像のクオリティによって大きく変動する。
制作スタッフの詳細や制作費用の内訳については次の見出しで詳しく解説しています。
テレビCMの制作費用の内訳
ここでは、テレビCM制作における費用項目(内訳)を具体的に説明しています。
テレビCMが完成するまでには様々な工程があり、それぞれ異なるコストが発生します。工程ごとに必要な費用を知り、どこに重点を置くか明確にすることで予算内で効果的なCMが制作できるようになります。
① 企画構成費
テレビCMの制作は企画構成を練ることからはじまります。全体の骨格になる重要な工程で、テーマやメッセージ、演出内容などを決定します。
有名なディレクターを起用したり、絵コンテ・動画コンテを作成する必要があるような場合はコストがかさみます。
【企画構成費の相場】5万円~数十万円
② 撮影費
テレビCMの撮影に必要な経費。以下は内訳の一例です。
- 撮影人件費:カメラマン、照明スタッフ、録音スタッフ、ヘアメイク、スタイリスト、車両部※、フードコーディネーターなどにかかる費用
- 撮影機材費:カメラ機材、照明機材、録音機材などにかかる費用
- 制作費:ケータリング、ロケ弁、交通費、宿泊費、車両費、ガソリン代など、撮影にかかる雑費
- 美術費:小道具、大道具、衣装などにかかる費用
- ロケーション費:スタジオ費、ロケ地の使用費、使用申請許可などにかかる費用
※撮影車両の運転や管理を行うスタッフのこと
【撮影費の相場】26万円~数百万円
③ キャスティング費
出演者に支払う費用。メインの出演者だけでなく、必要に応じてエキストラのギャランティ やオーディションのための人件費などもかかります。
有名タレントのキャスティング費は数千万円、数億円という高額になることもあります。映像の使用期間(タレントとの契約期間)や、競合商品・サービスに関する出演制限の有無など、細かい制限によっても変動します。使用期間が長いほど高く、競合制限が多いほどコストは高くなります。
④ 制作人件費
プロデューサーやプロダクションマネージャー、ディレクターなど制作スタッフにかかる人件費。大がかりな撮影になるほどスタッフの人数と拘束時間が増えるため、高額になります。
【制作人件費の相場】7万円~数十万円
⑤ 編集・グラフィック制作費
編集・グラフィック制作スタッフにかかる人件費。映像の編集、色調整、CG、特殊効果などを担当します。
オリジナルキャラクターの作成や、セルアニメーションのように1コマ1コマ作成するアニメーション動画は、よりコストがかかります。
【編集・グラフィック制作費 の相場】23万円~数百万円
⑥ ナレーター・MA・音響効果など音に関わる費用
ナレーターのキャスティング費や収録費、MAスタジオ費、音響効果(SE)の追加など、音に関わる費用。オリジナルの楽曲を作成する場合はここに費用が追加されます。
タレント同様、有名なナレーターを起用すると高額になります。多国語展開をするとさらにその分のコストがかかります。
⑦ その他の費用
必要に応じてかかる雑費。動画素材や写真素材を別途購入する場合、XDCAMテープなど放映するための特殊なテープが必要になる場合、DVDが必要になる場合などは、個々に費用がかかります。
テレビCMの制作費用を抑えるポイント
高額な費用をかけて制作したからといって、必ずしも効果のあるテレビCMが作れるというわけではありません。工夫次第では低コストでプロモーション効果の高いテレビCMを制作することも可能です。
まずは制作の目的を明確にし、目的達成のために絶対に削れない費用と、そうではない(削れそうな)費用を分けて考えましょう。
① タレントのキャスティング費を抑える
テレビCMに著名なタレントを起用するメリットは、企業(商品)のブランド力を高めたり、話題性を呼んだりといった広告効果の高さです。ただし、誰もが知っている全国区の有名タレントを起用するには高額な費用がかかります。
その効果を見込んだままキャスティング費を抑えたいなら、「特定の界隈では名が通った有名人」を起用するのも手です。
例えば、キャンプ道具を販売する企業が新商品のプロモーションCMを制作する場合。新規層への認知拡大よりも、すでにキャンプに興味がある既存ユーザーへのアピールが目的になるようなケースがあります。
そういったケースでは必ずしも全国区のタレントを起用する必要はなく、キャンプ界隈で名の知れたタレントやYouTuberを起用することで高い費用対効果を発揮してくれます。
また、知名度がほぼゼロのタレントを起用しながらも企画の面白さで拡散され、SNSやメディアで大きな話題を呼ぶようなケースもあります。
コストを抑えるポイント |
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企画の面白さで話題になった例
■ CM コカコーラ ファンタ 3年G組 将軍先生
※他社制作動画
② 撮影コストを抑える
テレビで放映されるCMには、様々な映像表現が使われています。次々にシーンが映り変わるCMや、ワンシチュエーションで展開するCM、ホワイトバックで撮影されたCMもあれば、合成によって制作されたCMもあります。
シーンが増えるとその分撮影日数が多くなったり、場所を借りるための費用がかかったりとコストがかさみます。
どうしてもシチュエーションを変えたいのであれば、グリーンバックで撮影を行い、背景を合成してシチュエーションを変えるといった方法もあります。シーンごとの撮影に比べてコストを抑えることができるでしょう。
また、撮影をせずにアニメーションのみで制作することで、さらなるコストダウンを目指すこともできます。ただし、アニメーション動画の手法によっては高額な費用がかかるケースもあるので注意しましょう。
アニメーション動画の手法や費用について詳しく知りたい方は、「アニメーション動画の訴求効果を制作会社が解説!特徴や費用目安、事例を紹介」の記事を参考にしてください。
コストを抑えるポイント |
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③ 社内リソースを活用する
タレントの代わりに社員が出演することで、タレントに関する費用を浮かせることができます。
社員を起用するときの注意点は、退職した場合の対応などをまとめて契約書に記載しておき、トラブルを未然に防ぐことです。
出演者だけでなく、企画を社内募集することで企画費用を削減できるケースもあります。ただし、単に面白そうだからというその場のノリで企画を立てることはおすすめしません。
企画はテレビCMの成果を左右する重要な骨格です。目的やターゲティングをしっかりと考えたうえで作成する必要があるため、プロに任せた方が安心でしょう。
また、素材を提供することもコストカットにつながります。例えば、以前撮影した素材を流用して使用することで新たに制作する手間がなくなり、制作費を抑えることができます。
コストを抑えるポイント |
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社員をキャストとして起用した事例
■ TVCM「ガリガリ君値上げ編」
※他社制作動画
④ 番外編:AIを活用する
近年のAIの進化により、多様なシーンでAIの活躍が見られるようになりました。テレビCMも同様に、AIが活用されている事例があります。
タレントにAIを起用した事例
■ 日本初!AIタレントを起用したCM第2弾! 伊藤園「お~いお茶 カテキン緑茶」新作TV-CM「食事の脂肪をスルー」篇
※他社制作動画
■ 「ピアノ売ってちょーだい!」タケモトピアノのCMがAI技術と融合して進化して新登場
※他社制作動画
AIタレントの起用には多数のメリットがあります。
有名タレント | AIタレント | |
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出演契約料 | 3千万~数億円 | 数百万円~ (声優費用を含む) |
制作期間 | 2ヶ月~ | 1.5ヶ月~ |
スケジュールの調整 | 旬のタレントほど難しい | 調整不要 |
リスク | 不祥事など不測の事態が起こる可能性がある | 不祥事などのリスクはない |
引用:https://youtu.be/H2Tphiu6hUk?si=XAsbKJGoRTLT4ZWj&t=150
弊社のテレビCMの制作費や内訳についてさらに詳しく知りたい方は、内訳も見ることができるお見積り例のページも参考にしてください。
テレビCMの制作会社の選び方
費用対効果の高いテレビCMを作るには、制作会社選びも重要です。
見積りを比較する以外に、信頼できる会社かどうか見極めるにはいくつかのポイントがあります。
① 過去の実績を確認する
制作実績には、その会社の得意とするところ・不得意なところが顕著に現れます。ジャンルや動画の雰囲気など、自社のブランドイメージや目的とマッチするか見極めましょう。
ただし、制作会社のWebサイトへ掲載されている実績だけを見て判断するのはあまりおすすめしません。なぜなら、サイト上で見られるのは数ある実績のうちほんの一部であることが多いためです。
実績としてWebサイトへ掲載するにはクライアントの許可が必要になりますが、許可をもらえるケースはごく一部で、実際にはもっと多くの実績がある会社がほとんどです。
本当の実力を知りたいのであれば、問い合わせて実績を見せてもらいましょう。併せて担当者のやり取りの様子をチェックすることもできるので一石二鳥です。
② クリエイティブディレクションの力量を見極める
企画はテレビCMを制作するなかで最も重要な項目です。制作会社のディレクション能力を見極めるためには、企画構成を担当するディレクターと直接話をしてみましょう。
企画案を募集してプレゼンしてもらう方法もあります。コンペ形式にすることによってディレクターの能力を判断することもできるのでおすすめです。ただし、企画費用がかかることもあるので事前に確認しておきましょう。
③ 対応力やプロジェクト管理能力をチェックする
企画やクリエイティブと同じくらい重要なのが、対応の迅速さや丁寧さ、プロジェクト管理能力 です。担当者にこれまでのプロジェクト管理経験について質問し、顧客対応や反応の速度、定期的な報告やコミュニケーションが行われていたかどうかをチェックしましょう。
特に撮影を行う場合は多くの工程を踏むことになるので、進行管理が疎かだとトラブルのもとになります。納期が遅れたり、予想外のコストがかかったりする恐れもあります。
④ 制作体制を確認する
一口に制作会社といっても、体制は様々です。窓口である営業やプロデューサーは社員が担当し、クリエイティブを進行するディレクターやエディター(編集担当者)はフリーランスを起用しているようなケースもあります。
その場合、気をつけなければいけないのが①の実績についてです。ディレクションや編集、グラフィックを担当したスタッフがフリーランスだった場合、クオリティは個人の力量に大きく左右されてしまうためです。
もし気に入った実績動画があったとしても、同じくらいのクオリティが担保できない恐れもあります。失敗を避けるためにも、品質管理がどのように行われているのか確認しておきましょう。
進行管理や品質管理体制を重視するのであれば、クリエイティブを内製化している制作会社を選ぶのも手です。ボーダーレスではプロデューサーをはじめ、ディレクターやエディター、PM、CGデザイナーを正社員で内製化しています。
内製化ならではのメリットについて詳しく知りたい方は、ボーダーレスの強みのページを参考にしてください。
テレビCMの放映費用の相場
テレビ放映されるCMには大きく分けて2種類あり、費用や特徴が異なります。
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タイムCM:特定のテレビ番組のスポンサーとして番組の放送時間内に放映するCM
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スポットCM:時間帯と期間を指定して放映するCM
タイムCM | スポットCM | |
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尺 | 30秒または60秒単位 | 15秒~ |
契約期間 | 基本2クール(6ヶ月) | 自由に設定可 |
放映エリア | 全国(ネットタイム) 各局(ローカルタイム) |
各局 |
費用目安 | 50万~数千万円/1ヶ月あたり | 3万円前後~/15秒1本あたり |
種類に加えて、放映するテレビ局やエリア、時間帯、尺などによっても費用は大きく変わります。
キー局(関東) | 準キー局(関西) | 地方ローカル局 | |
---|---|---|---|
スポットCM15秒1本あたりの費用目安 | 30万円前後~ | 4万円前後~ | 3万円前後~ |
基本的には全国ネットのテレビ局やゴールデンタイムの時間枠であるほど放映費は高く、地方のローカル局や視聴者の少ない深夜・早朝の時間枠になるほど安くなります。
そのため、効果の高さだけを狙ってキー局ゴールデンタイムの人気番組とタイムCMを契約するとなると、放映費だけで数億円かかることもあります。
テレビCMの放映費をできるだけ抑えるには?
テレビCMの放映費をできるだけ抑えるには、ターゲットを絞って効率的に放映をすることです。タイムCMは幅広い層へ向けて長期的に知名度を上げることができますが、その分費用も高くなります。
例えば新商品や期間限定イベントなどをアピールする場合、期間や時間枠を自由に設定できるスポットCMで短期的なプロモーションを行う方法が効率的です。自社のターゲット層に合った時間枠を設定すれば、高い費用対効果も狙えるでしょう。
また、キー局ではなくローカル局を狙って放映するのも手です。なかには特定の地方で大きな影響力を持つローカル局などもあるので、ターゲット層に合わせて検討してみてください。過去には、ローカル局で放映されていたテレビCMがSNSなどを通じてバズった例もあります。